1か月ほど前だろうか、夕刊に芦田愛菜ちゃんのインタビュー記事が載っていた。
それを読んだカッパさんは愛菜ちゃんの言葉にいたく感銘を受けた。
「すごいな~愛菜ちゃん、めっちゃ心理をついている」
内容は確か、誰かを信じるってことは、
その誰かに『こうであってほしい』と依存していること、
その誰かに裏切られたと思うのは、相手の気持ちが変わったのではなく、
相手の真実の一面を見たにすぎない・・・
っていうようなことを言っていたと思う。知らんけど。間違ってたらごめん。
ま、そんな感じでカッパさんは愛菜ちゃんに心酔してしまった。
私は「愛菜ちゃんはたくさん本を読んでいて、本も出してねんで」
と言うと、
「図書館で借りてきて!!」とカッパさんが叫んだ。
次の休みの日に買い物のついでに図書館に寄って、
『愛菜の本棚』と言う本を借りて来てやった。
早速、カッパさんは本をむさぼり読み、
「すごいなーー愛菜ちゃん」とすっかりファンになってしまった。
カッパさんはあまり小説を読まないタイプだが、
すっかり愛菜ちゃんに影響を受けて、
「愛菜ちゃんの奨めてくれた本を読む」と言い出した。
良き良き・・・。
本は心のごはんだ。カッパさんも本を読んで成長してほしい。
そして、カッパさんは村上春樹の「騎士団長殺し」を読むと言い出した。
これは愛菜ちゃんが絶賛していた本だ。
これもすぐに図書館で借りられた。
さて、手元に「騎士団長殺し」がある。
私は村上春樹は「ノルウェーの森」を友人に借りて読んだことがある。
苦行だった。
共感できる部分が少ない。もちろん感情移入ができない。
私にとっての小説とは自分がそのストーリーに入りこみ、
登場人物や傍観者や、あるいはあいまいな存在としてその世界を体感する、
と言うようなものだ。
しかし「ノルウェーの森」はそれができなかった。
最後まで活字を追うだけの作業だった。
それをカッパさんに言うと、
「好きか苦手かに分かれるらしい」(愛菜ちゃん調べ)と言った。
インドに行った人が、インドをそう表現してたな。
インドと村上春樹か。
で、カッパさんは「騎士団長殺し」を20ページでギブアップした。
表現がまどろっこしくて無理―――っ!!だって。
確かに描写が丁寧だ。そして繊細。
霧の濃い森の中を、木や空気、風の向き、匂いなどを頼りに進む感じだ。
ただ俳句などを作るときに、村上春樹の文章は非常に参考になる。
もしかしたら俳人のアンチョコになっているかもだ。
っつーか、最近は俳句をひねってないけど。
など、なんだかんだぶつくさ言いながら、
「騎士団長殺し」読み終えた・・・!
おそらく私はインドには一生行かないだろう。
私がテレビを観ようとリモコンを操作していると、
カッパさんが来て
「録画予約したい番組があるから、(リモコンを)貸してくれる?」
と言ってきたので、私はカッパさんにリモコンを渡した。
でも、カッパさんは番組を録画するのに非常に時間がかかる。
なぜ、そんなにかかるのかわからない。
1回の操作だけで10分かかる。
リモコンをカッパさんに渡すと当分はこちらに戻ってこない。
私は10分が手持ち無沙汰なので、
台所で用事を済ませようと席を立った。
するとカッパさんの機嫌が悪くなり
「すぐ終わるからっ!!」と怒鳴る。
これはいつものことだ。
私はカッパさんに付き合ってテレビの番組表だけを
10分も見続けるのが苦痛で仕方ない。
普通の人ならパッパとできることがカッパさんにはできないようだ。
もし、組織の中にこんな人がいたら、仕事が滞るか、
他の人の労働が増えるかのどちらかだ。
現在の職場は私と2人きりなので、
私の労働量はハンパない。あきらかに不公平だ。
しかしカッパさんが全く使えないわけではない。
1つの作業に時間をかける分、非常に丁寧だ。
ミスも少ない。
何度も吟味している。
私はスピードに重点を置いて作業をするので、ミスが多い。
そしてよくカッパさんにミスを指摘される。
でもね、でもね、言い訳させて!!
ミスと言っても十分リカバリーできる範囲だ。
沢山の量をこなす分、それは仕方がないと思うのだが、
カッパさんは許さない。
そこが腹が立つ。
そしてケンカだ。
でもね、ふと我に返る。
労働をたくさんしている方が報酬が多いのは当然だ。
カッパさんは2,3か月に1度だけ小遣い1万円を所望する。
それに比べて私はどうだ?
カッパさんの何倍も自分のために使っている。
結構、自由に使っている。
何も言えね・・・。
私が仕事多くて当然なのだ。
そう思うと、仕事をしっかりとやろうと思う。
だけど、またカッパさんにミスを指摘されて私はキレてしまう。
また、ケンカ。
そして我に返る。私の方が報酬多い・・・。
この繰り返しだ。
もう、これでいい。
これが人間なのだ。
カッパと人間との共生は、こんな感じで続けていくしかないのだ。
うまくカッパさんを使いこなしながら、
私の労働を減らし、
そして報酬はそのまま・・・。
なんとかその方向を目指しながら・・・ね。
カッパさんが話しかけてきて
私も何か言おうとして、
でも、
言葉を飲み込むことが増えた。
最近ようやくわかったのだ。
所詮、他人。所詮、男と女。
違うところが多すぎるのだ。
共感できるところが少なすぎる。
特に女性同士ならわかることがあっても、
それは男性には理解しがたい。
例えば、愛らしいぬいぐるみを見ると
「あ、可愛い。欲しい」と私は思うけど、
カッパさんには理解できない。
布と綿でできた無機物だ。断じて血は通っていない。
どこが可愛い?ってなことになる。
(以前、カッパさんが情緒を育てようとテディベアを買ったが、
情緒は全く芽生えなかった)
もし女性が大切なマスコットをどこかに置き忘れて、
取りに戻ると言っても、
大半の男性は「また買えばいいやんか」と言うだろう。
ま、男はそんなもんだろう。
ここで、女性がヒステリックになっても、
男性はシラケるだけだろうしね。
ある日、カッパさんが誰かをバカにするようなことを言う。
私としては「どの立場で言っとんねん」って思うし、
バカにするほどではないと私は思ったりする。
でも、あえて黙っておく。
ここで私がよけいな事を言うから炎上するのだ。
黙っていると、カッパさんは悦に入って持論をまくしたてるが
私はただ時が過ぎるのを待つのみ。
でもカッパさんが「フクちゃんはどう思う?」って聞いてくるので、
その返答は非常に困る。
私が意見を言うと炎上するからだ。
だって今までカッパさんの考えと一致することは皆無なのだ。
今まで生きてきて、感じたことは一人一人違うのだから、
同じ意見になりようがない。
「うーーん、そうだねぇ・・・」とか言ってごまかすしかない。
「な、そう思うやろ。僕の意見正しいやろ?」と言われても
「だね」とか言って他の話題に変える。
「だね」なわきゃあない。テメエの考えは絶対おかしい!
と心の中で思っているが、ぐっとこらえる。
言ったってしゃあない。
他人の考えを正すなんて意味のないことだ。
こっちが反論して、
「あ、そっか。僕が間違ってた」なんて言う人おらんよ。
もし言ったとしても、それは本心ではない。
ただ、私は言葉を飲み込みすぎたせいか、無口になってしまった。
あのお喋りの私が!だ。
たまに喋ると取り止めのない話となり、変な着地の仕方になるので、
それはそれでカッパさんに怒られる。
結局、夫婦とはお互いムカつく存在にしかならんのだ。
この時期、カッパさんと車でちょっとした買い物なんかすると、
帰りに「河川敷、散歩しよっか♪」と言われることがある。
このクソ暑い日に、正気かよっ?おい!
私は帽子も日傘もアームカバーも日焼け止めも持って来ていないので、
「うーん、やめとく」と一旦断る。
でも「15分だけやったらええやろ?」としつこく誘うので、
まあ15分ぐらいならそんなに日焼けもしないだろうと
安易に応じるのは大間違い。
15分が30分になり最後には1時間になるのだ。
カッパさんに騙されて、炎天で何度も痛い目に遭っている。
顔も手足も真っ赤っかだ。
だから「散歩はしたくないから家に帰る」と言うと、
カッパさんは「じゃ歩いて帰って」と冷たく言い放つ。
私が日焼けで染みだらけになっても、
カッパさんは「それが何か?」って感じだもんね。
実際、1時間散歩することを思えば20分かけて帰る方がいいかも、と
思ったことがある。
だが、この間散歩に誘われたときに、
私は文庫本をたまたま持っていたので、
「車の中で待ってるね」と言った。
もちろん車の中はサウナ状態。
クーラーをつければいいのだが、
駐車場でエンジンを付けっぱなしも気が引けて、
窓を開けて待つことにした。
さすがにぐったりした。
たっぶり40分かけて散歩から戻ってきたカッパさんは
私がぐったりしているのを見て、熱中症になったと思い、
慌てて家に帰った。
家に帰った私は麦茶をガブガブ飲み、
扇風機のそばで涼むことにした。
するとカッパさんが、
冷たい濡れタオルを私に渡してくれると言うハプニング、
じゃなくて、ミラクル・・・でもなくて、
常識的な気遣いをしてくれたので驚いた。
実際、私は熱中症にはなってなかったのだが、
そのフリをしてここぞとばかりに夕食の支度もスルーさせてもらった。
さて炎天の散歩についてだが、
カッパさんは相手が「断る」と言うことが受け止められないようだ。
嫌だから断る場合は、
なぜ嫌なのか、嫌だと思わなければいいんじゃないか、と解釈する。
また嫌だと思うのは本人の自己中心的な感情ではないか?
と思っているようだ。
「フクの顔に染みができるから」は真偽がハッキリしないし、
カッパさんは単なるごまかしにすぎないと思っている。
要するに断る為には、
「炎天の散歩は熱中症になる」と言う事実を突きつければならないのだ。
私の打った小芝居(?)のおかげで、
ようやくカッパさんは私を炎天の散歩に誘わなくなったどころか、
自分が散歩したいときは家に寄って私を降ろしてくれるようになった。
やれやれ。
普通の人ができることを、
なんでここまで手順を踏まないとダメなのか・・・。
あと、カッパさんは洋服など一人で買い物ができないようなので、
「私が一緒じゃなくても買える」と言うことを理論的なシナリオで
示さないといけない。
またなんらかの小芝居を打つ必要があるようだ。
すっごい派手で高価なシャツを買わせるとかね。
アスピーを育てるのは、本当に面倒くさいことよのぅ・・・。はぁ・・・。
毎年恒例の清水寺で披露される「今年の漢字」は、
今年は「病」しか思い浮かばない。
まさか「貧」とか「困」ではないだろう。
なんて、
もうそんなことを考えている私はヒマなのか?(きっとヒマだ)
しかし、コロナウィルスに対する警戒感には、
男女差があるようだ。
このGW(STAY HOME WEEKだからSWかな?)に
カッパさんが外食に行こうと何度も誘ってきた。
確かに外食は魅力的だ。
しかし、私は首を横に振る。
「行こうよ、行こうよ」とねだるカッパさん。
でも、どこに感染リスクがあるかわからない。
買い物くらいならいいが、
他人がマスクを外して声を出す場所は避けたい。
特にカッパさんはアスピーだ。
普段ですら近くに咳をする人や、くちゃくちゃ音を立てて食べる人がいると、
異常なまでの嫌悪感を示す。
そして「ケッ!!」とか「ハッ!!」とか言って、相手を睨み付けて、
ケンカを売ろうとする。
(良い子はマネしないでね)
相手が「なんやねんっ?」と反応しようもんなら、一触即発だ。
いつもハラハラだ。
この外出自粛の時期にそんな人が近くにいたら、
もう大騒ぎになるのが目に見えている。警察沙汰だ。
なんで、そう言うことを自分で想像できないんだ、カッパは!!
・・・とは言え、私も限界がきた。
なのでランチはお花畑でお弁当を食べると言うことで同意を得た。
カッパさんはお花畑が大好き。
近距離で人が少なそうな場所を見つけたので、
コンビニ弁当を買って食べることにした。
ささやかなレジャーだ。
道路も空いていて快適なドライブだ。
思った通り人は少ない。
久々の外食。嬉しい。
カッパさんも機嫌が良い。
良かった。ファミレスでのトラブルは回避できた。
しばらく外食はできないが、
屋外のランチなら大丈夫そうだ。
これでなんとかしのげたらいいかな。
もしかしたら、結婚して以来初めてカッパさんに感謝したかもしれない。
うちはお店をしている。
もちろん接客もある。
このご時世だからマスクは必須アイテムだ。
私も普段はマスクなんかしないよ。する必要もないからね。
だから、マスクの在庫には全く興味がなかった。
でもカッパさんは風邪を引いているお客さん対策に毎冬マスクをしていた。
そして「マスクはそろそろ残りわずかかな」と言う時期に
半年分まとめてアスクルに注文するようだ。
そのタイミングは今回は12月末だった。
ラッキー!!
まだ、4ヶ月分はうちに在庫がある。
ほんと、助かった。
今まで、私の足を引っ張る事しかしなかったカッパさんだが、
今回だけは「でかしたっ!!」と褒めてやりたい。
マスクを買うために寒い早朝に2時間もドラッグストアに並ばなくてすんだ。
ありがたい・・・。
カッパさんも1日2,3枚使っていたが、
最近は1日1枚にしている。(あたりまえだ)
しかし、私らのような夫婦がたまたまとは言え、こんな恩恵を受けるには恐れ多い。
そのうちにしっぺ返しが来るんじゃないかとビクビクしている。
そうそう、先週末にお客さんが
「明日から北海道にスキーに行くねん♪」と言った。
私らはそれを聞いて体が固まった。
「えーーーやめた方がいいですよ・・・」と言ったら、
「だって、旦那が楽しみにしてるもん」と答えた。
その夜、私とカッパさんとで家族会議。
「あのお客さん、次来たらどうしよう?」
「そんなん、門前払いに決まってるやろ!ぜったい入れたらアカン」とカッパさんが怒る。
でも、そんな理由で出入り禁止にできるだろうか?(したいけれど)
来たら防護服で対応か・・・などと考えていたが、
翌日その客が来て、「北海道やめました」と言った。
あーーーよかった!
ほんと助かったよ。
いや、コロナウィルスよりも、
カッパさんが「あの客来たらどうしよう」とずーーっと不安になっていたから、
ノイローゼにならないか心配だったのだ。
やっとカッパにも心の平穏が取り戻せた。
くわばら、くわばら・・・。
みなさんも、人が一か所に集中するような場所は
行かないようにしましょう。
昨年の秋ごろからカッパさんが趣味に燃え始めた。
まず『合気道』
無差別殺人に対処するべく、護身術を身につけたいそうだ。
カッパさんが狙われる可能性は限りなくゼロに近い。
なぜなら外に出ないから。
大丈夫!刺されない。
なのに、合気道にハマってしまい、
DVDを購入して、一生懸命に合気道の真似事をしていた。
小学生の子どもが店に来ると、
唾を飛ばしながら、合気道の良さを語っていた。
いや、その男の子、空手やってっから!めっちゃ空手頑張ってっから!
さて、カッパさんは100均でマラカスを買ってきては、
それを相手の腕に見立てて、なにやら練習している。
※マスカラではありません。お間違えのないように。
が、うるさい。耳につく。
さすがにカッパさんもうるさく思ったのか、
マラカスの中身を取り出して使っていた。
ま、それも束の間。
マラカスに飽きたようで私の本棚のところに、
さりげなく置いていた。
これは「いらんから、勝手に使ってや」と言うサイン。
こんなんいらんわっっ!!
私が有難がって使うと思ってんのか!?
速やかに“いつか燃えないゴミに出すコーナー”に移動。
そんなカッパさんだが、いつのまにやら合気道熱は冷めてしまった。
で、次は落語。
NHKの落語番組を録りまくった。
そして夕飯の後は落語の勉強だ。
「これは勉強になるわ~」と感心している。
一体、何の勉強になるんだか・・・?
さて気づけばカッパさんの落語熱は冷めたようで、
レコーダーのリストから落語番組が消えた・・・。
落語の「ら」の字も言わなくなってしまった。
そうして今は『オカリナ』だ。
ユーキャンの、例のほれ、1月になるとチラシが入り、
CMがバンバン流れる、あのキャンペーン。
誰もが一度は心を揺さぶられるユーキャンの通信講座。
私もペン習字の講座を受けた。
今も薬膳コーディネーターにちょっぴり関心がある。
そのユーキャンにカッパさんはオカリナを申し込んだ。
オカリナが届いた時の喜びようったら!!
すぐに練習を始めた。
今もピーピー吹いている。
けっこう音が大きいので、
近所の人が豆腐屋と間違えて道路に出てこないかハラハラする。
カッパさんの夢はオカリナで「コンドルは飛んでいく」を演奏することだ。
「フクちゃん、エレクトーンで伴奏たのむな」
と勝手に私とセッションする気でいやがる。いいけど。
まあ見ものですよ。
いつまで続くかな~。
ほぼ毎日なのだが、カッパさんと楽しい会話が続けられない。
先日、某女子大学のミュージカルをカッパさんと観に行った。
マザーテレサを題材としたミュージカルで、
まあまあ感動した。
私もカッパさんもマザーテレサについて全く知識がなかったので、
その生涯を知ることができてよかった。
で、昨日の夕食の時にカッパさんがマザーテレサについて、
語り始めた。
カッパさんは人生を奉仕にささげた女性として、
どんなに立派であるか感銘を受けたようだ。
(世間では賛否両論があるみたいだね)
私も「彼女の考えに賛同してついて行ったシスター達は、
まさか自分達がスラム街で物乞いするなんて考えもしなかったろうね」
と、マザーテレサの崇高すぎる理念に
当時のシスター達が戸惑う(劇中の)エピソードを言った。
すると、カッパさんはフリーズしてしばらく何も言わない。
それからまたカッパさんは語りだした。
私の言葉はまったく受け止めなかった。
自分がボールを投げ続けるばかりで、
飛んできたボールはよけたのだ。
ようやく自分の「語り」に満足したカッパさんは、
「僕の話の腰を折ってまでフクちゃんの言いたかったことは何?」
とほざいた。
キャッチボールって相手の話の腰を降り合うことなのか?
私は別に主張したかったわけじゃない。
同調しただけなのだ。
それがカッパさんには「自分本位な勝手な主張」に聞こえるのだ。
私は同意を表現したんだよ、と言うと
「フクちゃんはいつもトンチンカンやなー」と軽蔑のまなざしを向けた。
どうやらカッパさんの言う同意は「うん、そうだね」のみであって、
それ以外の言葉は認めないようだ。
しかし振り返れば、カッパさんのように会話が弾まない人は多々いる。
それは私のせいなのかどうかわからんが・・・。
会社に勤めていた時にも、私の返答に対して
「僕が聞いているのはそう言うことじゃなくて・・・」と
上司に言われたことがある。
また別の人からも「君とはコミュニケーションが取りにくい」と
言われたこともある。
え、私が悪いのか?
いやいやほとんどの人とは楽しく会話できるよ?
確かに私の会話にクセがあることは認める。
しかし、それが私のアイデンティティなのだ。
良く言えばチョコのかかった柿の種みたいなもんかな?
あれもハマる人とハマらない人がいる。私は好き。
そんな私に付き合ってくれる人は大事にしなきゃとつくづく思う。
たぶん、カッパさんとうまくコミュニケーションが取れる人は
少ないだろう。
なにせ会話と言えばキャッチボールでなく、カッパからの千本ノックだ。
「こちらが投げたボールも受けてね」と
呪文のようにカッパさんに言い続けるべきなのか、悩むところだ。
さて、2日目だ。
私はキャビネットに収納している大きなワゴンと掃除機を
捨てたいなと常々思っていた。
どうせなら今日クリーンセンターに持って行きたい。
それを提案すると、
カッパさんはしぶしぶワゴンをキャビネットから出してくれた。
しかし、ワゴンを出すときその周りの衣類もワンサカ出てきた。
いつのまにかカッパさんの服が大量にたまっていたようだ。
「その服を収納するプラケースを買いに行こか」と私が言うと、
カッパさんは嬉しそうに目をキラキラさせた。
クリーンセンターにゴミを持ち込んだ後、
近くのホームセンターでプラケースを買った。
1箱1080円を3つ買った。
さて、家に帰ってそれに衣類を詰めるだけだ。
1時間もあれば片付くだろう。
そう私は考えていた。
しかし、カッパさんのスイッチが入った。
コンマリ流にお片付けをしたいと言うのだ。
いつそんな魔法にかかってしまったのか?
カッパさんはロフトにあった冬物の衣類などを全部持って降りた。
(ロフトの服は1日目に整理したばかりだ。なぜ?)
寝室の押入れの衣類も全部出した。
キャビネットのハンガーにかかっている服までテーブルの上に置いた。
何の問題もない衣類(と私が勝手に思っていたもの)まで全部引っ張り出したのだ。
リビングがカッパさんの服であふれた。
しかし、そこでカッパさんの動きがフリーズした。
考え込んで全く動かない。
無駄に時間が流れるばかりなので、
「どうすんの、この服?」と冷めた声で聞いてやった。
カッパさんは手に負えない仕事に取り掛かろうとしていることに、
ようやく気付いたらしい。
カッパごときがいきなり、コンマリさんの真似事なんて
しょせん無理なのだ。
「とりあえず、手を動かしたら?」と私が言うと
「わかってる!!」とキレ出した。
「わかってるねんっ、もう横でごちゃごちゃ言わんとって!!」
ってさ・・・
もう4時過ぎてるよ。
ま、私が居ると気が散るようなので、
少し出かけることにした。と言っても近所のスーパーだ。
20分ほどで帰ってくると、
カッパさんの手は少しは動いていた。
プラケースの引き出しに少し服が入っている。
しかし遅い。動きは遅い。
たたんだ服を意味なく撫でてみたり、
こっちの服をあっちへやったり、
また、たたんだ服を広げてみたりと
何を悩んでいるんだか、見ている方は不安で仕方ない。
「あの~季節ごとにまとめてみたらどうかな?」と
ごく初歩的な提案をした。
しかしカッパさんはどの季節にどの服を着るのか理解していない。
アスピーだった。そうだった。
「き、生地ごとにまとめてみたら?フリースとかセーターとか」
私が言うと、カッパさんは「あっ」と顔を上げた。
ようやくスイッチが入ったようだ。
服の山からフリースを引っ張り出すと、
「フクちゃん、たたんで!」と偉そうに命令してきた。
偉そうでもいい。片づけを進行することが先決だ。
ようやく分類が終わった。
もう5時半だ。
もう後はたたんでプラケースに入れるだけだ。
要らない服はゴミ袋1袋分出た。
それを誇らしげに見せつける。
6時半にようやく片付いた。
よかった。
しかしカッパさんにしては上出来だ。
カッパさんも数少ない成功体験が1つ増えたのが、
嬉しくたまらないようだ。
そんなこんなで我が家の断捨離・夏の陣は終わった。
カッパさんはお客さんに
「盆は出かけず断捨離ですわ」と
聞かれもしないのにベラベラ喋っていた。
しかし、盆休みは本当に暇だったので、
断捨離するしかなかった。
「さあ、フクちゃん!!断捨離するどぉ!!」
と初日から息巻いた。
休みは3日間しかないので、せいぜいロフトの物を整理するだけだと、
思っていたら、
「今日はアレを整理する」と指さした。
寝室にある仙台ダンス風の物入れだ。
(こんな感じ↑ もっと安っぽい)
整理するほど中身はない。
まさか、このタンスから整理するとは・・・
さすがカッパさんだ。
絶対に整理する必要のないものから始める。
モチベーションが上がるのか下がるのかわからない。
予想通り1時間もかからなかった。
捨てるものがないので中身を確認するにとどめただけだ。
これを断捨離と言うのだろうか・・・。
「疲れたな・・・」とカッパさんが言うので、
ティータイムにした。
しかしカッパさんの野望はこんなもんじゃなかった。
いよいよロフトだ。
九龍城かナバロンの要塞か、はたまた・・・えっと・・・もういい。
カッパさんはロフトに上るなりギャーと叫んだ。
そう、プチごみ屋敷って感じなの。
いやいやごみじゃないよ。
一応、「いるかも?」と思うものばかりなんだ。
とりあえず、全部二人で頑張って降ろした。
意外とね選別はサクッと終わった。
要るものだけを残してロフトに戻したら、
ロフトはガラガラだった。
いかに要らないものを貯めこんでいたか、だよ。
1日目はこんな感じで、思った以上に進んだ。
っつかもう終わりでいいんじゃね?
と思った。
明日は出たゴミをクリーンセンターに持ち込むだけだ。
余裕だね。
そう思った私が間違いだって気づくのは、明日になってからだ。