月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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セギン・18

2017-11-15 04:14:41 | 詩集・瑠璃の籠

幻の栄華の美酒に
酔っている馬鹿は
今足元を吹く
冷たい風におびえている

盤石だと思っていた
居城の壁が
白いまことに食われ
ビスケットのようにもろくなっている
そのことに
ようやく気付き始めている

何もかもは
最後の愛を消してしまった
そのことから起こった
愛は
悪の虚栄の居城さえ
その存在を支えていたのだ
それを消してしまえば
それはいっぺんに破滅へと傾く

意味という意味が
すべて消えてしまうからだ

何もかもは
愛が必要だったから
やったことなのに
その愛を
馬鹿はすべて滅ぼしてしまった

愛を殺して
自分のための
豚にするはずだった
そのために造った
永遠の居城が
すべて馬鹿になった
やっても何の意味もなかった
愚か者の無駄骨になったのだ

こんな馬鹿な時代は
永遠に続くかの振りをしていながら
胸の奥で
早く死にたいとさえ
思っている
だが死ねるはずもない

愛のない
冷酷の砂漠の真ん中で
馬鹿はひとり
考え続けるしかない

なんでこんなことになったのかと




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