nachtmusik

♪andante...im tempo...rondo...adagio♫

Glenn Gould / The Russian Journey

2008-06-05 | Classical♪
昨夜、ようやく観ました~

『グレン・グールド/ロシアの旅』(2002年 カナダ制作)
 〈第21回モントリオール国際芸術映画祭2003 グランプリ受賞〉

DVD発売されたのが2005年10月なので購入後2年以上も開封しなかったことになります~

本作品はグールドが1957年5月、演奏旅行で訪れたソ連公演を目撃した人たちの回想録が
中心となっていて、当時のグールド本人の映像が流れるわけではないので退屈しそうな気
もしますが、意外と第三者の人たちの証言だけで構成されている本作品はある意味リアリ
ティーに満ちています。

また出演者1人1人が半世紀近く前の出来事にも関わらず、今なお鮮明に記憶していること
にも驚かされます。当時を振り返り話す様子はとても情感がこもっていて素晴らしく、
当時を知らない私でも追体験できるくらい画面に引き込まれてしまいました。

当時のソ連はスターリンが亡くなってフルシチョフがトップの座にあった時代で、米ソの
冷戦が本格化してきた時代です。この頃のソ連の人たちは西側陣営に位置するカナダ出身
の若きピアニスト:グールドが1955年に録音した「ゴールドベルク変奏曲」をまだ聴いた
ことがない人たちがほとんどでした。
またグールドは北米ピアニストとしては戦後初のソ連公演を行った人物でもあります。

演奏会初日の第一部は空席が目立ったそうですが、そこで奏でられたグールドのバッハを
初めて目撃した人たちは強い衝撃を受け、第一部終演後には友人知人に電話をかけ、今す
ぐ演奏会場へ来るようにと伝えます。そして第二部開演の頃にはたくさんの人たちで会場
は埋まります。その後の演奏会も大盛況となり、計8回のソ連公演が行われました。

また本作品には著名なロシア出身の音楽家などのコメントも含まれています。

ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェリスト、指揮者)
ウラディーミル・アシュケナージ(ピアニスト、指揮者)
アンドレイ・コンチャロフスキー(映画監督)
ウラディーミル・トロップ(ピアニスト)


【主な収録曲】(いずれも断片)
 バッハ
 ・フーガの技法
 ・ゴールドベルク変奏曲
 ・パルティータ第5番
 ・ピアノ協奏曲第1番
 ・イタリア協奏曲

 クルシェネク
 ・ピアノ・ソナタ第3番

 ベルク
 ・ピアノ・ソナタ

 スヴェーリンク
 ・幻想曲

 ウェーベルン
 ・変奏曲 op.27

 ショスタコーヴィチ
 ・ピアノ五重奏曲

 プロコフィエフ
 ・ピアノ・ソナタ第7番


*グレン・グールドへのコメント
「神に選ばれた人だ。トロントから出た天才は音楽の世界を変えた」~ロストロポーヴィチ
「グレンは私の永遠のアイドルだ。彼と張り合うなんて到底できない」~アシュケナージ


追伸:このDVDを観て感じたことは、グールドは24才にして既にあの時代のロシアの人たち
   をも魅了してしまっていたという歴史的事実です。それは一般聴衆から音楽関係者に
   始まり、当時既に著名だったロシア出身の大ピアニスト:スビャトスラフ・リヒテル
   にして『バッハの最も偉大な演奏者』とまで言わしめています。
   古今東西、偉大なピアニストと称される人物は何人か存在しますが、グールドに関し
   ては別次元での偉大なピアニストのような気がします。それは彼が遺した著書を通し
   ても感じることができます。


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