市原フィル名物といわれている、室内楽大会に参加した。
昨年は試みに、チェロアンサンブルの一員として参加させてもらったが、今年はモーツアルトのクラリネット5重奏の一員としての、本格参加だ。
市原名物・・のいわれは知らないけど、「本気で遊ぶ」人たちなので、内輪の演奏会なのにそれにかけるエネルギーは半端じゃない。
何日も何回も練習を繰り返して本番に備えるあり方が「名物」のゆえんなのではないかな。
だから、5ヶ月近く前にアンサンブル誘っていただいて以来
「自分に本当に出来るのか」
「迷惑かけるのではないか」
「音程が狂ったらどうしよう・・」
などと心配は尽きなかった。
室内楽大会は夕方6時から、美浜区の音楽小ホールでスタートした。
ピアノ三重奏、ホルンとバイオリンのデュオ、金管アンサンブルなど多彩な出し物のあと、
前半のクライマックスであるバッハのドッペルコンチェルト、メンデルスゾーンの弦楽合奏と
続き、小休止のあと我々「クラ5」に突入となった。
本番までに二回の練習を経て、何とかいけるとなってはいたものの、室内楽大会の直前練習でも、チェロが4小節休んだ後バイオリンのオブリガートに合わせて入る部分は、いまいち遅れ気味で微妙に合わないままだった。
明るく照明に照らされた音楽ホールの舞台に上がると、音楽通に見つめられて緊張した。
そんな緊張をやわらげてくれたのは、リーダーのちょとしたいたずら?だった。
本番用のグループ名を「○○爺デビュー」と変更し、最高齢の一人となった僕の名前を○○に入れて、会場にアピールしてくれ、会場からも「○○爺」と声が掛かったりした。
「とうとう僕も”爺”と呼ばれるようになったのね・・・」と思う一方、「やはり市原フィルは暖かいな~誰をも迎え入れて仲間にして行こうとしてくれる。」と感謝の気持ちだった。
そういえば「クラ5」に僕のような初心者を加えてくれたのも、飲み会にほとんど顔を出さない僕のことをもっと知るためだった、と直前にリーダーから知らされていた。
チューニングを始めると、まぶしい照明でチェロの音程が微妙に狂ってくるようで、なかなか合わない。
クラリネットにAの音を出してもらい合わせようとしてもなかなかピントこないでいると、
会場から「バイオリンに合わせたほうがいいよと声がかかり、ようやく演奏スタートとなった。
クラ爺の首振りを合図に演奏が始まった。
はじめてみると音響が良い舞台にいるからか、自分の音だけでなく、バイオリン、ビオラの音もよく聞こえて大変合わせやすい。
アンサンブルで良い音を出すことに集中していると、会場のことは気にならなくなり、
みんなの表情もよく見え、音もよく聞きながら演奏することができた。
いつの間にか5人でのアンサンブルだけが意識に残り、楽しい気持ちで演奏している。
あれだけ本番を恐れていたのに、この5人でわずかな間だけど練習をし、音合わせをし、自主トレしてきた日々が、今この瞬間に結晶し、終わりに向かってどんどん進んでゆく。
できればこのまま終わらないでほしいと感じた。
そんなことを思っていると、バイオリンに続いてチェロが入る問題箇所に到達し、
落ち着いてアイコンタクトし、ピタリとはまることができた(と感じた)。
それでほっとしていたためか、最後の速いフレーズはあっという間で、突っ込んでしまった。
本当はビオラの三連譜をよく聞いて、続いてチェロの三連譜でエンディングとなるのだけど、
アイコンタクト部分の成功で心に隙間が生じて、タイミングをつかみ損ねてしまった。
結局、体が覚えている感覚任せでエンディングに突入してしまったのだ。
果たしてちゃんと弾けたのか、それとも1音早く突っ込んでしまったのかは、
舞台から降りるまで(降りても)分からなかった。
こうして「クラ5」アンサンブルは幕を閉じたけど、
楽しいというより「気持ちいい~」という感覚が残った。
「気持ちいい~」なんて初めての感覚だった。
舞台の上で、自分たち5人だけが照明に照らされながら
一つの音楽を完成させたという喜びなのかもしれない
いや、初めて会った人たちと、最後には「心を一つに」できたこと。
一つのチームになれた喜びのような気もする。
(ビデオをよく見ると、ビオラ嬢が僕が音ズレしてる部分で睨んでいたけど・・・)
アンサンブル次の機会にも絶対やりたいと心から思った。
毎年毎年、何回でもアンサンブルを楽しみたいと感じた。
この5人で出来たらいいけど、そうも行かないのかも・・・
アンサンブル大会はこうして終わった。
僕は写真担当だったので、全グループの写真を何とか収めることが出来たけど、「クラ5」だけはどうしても動画で残したかったので、一眼レフを「動画モード」にして記録しておいた。
演奏会終了後、この動画を繰り返し繰り返し、何度も何度も反芻して見てみたけど、「気持ちいい~」はどうやら舞台の上だけで、その後見れば見るほど、反省点ばかりが出てきてしまった。
本当によいアンサンブルとなるには、呼吸の合った合奏とともに、自分自身がゆるぎない音程で演奏できないとだめ(怪しげな音程が散見された)。
それから美しいビブラート。もっと歌って演奏しないと、ただ音を出しているだけでは、
諸先輩の演奏のように「すごい」とか「美しい」という感動は呼べないと思う。
次回本当に「気持ちいい~」となるために、基礎の基礎をさらにつみ重ねないとな~。