いまから20年ほど前、中国で一人旅を出来ればかなりのツワモノと言われたそうだ。
確かに改革開放以前の中国を旅するというのは、大げさに言えば現在の北朝鮮を旅するようなものなので、その苦労は並大抵のものではなかっただろう。
こういった悪いイメージというものは、時が経ってもなかなか払拭されないものだ。しかも外国となれば、情報も限られているので、当然といえば当然か。。。
筆者が中国を訪れる日本の方々と接していて、いつも感じるのは、「中国を訪れた時期が異なれば、個々人の中国に対するイメージが全く違う」ということだ。
だから、十数年前に一度だけ中国を訪問したことのある人は「ヒドイ国だ」と言うし、つい最近初めて中国を訪れた人は「大都会でビックリした」と言う。
ま、どちらも本当なんですけどね。。。
余談はさておき、今回は中国のビジネスホテル事情をレポートしたい。
筆者も中国国内を出張する機会が多いので、最近はビジネスホテルにお世話になることも多い。
日本からの短期出張であれば、5ツ星や4ツ星の高級ホテルでも構わないが、毎日生活していれば、そこへの価値観は薄れていくもので・・・。
ここで、中国のビジネスホテル業界を外観したい。
この業界もご多分に漏れず、急速な経済発展による旺盛な宿泊需要に支えられて大躍進したわけだが、いま市場では6強と呼ばれる大手とそれ以外という構図が定着化してきた。
この6強とは、如家酒店(HomeInn)、7天酒店、錦江之星、漢庭酒店、莫泰酒店(Motel)、格林豪泰(GreenTreeInn)のこと。
6強は内陸部や中小都市への出店攻勢を仕掛けるとともに、規模のメリットを追及すべく積極的なM&Aを展開している。
こうした中、6強の一角が敵の牙城に堕ちた。
数ヶ月間の買収交渉を経て、今年5月、莫泰酒店(Motel)が如家酒店(HomeInn)に4.7億ドルで買収されることが発表されたのだ。この買収により、如家は既存の484店舗に莫泰の282店舗を加えることになり、総店舗数が1,000店を突破した。
この買収劇を仕切ったのは、莫泰の約59%の株式を保有していたモルガン・スタンレー。やはり経済の現場では、中国と米国はもはや切っても切れない関係ということか。。。
しかし、この買収劇、当初のオファー10億ドルから半値以下での決着になったわけだから、業界では「如家はいい買い物をした」との評判が専らだ。いやはや中国の商魂たくましさには米国もお手上げといったところかも。
とはいえ、6強の各社にとって、米国は重要なパートナー以外の何物でもない。
親会社が大手ホテルチェーンの錦江之星は別として、資金繰りの観点から米国は無視できないからだ。
その証拠に、如家酒店(HomeInn)、7天酒店、漢庭酒店はNY証券取引所に上場しており、格林豪泰(GreenTreeInn)も近く上場を果たすと言われている。
こうした資本形成の部分で隣国/日本が果たすべき役割が小さいのは悲しい限りだが・・・。
次回以降、もう少し細かくチェーンごとに考察を進めたい。
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