紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

今、話題の徳永英明のヴォーカリストを考える…徳永英明~ヴォーカリスト2

2008-04-15 22:57:06 | J-POP
最近、「徳永英明」のヴォーカリスト1~3までを3枚組みにしてセットが販売されたらしい。
「徳永」のヴォーカリスト・シリーズと言えば、女性アーティストのバラード曲を、彼が歌ったアルバムなのだが、「徳永」の繊細でややハスキー・ヴォイスが、とても鋭く乙女心?を表現していて…巷で好評であり、この3シリーズで、300万枚売れた、スーパー・メガ・ヒットのシリーズなんですねぇ。
そこで、今日はこのシリーズから、一番売れなかった?「ヴォーカリスト2」を取上げてみたいと思います。
一番売れなかったと言っても、80万枚ぐらいで…セレクトされた曲は、もの悲しいマイナー調が多く、個人的には一番好きなアルバムなんです。

アルバムタイトル…ヴォーカリスト2

パーソネル…徳永英明(vo)

曲目…1.雪の華、2.いい日旅立ち、3.あの日にかえりたい、4.未来予想図Ⅱ、5.かもめはかもめ、6.セカンド・ラブ、7.シングル・アゲイン、8.あなた、9.恋人よ、10.なごり雪、11.M,12.瞳はダイアモンド、13.for you…

2006年録音

原盤&CD番号…UMCK-1212  発売…ユニバーサル・ミュージック

演奏(歌)について…まず、オープニングの「雪の華」…原曲は若手実力派「中島美嘉」が、(歌詞に似合わず?)割とクールに淡々と歌い上げる恋歌だけど、「徳永」は「中島」以上に乙女心?を繊細に歌って、適応性抜群です。
曲は正しく、白い色がテーマですが、「中島」が真っ白なら、「徳永」はオフ・ホワイトって感じでしょう。

2曲目「いい日旅立ち」では、「山口百恵」の、これまた大人しくも芯の強いイメージの女性像とは違って、少しナイーヴな感じに別の魅力がある。
バックのピアノ伴奏やアコースティック楽器での演奏パートが、より寂しさを表しています。
季節なら、「山口」の旅立ちは紅葉の秋、「徳永」は木が散っていて、初冬です。

3曲目「あの日に帰りたい」…原曲は、「荒井由実」の初期の名曲であり、「ユーミン」の下手うまなヴォーカルに当時やられた人が多いようですが、「徳永」はもう一寸、しっとりした感じで、「ユーミン」が悔し涙を流しながら、写真を千切っているが、「徳永」は諦めの境地に達していて、もはやさっぱりとした雰囲気があります。

4曲目「未来予想図Ⅱ」では、スーパー・ヴォーカリスト「吉田美和」には、「徳永」とてガチンコでは及ばないので、「吉田」よりも遥かに弱い女性で挑む。
すごーく大人しい女性で、あなたにじっとついて行く女性なのでしょう。
とても古風な女性です。

5曲目「かもめはかもめ」…「研ナオコ」ひいては「中島みゆき」のアンニュイな感覚と、少し路線を変えた雰囲気が良いです。
とても真面目な振られた女性が、一人海を見つめて…ここでも悔しさを超えて、諦めた潔さが感じて取れます。

6曲目「セカンド・ラブ」…「中森明菜」は当時、17歳の時にこの曲をメガ・ヒットさせたが、やはりティーンエイジャーらしい、初々しさが感じられたが、「徳永」は、20歳前半ぐらいの大人の女性のイメージの歌で、奥手の女性が、心の中でじっと思い続けている感じの歌に仕上げている。
この歌の女性もかなり古風なイメージで、昔の大和撫子の雰囲気を残してますね。

7曲目「シングル・アゲイン」…「竹内まりや」の90年初頭を代表する曲で、この曲は大好きな曲だけど、「竹内」の都会的な雰囲気で、別れても前向きな女性像のイメージが強くて、「徳永」の少し暗い感じの女性は、ちょっと重いなぁって思うね。
でも…潔さだけでなく、悩む姿も有って良い。

8曲目「あなた」…この曲は「小坂明子」が17歳?の時に作詞作曲した名曲ですが、この曲も、「小坂」が歌う透明感溢れるティーン・エイジャーのイメージが強すぎて、「徳永」が負けている感じですねぇ。
年齢的には、やはり20代前半で、すれていないとても真面目な女性で、田舎の方って雰囲気ですね。
ただ、「小坂」はいかにもって感じのピアノ伴奏だったが、「徳永」の編曲はエレキ・ギター・ソロと分厚いベースの伴奏で、かなり硬派の感じに仕上がっています。

9曲目「恋人よ」…この曲も原曲「五輪真弓」の超名曲の超名唱のイメージが余りにも強烈なので、ヴォーカリスト「徳永」とは言え、壁が限りなく高い。
「徳永」は、「五輪」よりもかなり控え目な表現で、真っ向から勝負は避けて、とても繊細な弱弱しい女性を見せる。
うぅーん、これも確かに有りですね。
野球で言えば、バント攻撃?それとも変化球攻め?かな???

10曲目「なごり雪」…歌は「イルカ」、曲は「伊勢正三」の永遠の名曲。
このヴォーカルは、「イルカ」と「徳永」がオーヴァー・ラップして、イメージ的にとても良く重なる。
しかし「徳永」のオリジナリティも勿論有って、「イルカ」よりも大人しい感じで、ちょっぴり控え目な女性なんでしょう。

11曲目「M」…こいつも原曲は「プリンセス・プリンセス」の「奥居香」だから、かなりアクティブで活発な女性なんだけど、「徳永」は当然、もっと大人しい感じです。
日記のMをなぞる女性…この味わいは有ってますよ。
じっと思い出に浸るタイプなのでしょう。

12曲目「瞳はダイアモンド」…「松田聖子」のちょっぴりぶりっ子な原曲の歌よりも、普通の感じがして、このトラックは原曲を超えた感がある。
非常に抑えた感情と表現が、星を見上げる女性にぴったりはまります。
原曲のメルヘンさよりも、(歌詞にある)メモリーの勝ちですね。

13曲目「for you…」…この曲もスーパー・ヴォーカリスト「高橋真理子」とは対決を避けて、「徳永」の描く独自の世界、シャイで大人しい女性が心の奥で叫ぶ…誰にも言えない心の叫びを表現しています。
「高橋」が動なら、「徳永」は正に静…対照的な歌唱です。

原曲が名曲、ヒット曲ばかりで、オリジナル歌手のイメージが勝っているのも有りますが、原曲と異なったアプローチで、「徳永」ワールドを構築している曲も有るし、イメージ的に原曲を超えて、これの方が良いと思える作品も有ります。
このヒット・アルバムを聴いていない方、是非、ご一聴を…
★まだ持っていない人は、今度出た3枚組が良いと思います。