雨の日にはJAZZを聴きながら

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父の話。

2005年11月18日 13時23分13秒 | 日常
11月7日にたまたま栃木の実家に電話したところ,67歳になる父の体調がこのところ悪くて,仕事も辛いという話を母から聞かされました。どうも3ヶ月程前から疲れやすくなり,10月下旬からはほとんど食事がとれず,頻回に便意をもよおしているとの事でした。すぐにこれは直腸癌だと感じました。8日に仕事を休み帰省し,そのまま僕の病院に父を連れてきて,大腸内視鏡検査やCTなどを自分の手で行いました。案の定,進行した直腸癌で,肝臓にも5cm大の腫瘍が2個ありました。直腸癌は肝臓や肺に転移しやすいので,肝臓の腫瘍をCTで最初に見た時は,転移性肝癌だと思い込み,血の気が引きましたが,冷静に見直すと肝臓にできた膿の溜まり(肝膿瘍)でした。肝膿瘍は悪性腫瘍に合併することがまれにあるのです。また,糖尿病にも合併することもあるため,その検査もしたところ,やっぱり糖尿病も認めました。


 うちの父は自営業で,検診や病院通いなどほとんどした事なく,いつも『おれは39℃熱があっても仕事をしてきたんだ。』と自慢げに話す人でした。いつも帰省するたびに検診やドックを受けるよう強く勧めてきました。特に大腸内視鏡検査は,大腸癌の早期治療の点からも有意義な検査なので,幾度となく説得を試みましたが,全く僕の言う事を聞かず,『俺は風邪も引いた事ないから大丈夫だ。』と言いはり,今まで一度も内視鏡検査を受けていませんでした。今回のことで,母から聞いたのですが,17年前に生命保険に入るための審査で血糖値の異常があると指摘されても,数回通院しただけで自己判断で治ったと思い込み,通院を中止したようです。さらに2年前にも便潜血反応が陽性であったのにもかかわらず,精査を受けなかったようです。そのような事があったことすら僕は知りませんでした。頑固で身勝手な父が父なら,それを放置していた母も母です。今回の病気は無知な夫婦で作り上げた病気であると僕は思いました。

手術に関しては,このまま僕の所属する大学で行うか,地元の宇都宮の病院に転院して行うか迷いましたが,母の看病や地元の親戚の事,実家で飼っている犬の事など,いろいろ考慮した上で,宇都宮の病院に転院して手術を受けることに決めました。11月10日には転院させ,同日,肝膿瘍の膿みを抜く処置(膿瘍ドレナージ:PTAD)をしてもらいました。現在,11月21日の手術に向けて,手術前検査や血糖値のコントロールを行っているところです。

こんな事があって,11月7日以降,頻繁に東京と宇都宮間を行ったり来たりしていましたので,ブログを更新する時間がありませんでした。というよりも,意気消沈しジャズを聴く気にもなれませんでした。落ち込んでいるときにJazzを聴いて癒されることはよくありますが,本当に落ち込むとJazzすら聴きたくなくなるものです。

この10日間,このブログでは書ききれない程いろいろな事があり,悩み,考えて,かなり疲れてしまいました。あらためて家族の健康が一番大切であると,実感しました。健康でないと全てが崩れてしまうものです。当たり前のことですが,健康な時にはあまり意識しないんですよね。

今日も妻は子供を抱っこして新幹線で宇都宮に行って,父の看病をしています。本当に僕の父の事を心配し,いろいろな事をしてくれてます。感謝してます。

今週末は少し落ち着いて,家でゆっくりできそうです。またJazzの話でも再開したいと思っています。

        昼休みの医局で,Lars Jansson 「 Invisible Friends 」を聴きながら。