IBFウェルター級タイトルマッチ
英国のIBF王者ケル・ブルック選手(Kell Brook)に2012年ロンドン五輪米国代表で売り出し中の27歳エロール・スペンスJr選手(Errol Spence Jr)が挑んだ注目のウェルター級戦は王者の地元英国で行われ、熱戦の末にスペンス選手が11回TKO勝利して新王者の座に就いています。(体格比較)
スペンス選手がサウスポースタイルからのシャープな右ジャブを伸ばせばブルック選手もリターンで左ジャブを決める。鋭いリードの差し合いで幕を開けた好カード。互角の攻防の立ち上がりを経て3回からスペンス選手が強く振る左ストレート、フック、さらには返しの右などの強い攻撃でぐいぐい迫るプレッシャーがペースを奪います。ただこれに対してブルック選手も体力を使って強引に前に出て距離を潰す戦いで対抗。スペンス選手の攻撃を出なくさせさらに自らの右ストレートリードなどを決めることでペースとポイントを奪っていった中盤戦の戦いは試合運びの巧さ、経験を感じさせた見事な戦いぶりでした。
しかしスペンス選手がプレッシャーを強めるとブルック選手は苦しくなってしまいます。序盤から入っていた効果的なショットの積み重ねもあったのでしょう。9回にスペンス選手の左右ストレートや左フックなどを食い始める場面が目に見えて増えたブルック選手。続く10回にもスペンス選手の左右攻撃を断続的に浴び続けてノックダウンを喫してしまいます。
かなり限界近くに見えながらも根性の反撃を見せてこのラウンドを生き延びたブルック選手のガッツは本当に見事でしたが、続く11回に自ら膝をついてのギブアップで試合を終えています。
10回までの公式のスコアは97-92、96-93、95-94という3-0スペンス。シロート採点96-93スペンス。
急激に腫れた左目の状態が悪かったのでしょう。10回のノックダウンもスペンスの右ストレートを左目に決められて怯みそして連打を集められてのダウンでしたし、11回の膝をつく場面の前も左目付近にパンチを決められて弱る、という状態でした。
ブルック選手は試合巧者ぶりを発揮して互角の展開を抜け出しかけたものの、序盤から入り続けていたスペンス選手の右ジャブ(結果的にブルックの目をやっつけた大きな要因)と強打とで一気に崩されてしまいました。
一方のスペンス選手はテクニック、スピード、そしてパワー、すべてを兼ね備えていて新しいスターの誕生を予感させる見事なパフォーマンスでした。
ポーター、ブルックと主役級の役者が熱戦の末に受け継いできたこのタイトル。今度こそ主役を張れる人が王座に就いたのでしょうか。サーマンとの激突に期待したいです。
スペンス選手は22勝(19KO)。ブルック選手は36勝(25KO)2敗。
ゲナディ・ゴロフキン対ケル・ブルック(2016/09/10)
ショーン・ポーター対ケル・ブルック(2014/08/16)
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スタッツで見るとジャブのヒット率がすごい差です パワーヒットは最後2ラウンドで大きく空けられた訳ですからスタッツ通りの試合ではないでしょうが、やはりこのジャブが決め手になりましたね