WBC暫定ライト級王座決定戦
23歳のライト級ホープ、オマール・フィゲロア選手(Omar Figueroa)と日本の荒川仁人選手(Nihito Arakawa)との間で争われた空位の暫定王座決定戦は米国テキサス州サンアントニオで行われ、年間最高試合候補に必ずや挙げられるであろう熱戦の末にフィゲロア選手が大差の12回3-0判定を制して暫定王者の座に就いた一戦でした。(体格比較)
ハンドスピードとパワーの差が試合開始直後から明白になった両者。サウスポーの荒川選手に対しての左フック、右ストレートがスタートから強く入り、すぐにサウスポースタイルにスイッチして接近戦での鋭い左アッパーを上下に突き刺すフィゲロア選手との力の差が露わになってしまいます。
2回には右フックを頭頂部に浴びて効いてしまい、その後の追撃でノックダウンも喫してしまった荒川選手にとっては苦しすぎる試合序盤戦でした。
しかしいくらパンチを浴びても止まらず前に出て、スローモーションのようであるけれどもとにかくしつこい左右でフィゲロア選手に迫り続ける荒川選手。徐々に荒川選手のしつこい攻めを持て余す様子をフィゲロア選手が見せる場面が増えていきます。6回にも右でノックダウンを喫し、8回にも強烈な右ストレート、左アッパーでピンチに陥った荒川選手ですが、最後の最後までそのしぶといアタックは止まりません。フィゲロア選手もロープを背にしながらも要所要所で強く正確なショットを決めるのですが、驚異的なガッツで最後まで迫り続けた荒川選手のファイトは大いに胸を張れるものでした。
CompuBox: Figueroa, Arakawa Produce Big Numbers
フィゲロアのパワーショット450ヒットというのはcompubox史上歴代4位。
公式のスコアは118-108が2人、119-107という3-0フィゲロア。シロート採点117-109フィゲロア。
結果・内容ともにフィゲロア選手の大勝であったのは確かではありましたが、荒川選手がど根性でフィゲロア選手を追い詰める場面も再三演出してみせた熱戦でした。ただ、荒川選手に逆転の目が残っていたのかどうかってのは極めて疑問。腫れが相当悪化した8回以降は特に見ているのが辛くなる展開の連続で、本人や陣営にギブアップの意思がないならばレフェリーやドクターが止めろよ、との思いも抱いた試合展開でもありました。
その厳しい状況下での荒川選手の奮闘が観衆を大いに引きつけたってのは確実でもあり、なんとも悩ましいところであります。
フィゲロア選手は22勝(17KO)1分。荒川選手は24勝(16KO)3敗1分。
Fight of the Year Alert: Figueroa Outlasts Arakawa Over 12(Jake Donovan/BoxingScene)
Omar Figueroa outlasts Nihito Arakawa in incredible, back-and-forth lightweight title slugfest(Kevin Iole/Yahoo!)
Arakawa a Warrior in Defeat as Figueroa Prevails in 2013 Fight of Year Favorite(Steve Silverman/Bleacher Report)
オマール・フィゲロア対マイケル・ペレス(2012/01/06)
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具体的な選考基準てのはないでしょうね。
選者が良い試合だったと思ったかそうではなかったか、ただそれだけだと思います。
>すとれいと・くーがーさん
まぁそれを言い出すと、究極の話キャリアの全試合を見ていなければ評価を下すことができない、もっと言えばジムでの力、私生活
などなどキリがないんじゃないでしょうかね。
例えが極端に過ぎますけれど。
ボクサーは、相手によって、時期によって、必ず違うものだってのは私自身はよく理解しているつもりです。
>33-4さん
最初から結構飛ばしていたのに最後まで強打をビュンビュン打てていたフィゲロアのスタミナ面でのタフさ、ってのは私も感心しました。
>クワッさん
見事な闘志で素晴らしい戦いぶりでした。
ただ、こういった戦いを手放しで賞賛してしまっていいのかとの思いも少なからず抱いています。
荒川選手の頑張りには拍手です。
この階級くらいから出てくるフィジカルの差というものがよく見えた試合でした
結果だけみれば完敗ですが、見ている側とすれば逃げずに打ち合った両選手の根性を称えたい名勝負だったと思います
元々荒川はスタイルも試合内容も(悪い意味でも)静かなタイプなんですがその荒川が淡々としながらもゆらゆら闘志を燃やし続けた、その部分にこそ感動があると思うんですが。
それに今回の荒川がこの様な捨て身の戦法をとったのは本人や浜田さんも言うとおり「フィゲロアを前に出させたら危険」という事で被弾覚悟で徹底して打ち合ったんでしょうが、それすらわからず批判している連中には少々ウンザリしてしまいます。
ストップは自分も思いました、とりあえず試合後のメディカルチェックで何もなかったようなので安心しました。