前回の続きで、これが最後。
結局のところ、このエキスポが十分な成果を上げることができなかった理由はどこにあるのか?
それはズバリ、中国で行う事業にもかかわらず、日本のやり方をそっくりそのまま持ち込んだことが最大の要因と言っていい。
その端的な部分が、委託業者。
関係者ではないので詳細は分からないが、おそらく入札かコンペで決めたのだろう。
確かに同社、オペレーションの能力は悪くなかったと感じる。
出展者への通知も頻繁に送られてくるし、状況報告も適宜行われていた。
しかし・・・・、どこか機械的で魂がこもっていない。
しかも、同社は中国国内に事業所をもっていない。
一体どうやって中国の企業を集めることができると言うのか・・・。
正直に言って、発注する側が甘く見過ぎである。
おまけに中国側からは「自分たちに調整のための国際電話代を負担させるのか?」という不満も聞かれたという。
これでは信頼関係を築こうにも、あまりにも距離があり過ぎる。
こういった類の初開催のイベントは、主催者の熱意が成否を決定づけるものだ。
高尚な理念を実現するためには、現場の泥臭い努力が必要となってくる。
中国側の熱意を盛り上げていくことも、当然ながら必要となる。
結局、そういった現場の顔となるような人物が、今回は見当たらなかったということだろう。
中国のビジネスマンには賢い人が多い。
それ故、熱意をもって取り組んでいるか否か、自分たちにとって利があるか否か、を瞬時に判断されることも多い。
しかも、中国でのBtoBイベントの成功は容易ではない。
この国ではどのイベントも一種のお祭りであり、一般客がわんさか来るのが当たり前だからだ。
日本で同種のものを開催しようと思えば、個別企業へのDMやネットでの告知、業界団体への呼びかけ等を通じて、ある程度の集客の見込みが立つし、大手企業を囲い込むこともできる。
しかし、この国で同じようなことをしようとすれば、有力なコネや多額の費用が掛かってしまう。
いや、お金をかけても実現しないことも多々あると思ったほうがいい。
大手国有企業を本気で動かすのは、日本人にとって簡単ではないのだから・・・。
つまり、成功を目指すのであれば、準備段階からの中国側とのコミュニケーションが非常に重要だ、ということ。
中国側のカウンターパートである国際貿易促進委員会は、全国規模の大きな組織だ。
彼らをその気にさせていれば、もっともっと実質的な成功を収めることができたはずだと思うと、残念で仕方がない。
日中間の企業交流のあり方について、思いをもった日本の関係者はたくさんいる。
こうした方々がもっと活躍できる場をつくるべきだ。
日本全体の力を結集すれば、もっと日本企業が活躍しやすい環境を整えることができるに違いないのだから。
こうは言っても「過ぎたりしは追わず」である。
事業に反省材料は付きもので、問題はどうやって次に生かすか、である。
繰り返しになるが、この事業自体は大いに意義があることである。
だからこそ、絶対に成功を目指すべきなのだ。
欧州や米国は、中国に対して色々な仕掛けを打っている。
こうした動きに負けない力強い活動ができるよう、自分も日本チームの一員として、微力ながら精進していきたい。