「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

おおきく振りかぶって

2006-06-20 | 
また漫画?といわれそうですが、きょうのはお薦め度「星5つ」の作品です。ひぐちアサさんの「おおきく振りかぶって」(いまのところ全6巻)。今年の手塚治虫文化賞新生賞に選ばれた作品です。昨年の同賞「夕凪の街桜の国」もですが、日本の漫画ってほんと水準が高い! 余談ですが、手塚賞の大賞に今年は「失踪日記」が選ばれましたが、どうもいただけないですね。講談社漫画大賞とかならまだしも、手塚賞にふさわしいのかなあ。

閑話休題。で、「大振り」(略してこう呼ばれているらしい)。アマゾンなどでは厳しい評価もありますが、私的には高評価。久しぶりに引き込まれた青春・野球漫画です。

=以下アマゾンから=
「オレ……オレ……がんばってるって思う?」
絶対に面白い高校野球漫画。
オレらのエースは暗くて卑屈(ひくつ)。
勝つために、弱気なエースのために。
行け、オレら!
読むとためになり、しかも血湧き肉躍り涙する。
連載中から人気沸騰、本格高校野球漫画!


性格が悪いというか、やたらと「キョドキョド」する気の弱ーいけど制球力は抜群のエースを中心に、全員高校1年生の硬式野球チームが「一応」甲子園を目指す。監督は女性。部長は数学の教師。こう書くとゲテモノっぽいのですが、実にさわやか、前向きな高校生の姿がかわいい!

出てくるのはごく普通の高校野球部員(技術が相当に高いようにみえるけど)。魔球や特訓があるわけでもない。ひぐちさんは実際に高校野球を相当取材したようで、野球の奥深さ、おもしろさが実によく描かれています。なにせ一球ごとにどんな考え方で配球が組み立てられているのか、バッターはそれをどう読んでいるのかに始まり、監督の采配、コーチャーの役割などこと細かい!この読みあいが、まるで野球観戦しているかのようで、ぐいぐいと引き込む。また、マネジャーや応援団、父母会の姿もきちんと描かれていてお見事というしかありません。

練習方法、特にメンタルトレーニングのやりかたは実に合理的。監督は生活のためにバイトしながらの監督業。現実的です。監督の生活を生徒たちもきちんとわきまえていて、「なんか言うこと聞かないと悪いかな」的な思いやりもあったりで、かわいいというか、いじらしいというか。バッテリーの間に芽生える友情もすごーーくかわいい、純情! 「いまどきの高校生」の純情な一面をうまく描いているように思います。実に現実的なんだけど、実に漫画らしい漫画とでもいいましょうか。妙な表現ですが。

残念なのは決定的に絵が下手なこと。投手のキョドキョド感にはよく合うのですが、なにせ全員の顔の区別がつきにくい…でも、それを補って余りある魅力的なストーリーだと私は思います。

まあ、不思議なのはこの女性監督、いったいいつどこでこんなに深い野球理論・技術を身に着けたのか、ということ。そもそも女性である必然性は?ま、細かいことですが。さて、第1回戦、強豪相手の戦いはいよいよ中盤戦。勝っても負けてもおもしろい展開になりそうで、早く続きが読みたーーい!!