『 Blues ette 』の続きですが,このアルバムには僕の知っているかぎり2つのバリエーションが存在します。ひとつは『 Blues ette Vol.2 』で,もうひとつは『 Blues ette PartⅡ 』です。まったくまぎらわしタイトルを付けたものです。『 Blues ette Vol.2 』は『 Blues ette 』の別テイク集です。『 Blues ette PartⅡ 』は1993年のほぼオリジナルメンバーで新たに吹き込んだサボイの企画物です。
別テイク集の『 Blues ette Vol.2 』は,オリジナルと全く曲目,曲順が同じです。そして面白いことにオリジナルとテンポ,構成,アレンジがほとんど同じ。しかもソロまでオリジナルと酷似しているのです。こんな別テイク集ははじめてみました。普通,ボツテイクはソロがつまらなかったり,途中でミスったり,ミストーンがあったりと,何かしらボツになる理由があるものですが,この別テイク集の演奏はオリジナルと同質なんです。中にはオリジナルより出来の良いソロもあって驚きです。
『 Blues ette PartⅡ 』の方は10曲収められているのですが,『 Blues ette 』からの<Five Spot After Dark>,<Blues-ette>,<Love Your Spell Is Everywhere >を再演奏していて,その他は,カーティス・フラーとベニー・ゴルソンの新曲,それからゴルソンのJMでの演奏で有名な<Along Came Betty>,スタンダードの<Autumn In New York>などです。<Along Came Betty>は,『 Blues ette 』の空気感にマッチしますが,フラーのオリジナル<Capt’ Kid>はラテン調で,彼の美意識に疑問が残ります。はっきり言ってアルバムのイメージを台無しにしています。
フラーの最近の演奏はリズム感も悪くなり,かなり老いを感じます。悲しいかぎりです。