押しても駄目なら

風が吹けば、と共に非線型現象の第二例でしょう。

日露戦争の世紀 山室信一 岩波新書958 ¥819-

2006-01-07 23:49:31 | 気になる本
なかなか面白い本だった。半藤一利の昭和史、保阪正康のあの戦争は何だったかなどと併せて読んで、考え方の整理が少し出来たように感じた。
まず、日本が近代化以後諸外国と戦争ばかりしていたことに驚く。そして日清、日露戦争では戦争を如何に終結するか?が始める時から考えられていたが、太平洋戦争ではそうした考えは全くなく、ただただ破滅へと突き進んでいることに更に驚かされる。

19世紀末、20世紀初めには、ロシアの南下政策、不凍結港の確保にも象徴される、と大英帝国のアジア地域での覇権、支配との対立があり、日本は近代化してそこに一定の利権を得ようとして、韓国を保護国、併合へと進みます。
日露戦争の結果日本の辛うじての勝利に終わりましたが、アジア諸国の民族独立運動家達に多大の感銘を与えたらしい。ネルー、孫文などなどは日本の勝利を当初は大歓迎したそうな。こうした運動家達は日本での活動の拡大を期待したらしいが、やがて日本は帝国主義的なアジア支配の道を、列強に加わって、辿ることになり、こうした運動家達の落胆を誘う事になる。

最初に述べた半藤一利、保阪正康らの本と併せて読み、これらに述べられた時系列事象を脇において、高見順の敗戦日記、山田風太郎の戦中派不戦日記、永井荷風の断腸亭日乗、中野重治の敗戦前日記、伊藤整の太平洋戦争日記などなどを読むと読むと誰がどのようにどうしてブレていたのか、などなどが各々の読者に理解され、楽しみ、また、この混迷の21世紀を生き抜く糧、知恵を引き出す事が出来るだろう。

最後の段落に述べた事は私自身の課題でもある。ボチボチ始めてみたい。