Mr.Dashのぶろぐ館

奈良・大阪・日本アルプスの山々が大好きな、Mr.Dashのブログです。

2012年5月13日(日)シャクナゲにはちょっと早かった、大峰・行者還岳は、ドラマがいっぱい

2012年05月27日 | 山登りの記録
なんだかんだで、ここ行者還岳にはよく来ている。
個人的には、ここはシャクナゲやツツジが楽しみである。
2005年はシャクナゲが満開。
2008年はクサタチバナ群落に囲まれた。

2008年のときは、18人の大パーティだったが、行者還岳は、大峰山系の中では、
特段の危険箇所もなく、初心者の力をみるには手ごろな日帰りルートだ。

今回も、山岳部の例会とはいえ18人の大所帯となった。
普段はインドアクライミング派なので、今日が初めて「自然の山」を歩くメンバーの
ほか、体験参加者が3人、そしてMr.Dashの友人として、スペシャルゲストの
Tさんを加えての山行である。

おまけに今日のリーダー、シンちゃんは、チーフリーダーを担当するのは今日が
初めて。渓流釣りで鍛えた山の実力は折り紙つきのシンちゃんだが、
こんな大勢の他人を率いるのに、やや緊張の表情。



というわけで、初めてづくしのご一行、小坪谷分岐の吊り橋をゾロゾロ渡る。



初めは、沢の右岸をトラバースしていく。
プナやカエデの新緑が目にまぶしい。全くもって、すばらしいの一語に尽きる。
ブナ林フェチのMr.Dashは、これだけでかなり上機嫌になる。
この日までの1週間、結構、仕事が忙しかっただけに、癒される。

フランクなTさんも、普段の仕事は、めちゃくちゃに忙しい人。
「いやー、やっぱり山はいいいな~」とご感想。

Tさんの山の実力は申し分なく、槍ヶ岳や剱岳などを平気でこなす。
テント泊も、もちろん平気。
渓流釣りもかなりの腕前なので、微妙な岩場での足の運びも上手い。
ウチの山岳部のメンバーの中に当てはめても、上位クラスの実績と体力・技術を
お持ちである。

不慣れな初体験クンのペースを見守りながら、一行はめいめいに雑談しながら登る。



やがてヤマシャクヤクの群落を発見。白い可憐な花を咲かせている。
このころには、元気な先頭集団と、苦戦する初体験クンと彼をサポートする
メンバーの間がかなり離れており、トランシーバーで互いの連絡をしていたが、
ちょうど中間で遊軍・伝言部隊をしていたMr.Dashは、そばにいた
N河さんをそそのかして、少し道を外れて群落に最接近!
お互い、一眼レフでバチバチやりながら、大満足。



樹の間越しに、弥山方面の稜線が顔をのぞかせる。
朝は見事な青空だったのに、少しずつ、空が薄雲に覆われてきている。

後続は位置確認はできていたが、20分ほどのタイムラグがある。
途中で先頭集団が昼食をとることになった。
遊軍の我々も、やがて追いつき、一緒に食事。

するとTさんが、先日、渓流釣りの釣果がすばらしかったとのことで、
塩焼きにしたアユを10匹ほど「皆さんで」と配ってくださった。
一同、感激。元々、食べ物に弱いメンバーだが、これで完全に全員、
Tさんに「釣られて」しまった。
忙しいのに、「今朝、早く起きて焼いた」そうで、たいへん美味だった。

やがて後続部隊が追いついたが、初体験クンはバテバテ。
ここでチーフリーダー、サブリーダーが作戦タイム。
時間の計算をして、一部の有力メンバーに初体験クンのサポートをお願いし、
本隊は山頂アタック、サポート隊は稜線に出たら、そのまま尾根を南下し、
しなの木出合から新道を下りて、行者還トンネル西口へと向かうことに
なった。本隊は、山頂に寄ってから、彼らを追いかけることになる。

サブリーダーのO本さんは、経験豊富、体力も申し分ない。
初体験クンの荷物を自身で引き取るだけでなく、彼をアンザイレンしながらの
山行となる。

Mr.Dashは、部外参加者が4人いることもあり、チーフリーダーの
サポートもしつつ、本隊についた。

稜線に突き上げる手前で、アケボノツツジが咲いていた。(メイン写真)
シャクナゲは何本かあったものの、蕾はまだ固い。山頂部のシャクナゲ群落の
花は、この時点で諦めていた。



稜線に出て、大台ケ原方面の眺めを堪能する。



ほどなく行者還小屋に着く。
ここに来るのが初めてのメンバーは、あまりに立派な小屋なので驚いていた。



山頂への往復は、距離の割に、ハシゴあり、急登ありと、
さすが行者さんがここでくじけて帰ったという山名の由来の通りだ。



山頂に着いて、三角点から少し南側に移動すると、近畿最高峰の八経ヶ岳、
弥山方面が大迫力で迫る。目を凝らすと、弥山小屋の屋根が見える。
そろりそろりと岩角から断崖に迫ると、足元直下に行者還小屋の屋根が見える。

山頂のシャクナゲ群落は、やはり、まだ蕾自体が小さかったが、
それなりの展望を楽しめたので、よしとしよう。

実は、本隊も、ピークの往復でメンバーの一人がバテてしまい、
時間的に少し苦しくなってきた。
Mr.Dashは彼女のザックを取り上げ、身軽になってもらった。
日帰り山行では、一人や二人のザックを召し上げて担いでも、
さしたる負担にならないのが助かる。

稜線を南下し、しなの木出合を右に、急斜面を下る。
先行している連中には、まだ追いつかない。これは却って安心だ。

こちらのバテたメンバーも、ヒザが“大笑い”している。
ここからの下り坂の負担を考え、Mr.Dashがアンザイレンで
確保しながら下りてもらった。

坂を下りる途中、初体験クン一行に追いついた。
彼は、もはや足のグリップが全く利いておらず、ヒザ、太もも、ふくらはぎの
すべての筋肉が限界を超えていることが見てすぐに分かった。
O本さんのアンザイレンだけが頼りだが、その集中力とがんばりは、常人離れしている。
聞けばO本さんは夜勤明けというから、この人の底力には恐れ入る。



シャクナゲ群落があるのだが、蕾が濃いピンク色に
なっていた。多分、あと数日で開花するだろう。
しかし、蕾の数そのものは多いとはいえず、今年は当たり年ではなさそうだ。

トンネル西口に予め回送しておいたクルマのところに無事帰着したのは、
17時をとうに回っていた。
感極まった初体験クンは涙、涙。

じきに31歳になるが、30歳最後のすばらしい思い出ができたという。
確かに、体中の筋肉が悲鳴をあげる中、根性を出して、よく歩いた。
本人の人生の中では、これまで他方面の苦労も多かったはずだが、
今日は、また違った困難であっただろう。
山では自分が歩かねば帰れないのだ。
それをなんとか、それをクリアできた。

彼はまだまだ若い。それだけに、1~2年かかってもよいので、
一から身体を鍛え直し、自力で歩く体力と技術を身につけなくてはならない。
このままなら、50歳過ぎで車椅子生活になるぞ。

いろいろ気を払っていたので、体験参加の3人とは話すチャンスが
少なかったのが残念だが、ゲストのTさんには、ウチの山岳部の新たな挑戦の
ひとコマを見て頂けた。

シンちゃんも、こんなにイレギュラーな山行での初チーフリーダーと
なったが、本当におつかれさま。
キメ細やかなリーダーシップができる人は、ウチの山岳部でも
限られているだけに、大きな戦力がまた一人増えた。

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