『杉本文楽 曽根崎心中付り観音廻り』
プロローグ
観音廻り
生玉社の段
天満屋の段
道行
今回はヨーロッパ公演で好評を博したバージョンでの凱旋公演ということで、世田谷パブリックシアターで行われました。
ま、前回見てるしどっちでもいいけどぉ、一応文楽ファンとしては行っとくかな~、
程度の気持ちで行ってきました。
どんな偉いのブンラクのファン様ってやつは!これだから嫌われるんだよ!
という態度でふんぞり返って。
…うそ。 お洒落な方々のなかでちっさくなって。
観たところ、前回とはだいぶ違うという印象。
全体的にコンパクトになったのは会場が狭くなったからでしょうか。
まず「プロローグ」、清治さんは前回せり上がりでじゃーーーん!と登場しましたが、今回せり上がはナシ。
「つけたりくわんのん廻り」では、杉本氏の写真作品を映していた部分に今回束芋さんのアニメーションを使っていました。
私は束芋さんのイラストは好きなんですけども、あそこであれを持ってくるのはやっぱり欧州の観客を意識してのことなのかなー、あの前でただでさえ小さい一人遣いの人形を舞わせても相乗効果はイマイチなんじゃないかなー、なんて思いました。
そうだ、今回は杉本氏秘蔵の仏像は登場せず。
そのかわり、氏の作品 「SEA OF BUDDHA~仏の海~」 の千手観音の画像がgifっぽくちかちか使われてましたね。
くわんのん廻り(←気に入ってる)のジャパニーズラップを担当するは呂勢さんだったYO
前回の咲甫さんはなにかのインタビューで、杉本氏に「早く、もっと早くできるだけ早口で」と依頼され難儀した、と仰ってましたが、呂勢さんはその点だいぶゆっくりでしたけども大丈夫だったんでしょうか。
三味線に遅れがちでしたよね。義太夫節らしいというか。
「生玉社の段」
ここでようやく口上が入り、人形浄瑠璃っぽくなりました。
九平次のかしらが男前なのにあわせて、着物もオシャレなのになっていたし津駒さんの語りでもいい男になってました。
顔がよくてお洒落でモテるけどめっちゃワル、っていう設定なのかな。
なんでそんなんと仲良くしてたの、とくびょうえ。利用されてたんちゃうの、このお人好しめが。
ここで、初めて近松の原文と現行上演しているものの詞章が全然ちがうってことに気が付きましたよわたしは。
いつも とくびょうえ(←気に入ってる)が連れの丁稚にあれこれ言った後「恋がいわせる付けことば」て補足するじゃないですか。いつものクセでそれをなんとなく待ってたら
あ、あら? ないねその台詞?
て。
ずっとなんとなくリズムが違って違和感があったのも、よくよく聞いていると詞章が全然違ってるんですねー
「押し付け祝言、嫌でござる!(だんっ)」ってのも、いつもそこで「徳兵衛、アホだなー」って思えて好きなんですけど、押し付け祝言なんて言うてなかった。
なーるほーどねー、と思って何とはなしに聞く方に一所懸命になってしまったよ。
「天満屋の段」は嶋さん・清治さん。
ここもフシも違うし「いつもの」感がなくて変わらないのは嶋さんの全身全霊の語りだけ。
清治さんは眼鏡かけて弾かれてましたしね。ありなんだ、それ。
あと、違うと言えば女中・お玉のおっぱい!
なんなの、前はもっと垂れてたのに、今回ずいぶんと若々しいおっぱいなってたじゃないの!
誰が気付かなくてもこの私の眼はごまかせないよっ
「道行」
ここはですねー、現行上演されてるのと一番違っていて好き嫌いのあらわれるところですよね。
私は今回、くどくどしく嘆いている二人がためらいながらようやく死んで行く様こそが、近松の描きたかったことなのかな、となんとなく思いました。
いつもの道行の曲の美しさも好きですけれども、「死」それも「心中」というものの及ぼす不幸、生々しさ、痛々しさ、憐れさ、そんなものを見せつけられた挙句に「恋の手本となりりけり」と来た。
曲調も華やかさは抑えられ、淡々と物語を浮き上がらせるものになっていて。
見終わった後のカタルシスのなさは私にとって格段に上のような気がしました。
結局、図らずも2回観ることになったわけですが、結果、2回観てよかった。
珍しく色々と考えたもん。
近松の考えてたこととか。
舞台をお客に喜んでもらおう面白く見せようとすることと、自分の考えの発表の場とすることの違い、とか。
靖さんと清志郎さんの役割は面白いな、靖さん、こういうのもいいな(はぁと)、とか。
清治さんの作る曲はなんとなく西洋風だな、とか。それを清介さんが弾くと和風になるな、とか。
なんで今回清志郎さんは立って弾かされずにすんだのかな、とか。
てかなんで前回あんな隅っこでスポットライト浴びて罰ゲームみたいに弾かされたのかな、とか。
内儀ってどこにいるのかな、とか。
そうだ、出演者のインタビューってのがあって、(コチラ)
勘介君は何を言うとる…
100年早いわ!と全国民からツッコミが入ってるところでしょう。
ま、ここには書けない色々な悪口は友だちと喋り散らかしつつ、これはこれで私にとってはかなり意義のある公演でした。
あーー、それにしても早く4月にならないかな~~
プロローグ
観音廻り
生玉社の段
天満屋の段
道行
今回はヨーロッパ公演で好評を博したバージョンでの凱旋公演ということで、世田谷パブリックシアターで行われました。
ま、前回見てるしどっちでもいいけどぉ、一応文楽ファンとしては行っとくかな~、
程度の気持ちで行ってきました。
どんな偉いのブンラクのファン様ってやつは!これだから嫌われるんだよ!
という態度でふんぞり返って。
…うそ。 お洒落な方々のなかでちっさくなって。
観たところ、前回とはだいぶ違うという印象。
全体的にコンパクトになったのは会場が狭くなったからでしょうか。
まず「プロローグ」、清治さんは前回せり上がりでじゃーーーん!と登場しましたが、今回せり上がはナシ。
「つけたりくわんのん廻り」では、杉本氏の写真作品を映していた部分に今回束芋さんのアニメーションを使っていました。
私は束芋さんのイラストは好きなんですけども、あそこであれを持ってくるのはやっぱり欧州の観客を意識してのことなのかなー、あの前でただでさえ小さい一人遣いの人形を舞わせても相乗効果はイマイチなんじゃないかなー、なんて思いました。
そうだ、今回は杉本氏秘蔵の仏像は登場せず。
そのかわり、氏の作品 「SEA OF BUDDHA~仏の海~」 の千手観音の画像がgifっぽくちかちか使われてましたね。
くわんのん廻り(←気に入ってる)のジャパニーズラップを担当するは呂勢さんだったYO
前回の咲甫さんはなにかのインタビューで、杉本氏に「早く、もっと早くできるだけ早口で」と依頼され難儀した、と仰ってましたが、呂勢さんはその点だいぶゆっくりでしたけども大丈夫だったんでしょうか。
三味線に遅れがちでしたよね。義太夫節らしいというか。
「生玉社の段」
ここでようやく口上が入り、人形浄瑠璃っぽくなりました。
九平次のかしらが男前なのにあわせて、着物もオシャレなのになっていたし津駒さんの語りでもいい男になってました。
顔がよくてお洒落でモテるけどめっちゃワル、っていう設定なのかな。
なんでそんなんと仲良くしてたの、とくびょうえ。利用されてたんちゃうの、このお人好しめが。
ここで、初めて近松の原文と現行上演しているものの詞章が全然ちがうってことに気が付きましたよわたしは。
いつも とくびょうえ(←気に入ってる)が連れの丁稚にあれこれ言った後「恋がいわせる付けことば」て補足するじゃないですか。いつものクセでそれをなんとなく待ってたら
あ、あら? ないねその台詞?
て。
ずっとなんとなくリズムが違って違和感があったのも、よくよく聞いていると詞章が全然違ってるんですねー
「押し付け祝言、嫌でござる!(だんっ)」ってのも、いつもそこで「徳兵衛、アホだなー」って思えて好きなんですけど、押し付け祝言なんて言うてなかった。
なーるほーどねー、と思って何とはなしに聞く方に一所懸命になってしまったよ。
「天満屋の段」は嶋さん・清治さん。
ここもフシも違うし「いつもの」感がなくて変わらないのは嶋さんの全身全霊の語りだけ。
清治さんは眼鏡かけて弾かれてましたしね。ありなんだ、それ。
あと、違うと言えば女中・お玉のおっぱい!
なんなの、前はもっと垂れてたのに、今回ずいぶんと若々しいおっぱいなってたじゃないの!
誰が気付かなくてもこの私の眼はごまかせないよっ
「道行」
ここはですねー、現行上演されてるのと一番違っていて好き嫌いのあらわれるところですよね。
私は今回、くどくどしく嘆いている二人がためらいながらようやく死んで行く様こそが、近松の描きたかったことなのかな、となんとなく思いました。
いつもの道行の曲の美しさも好きですけれども、「死」それも「心中」というものの及ぼす不幸、生々しさ、痛々しさ、憐れさ、そんなものを見せつけられた挙句に「恋の手本となりりけり」と来た。
曲調も華やかさは抑えられ、淡々と物語を浮き上がらせるものになっていて。
見終わった後のカタルシスのなさは私にとって格段に上のような気がしました。
結局、図らずも2回観ることになったわけですが、結果、2回観てよかった。
珍しく色々と考えたもん。
近松の考えてたこととか。
舞台をお客に喜んでもらおう面白く見せようとすることと、自分の考えの発表の場とすることの違い、とか。
靖さんと清志郎さんの役割は面白いな、靖さん、こういうのもいいな(はぁと)、とか。
清治さんの作る曲はなんとなく西洋風だな、とか。それを清介さんが弾くと和風になるな、とか。
なんで今回清志郎さんは立って弾かされずにすんだのかな、とか。
てかなんで前回あんな隅っこでスポットライト浴びて罰ゲームみたいに弾かされたのかな、とか。
内儀ってどこにいるのかな、とか。
そうだ、出演者のインタビューってのがあって、(コチラ)
勘介君は何を言うとる…
100年早いわ!と全国民からツッコミが入ってるところでしょう。
ま、ここには書けない色々な悪口は友だちと喋り散らかしつつ、これはこれで私にとってはかなり意義のある公演でした。
あーー、それにしても早く4月にならないかな~~