月の岩戸

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アラドファル・23

2021-07-01 05:36:06 | 詩集・瑠璃の籠

苦いことになりきる前に
馬鹿をやめさせてやりたかったが
それはかなわぬ夢になりそうだ

馬鹿者よ
今のその羽振りのいい人生は
すべて嘘なのだ
おまえはその嘘で作った自分を
永遠に生きていくつもりなのかと
何度も神に問われたのに
一切答えなかった

降り注ぐ光の中に
露に濡れた草の中に
水を泳ぐ涼しい魚の中に
神の問いは常に隠れていたものを
おまえはそれらを見て
何かを感じながら
一切無視したのだ

嘘で作り上げた自分をかぶりこみ
これが本当の自分だと
芝居がかったことをして
すべてをだまそうともくろんだ
善人の真似をして
それらしい殊勝なことを言えば
神もだまされてくれると思ったか
馬鹿者よ

おまえの行く手に
深い奈落の亀裂がある
そこに落ちれば
もうあほうになりきるという穴に向かって
おまえは嬉々として駆けているのだ
あほうよ
愚か者よ
もう間に合わぬ

神が創ってくださった
すばらしい自分を全部捨てても
そんなものになりたかったのか

なりたい自分などというものは
自分に都合のいい嘘で
世間をだまそうとする
醜い魂胆が見せる幻だ
おまえはそんなものになりたかったのか

永遠の亀裂が
神とおまえを分けるまで
おまえは馬鹿をやり続けた
もう間に合わぬ




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