よったろーのせーさく日記3

よったろーのせーさく日記からの引き継ぎです。
ちょちょいのよったろーと申します。
改めましてよろしくお願いします。

以上です。

2022-12-03 14:53:58 | 日記

以上が【リハビリ用パンドラ】になりました。

何とか作れたと言う感じですね。

でも今回はまだ、元々あった作品を改編しただけです。

これからが本番なので、次、作れたら本番という感じですね。

今日の所はこれまでです。


リハビリ用パンドラ47

2022-12-03 14:53:16 | 日記

 人々の生活に根付いた品物に姿形を変えて心の隙間に忍びよる……
 それが、パンドラという呪いだった。
 女性の姿をしているとは限らない……
 ターゲットは不特定多数。
 手当たり次第。
 とにかく、人を殺すための呪いだった。
「よろしくね、学(まなぶ)君。これはお近づきの印ってことで……」
「良いの、杏子(きょうこ)ちゃん?大事にするよ!」
「だーめ、パンドラって呼んでって言ってるでしょ?」
「そうだったね、でも何でパンドラなの?
 全然名前と違うじゃん」
「……パンとどら焼きが好きだからよ。
 だから、パンドラ。
 ね、おかしくないでしょ?」
「もっと良いのがあると思うんだけど、例えば……」
「いいの!パンドラが良いの!」
「わかったよ。パンドラちゃん」
 今日もどこかでパンドラという名の悪意が忍び寄るかも知れない……
 不自然に自分をパンドラとアピールする者がいたらご注意を!
 今日もどこかで、災厄が降り注ぐ……


リハビリ用パンドラ46

2022-12-03 14:52:35 | 日記

「この詩、何か引き込まれるんだよね、ほら、この「あなたを虜にする」ってところ」
「知ってる、知ってる。
 パンドラって歌だろ?ネットでも話題になっているよ」
「買いだね、これは」
「俺もダウンロードするわ~」
 パンドラという歌詞が広まっていく……
「ねぇ、携帯小説で、パンドラって話があるの知ってる?
 泣けるよねー?」
「あぁ、切ねーよなぁ。
 俺も泣いちまったよ」
「続きが早く知りてー」
「本が出たら絶対に買うね、僕は」
「俺も、俺も!」
 パンドラという携帯小説が広まっていく……
「守谷(もりや)ぁ、ゲームばっかしてねーで映画行くんだろ?」
「バカ、これ面白れーんだよ。
 お前もちょっとやってみろって」
「はぁ?俺、ゲーム嫌いだって……そうだな、面白いな……」
 パンドラというゲームが広まっていく……


リハビリ用パンドラ45

2022-12-03 14:51:58 | 日記

 会釈して去っていく女性。
 隆俊は最後にもらったカメラのメーカー名を聞いたら女性は【パンドラ】というメーカーだと言い残した。
 夫婦はその後、パンドラというカメラでいろんなものを撮しまくった。
 しばらく楽しい時を過ごしたが、三日後、ヴェネチアで理彩は失踪した。
 まるで神隠しにでもあったかのように。
 隆俊は知らなかったが、パンドラで撮した写真にたまたま写り込んだ人達も少しずつ失踪を初めていた。
 そして、理彩を探していた隆俊は偶然、エクソシストと知り合うことができ、失踪事件を解決することが出来た。
 カメラのレンズに杭を打ち込むことで大半の失踪した人は衰弱してはいたものの、無事に帰って来たのだ。
 だが、残念ながら、解決と言っても理彩だけは遺体となって帰ってきた。
 無人のゴンドラにもがき苦しんだような形相で亡くなっていたという……
 原因は写真にたくさん写り過ぎていたからだ。
 エクソシストが退魔するころには生気を絞り取られ過ぎて命が尽きていたのだ。
 パンドラのカメラ……
 この他にも姿形を変えて、パンドラという呪いは世界中に広まっていった。


リハビリ用パンドラ44

2022-12-03 14:51:16 | 日記

15 新たなるパンドラ

 この呪術は無数の呪いの集合体だった。
 まるで、神話のパンドラの箱のようにたくさんの呪いが集まって出来ている。
 希望の光のようにそれぞれの呪いには弱点が必ず存在するがその呪いの種類は無数に存在する。
 この呪術を仕掛けたのは現代の魔女、パンドラだった。
 人の世、全てを憎み、人に不幸を撒き散らす魔女はまだ、どこかに存在する。
「すみませーん、写真撮ってくれませんか?」
 ハネムーンで若い夫婦が凱旋門で写真を撮ってもらおうと女性に声をかけた。
 外国語が不得意な夫婦は同じ日本人っぽい女性を見つけてお願いしたのだ。
「……良いですよ。
 ……新婚旅行ですか?」
「えぇ、まぁ、二年の交際を経てようやくゴールインって感じです」
「……幸せですか?」
「そりゃあ、もう、こんなに幸せで良いのかって……あ、お願いします」
「……はい……、あ、このカメラ、壊れてますよ」
「え?おっかしいなー……、最新式のスマホなんだけどな……あれ?
 本当だ、参ったなーどうしようかな?……」
「……良かったら、これ使って下さい……」
 女性はデジタルカメラを差し出した。
 見たこともない奇妙なカメラだった。
「いやぁ、悪いよ……それに操作方法とかわかんないし……」
「……これに住所とお名前を書いていただけますか?
 そうしたら、後で説明書をお送りいたします」
「……いや、悪いって……」
「――いえ、私が壊したのかも知れないですので……
 それに、これは私から貴方方への結婚祝いだと思っていただければ……
 私は他にもカメラを持っていますし……」
「隆俊(たかとし)、良いじゃない、もらっちゃおうよ。
 私達のご祝儀としてさ」
「理彩(りさ)が、言うなら……
 じゃあ、ただでもらうのも何だからこれ、少ないけど……」
 夫婦は女性にユーロで少しばかりの謝礼金を支払った。


リハビリ用パンドラ43

2022-12-03 14:50:36 | 日記

 が、間髪入れずに客席の後方と左右に置かれたものから暗幕がとり外され中から大量の鳩が飛び出した。
 四方から鳩が飛び出したことで、パンドラの逃げ場はなくなり、みるみる内に身体が崩れていく。
「何だ……なんなんだ……???」
 浩紀は何が起きたのか解らない。
 すると、榮一郎先輩達が説明を始めた。
「……この呪いを解くには、川瀬君、君からパンドラを引き離すための許可を君自身からもらわなければならなかったんだよ」
「それとパンドラが自ら名乗る事も必要だったの。
 弱点はいくつかあるみたいだけど、私達が知り得たモノはこのやり方だったのよ」
「この女は失われたはずの古代の呪術から生まれた悪鬼よ。
 だから、天使のイメージがある白い鳥や清めの塩等が苦手なの」
「騙して、悪かったね。
 でも、川瀬君、君を助けるにはこれしか無かったんだ。
 あのまま行くと君の知り合いは全て殺されて、君は絶望の中、ひとりぼっちで死ぬことになっていたんだ。
 危ないところだったんだよ」
「そ、そんな……」
 浩紀は腰を抜かした。
 自分の理解を超える状況にただただ呆然とするしかなかった。
 最初は動揺していたが、パンドラがグズグズに崩れ去るとまるで憑きものが落ちたかのように、パンドラに対する愛情も執着も綺麗さっぱりと消えていた。
 パンドラが死んでしまったのに悲しくもなんともない……。
 それまで、パンドラ中心に生きていたのがウソのように完全にどうでもよくなっていた。
 むしろ何であんなおぞましいものを好きになっていたんだと身震いがした。
 浩紀のアパートの畳の下に、無くなっていた思われた石棺がまるで植物の様に根付いていたが、塩を振りかけたらこの石棺も土塊にかえった。
 浩紀は助かったのだ。


リハビリ用パンドラ42

2022-12-03 14:49:58 | 日記

14 パンドラの最期

「では、彼女さん、ちょっとよろしいでしょうか?
 お名前は?」
「ふふっ……パンドラよ。
 よろしくね……」
 不敵な笑みを浮かべるパンドラ。
 もうすぐあなたは私がいただくわよとでも言いたげな顔だった。
 にっこりと笑う勇治。
 パンドラは促されて勇治の元に近づいた。
「では、よろしくお願いします」
「ふふふ、今度はどんなマジックかしら……」
「ええ、単純な手品なんですよ。
 このシルクハットを叩くとですね……」
 バタバタバタ……
 勇治がステッキでシルクハットを叩くと中から鳩が飛び出した。
 いたってシンプルな手品である。
 だが――
「ぎぃやぁぁあぁぁぁぁっ!!」
 パンドラはもがき、苦しみ出した。
 すぐさま更に、勇治は服の中からありったけの鳩を出した。
 全て白い鳩である。
「ひぃやぁぁぁぁぁっ……」
 たまらず客席に逃げようとするパンドラ。
 すると今度は観客達が隠し持っていた塩をパンドラに投げつける。
「な、何をするんだ!?」
 浩紀は怒鳴る。


リハビリ用パンドラ41

2022-12-03 14:49:15 | 日記

 次から次へと不思議な手品を披露する勇治先輩。
 楽しい一時だった。
 そして、ショーも大詰め、いよいよ、最後の大マジックを残すのみとなった。
「皆さん、楽しんでいただけましたでしょうか?
 残すところは最後の大マジック。
 なんと、美女を土塊に変えるというマジックです」
「おぉー」
「いいぞー」
「川瀬君、彼女、お借りしていいかな?」
 客席の後ろにいた榮一郎先輩が浩紀に声をかける。
 あぁ、パンドラでマジックをしてくれるんだ……。
 そう、思った。
 粋な事をしてくれると素直に喜んだ。
「……良いですよ。
 彼女をよろしくお願いします」
「……そう、良かった。
 本当に良かった」
 榮一郎は大げさに喜んだ。
 ちょっとオーバーだなと思ったが浩紀は殆ど気にもしなかった。


リハビリ用パンドラ40

2022-12-03 14:48:34 | 日記

 浩紀は解っていなかった。
 名前をパンドラに教えて例え写真でも顔を見せたが最期、その知り合いには死が待っているという事を……。
 日曜日になって使われなくなった学校の体育館でマジックショーは執り行われた。
 空はよく晴れている。
 絶好のデート日和だ。
 浩紀はパンドラを連れてやってきた。
「おぉ……」
 体育館には他にもお客さんが来ていてパンドラのあまりの美しさにどよめきのような声が漏れた。
 浩紀は優越感に浸っていた。
 これが俺の彼女だと。
 パンドラは体育館に来ている人間を一人一人見て回った。
 まるで、これから食事でもとるかのように舌なめずりをしながら。
 マジックショーの前に前座として、お笑いサークルの漫才などがあり、ほどよく和んだところで、本日のメインイベント――マジックショーが執り行われることになった。
 マジシャンは榮一郎先輩の友人、小野寺勇治(おのでらゆうじ)先輩だった。
 彼も榮一郎には及ばないが霊感が強いと言われていた。
 カラカラと暗幕をかぶせた何かが客席の後ろと左右に運び込まれる。
 浩紀はマジックの種か何かだと思った。
 パンドラも同じように思っていた。
 客席の後ろには榮一郎先輩が。
 左側には碓井 栄美(うすい えみ)先輩が。
 右側には里村 翔子(さとむら しょうこ)先輩がついた。
 全員霊感が強い事で有名な先輩だった。
 そして、正面には勇治先輩がついて、彼はマジックショーを始めた。


リハビリ用パンドラ39

2022-12-03 14:46:41 | 日記

13 パンドラ包囲網

「川瀬君。
 この前は悪かったね」
 榮一郎先輩が再び声をかけた。
 浩紀は怪訝顔で見返す。
 もはやパンドラ以外誰も信用しないという目つきだった。
「何ですか、なんなんですか?
 俺、急いでいるんで……」
 敵意に満ちた言葉で返す。
「それは悪かったね。
 実は、この前、変なこと言ったお詫びと言っちゃなんなんだけど、今度、僕の入っているマジックサークルで手品をやるんだ。
 良かったら、いや、是非、来てくれないか?」
「俺、彼女と暮らしているんで、そんな時間無いです……。
 いろいろやることがあって……」
 断ろうとする浩紀。
「なら、その彼女を連れて来ればいいよ。
 彼女を喜ばせたくないかい?」
「……それなら、考えて見ます」
 パンドラが喜ぶなら……と思い、浩紀は参加をするかどうかを彼女に聞いて彼女が参加しても良いと言えばマジックを見ることにした。
「マジック?
 ……そうね……面白そうね……。
 浩紀さんのお知り合いもたくさん来るのだろうし……」
「そうか。
 じゃあ、先輩に参加するって言うよ」
「ふふふ……楽しみね……」
「そうだね、楽しみだね」
「一人一人、お名前、教えてね。
 浩紀さんの知り合いは全部知りたいの……」
「あぁ、わかったよ」
 パンドラもマジックショーの見学を認めた。


リハビリ用パンドラ38

2022-12-03 14:45:52 | 日記

12 追い詰められる浩紀

 3ヶ月目には26人もの知り合いが亡くなり、その中には浩紀の父親と叔母も含まれていた。
 その頃には浩紀に近づくと死ぬという噂が大学中に広まり、殆ど誰も彼に話しかけてこなくなっていった。
 それまで、苦しい生活をしながらとは言え、青春を謳歌していた頃の浩紀はもういない。
 どんどん周囲から孤立していった。
 それは人生が急速に色褪せていくような感じだった。
 そう――人生そのものを奪われているような感じだった。
 変な噂がつきまとい、バイトは全部、クビになった。
 おもしろ半分で都市伝説として、浩紀の事をネットで流した男も人知れず死んでいた。
 浩紀の周りからパンドラ以外の人がどんどんいなくなっていった。
 いつしか、浩紀はパンドラの入った石棺を彼に渡して死んだ祥吾と同じ顔をしていた。
 誰が見ても明らかにわかる死相がくっきりと出ていた。
「みんながね、パンドラの事、悪く言うんだ……」
「……そう……。」
「そんな奴ら……こっちから願い下げだ……」
「そうね……」
「パンドラ……君さえいれば、それで良い……」
「そうだね……」
 パンドラにすがりつく浩紀。
 パンドラは不気味に笑っている。
 だが、浩紀はそれを美しい笑顔と認識してしまっている。
 ……重症だった。


リハビリ用パンドラ37

2022-12-03 14:45:03 | 日記

「大変、言いにくい事なんだけど、君にかなり強い、死相が出ているんだ。
 相当にヤバイ何かに取り憑かれている気がするんだ……。
 何か心当たりはないかい?」
「何もありません……。
 急いでいるんで、失礼します」
「そう………」
「ほんとに何もありませんから……
 じゃあ、これで……」
「………」
 浩紀はそそくさとその場を後にした。
 榮一郎先輩は黙って浩紀の後ろ姿を見ていた。
 パンドラは怪しくなんかないんだ……。
 そう思っていた。
 だが、誰も怪しいのがパンドラだとは言っていない。
 浩紀の頭の奥ではパンドラが怪しいと思っていたが、彼女への恋心がそれを邪魔していた。


リハビリ用パンドラ36

2022-12-03 14:44:12 | 日記

11 救い手

「川瀬君……」
「え……何?、何ですか?」
 突然、浩紀に話しかけたのは一つ上の先輩、松村榮一郎(まつむらえいいちろう)だった。
 霊感が強いことで有名な先輩だった。
「その……、何て言うか……
 君の周りで大勢、知り合いが亡くなったりしていないかい?」
 もちろん、図星だった。
 浩紀の周りでは、認識しているだけでも、18人がここ2ヶ月の間に亡くなっている。
 それも、殆どが変死だ。
「……いえ、……別に……」
 浩紀はウソをついた。
 パンドラがいれば何もいらない……。
 そう思っていたのだ。
 余計な詮索をされたくない。
 そうも思っていた。