無知の闇をまとい
恐怖の翼を広げ
魔王がやってくる
人間を家畜にし
すべてを奪うために
栄光の騎士の剣をはき
永遠の聖者の仮面をかぶり
奴隷どもの
拍手喝さいを浴びて
堂々と舞台に登場する
われをあがめよ
馬鹿どもよ
われこそが神なるぞ
舞台の上で
うなるセリフに
観客は酔いしれる
あれこそが神
あれこそが愛
えらく馬鹿げた芝居だ
極上の絹の衣装から
妙なしっぽが見えている
それにだれも気が付かないのか
雨あられのように
幸運を浴びながら
目が地獄の闇に溶けていく
誰もあれを
おかしいと思わないのか
夢のごとき神の
派手な冠をかぶり
魔王は全世界をだます
屠殺場に向かう
豚のような恐怖を
隠しながら
やめられぬ糞芝居を
一生続ける
