「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

2009-02-27 | 
ご存知アーサー.C.クラーク著の古典「幼年期の終わり 」が、人気の光文社古典新訳文庫で登場したので手にとりました。早川版にくらべて訳がこなれた感じがする分、重々しさ、重圧感がなくなりやや平板な感じになったがします。たとえば早川版では「上帝」だったのが「オーヴァーロード」となったり。印象が全然違いますよね。でも、読みやすくなりました。著者が書き換えた第1部は冷戦下の旧版とはニュアンスに違いもあって、時代を感じます。内容はいわずもがな。哲学的。結局、生命、宇宙の神秘や謎は謎のまま。人間の心の無限の可能性を感じさせます。

パンク

2009-02-22 | 自転車
気づくと自転車の話題を書いていなかったのですね。で、久しぶりに書くのが「パンク」の話題。まったく、いやになります。ロードバイクですが、最初は後輪。小さな石がめり込んでいました。チューブ交換して再び走り出したら今度は前輪。小さな鉄釘が…念のためチューブ2本を携行したのが役に立ったのは救いでしたが、まるで祟られているかのよう。ちょうど6000キロほど走ったし、なにせ前輪後輪ともに小さいとはいえ、貫通跡ができたのが気分的によろしくない。というわけで、思い切ってタイヤ自体を交換することにしました。もう少し使えるタイヤですが、まあここは気分の問題と。

で、結果的にはよかったです。思い切ってワンランク上のタイヤにしたら軽い!力の伝達力がグンとあがりました。これは走るのがまた楽しみにまあ、怪我の功名と割り切って、走りを楽しみたいと思います。災い転じて福となす。

ティファニーで朝食を

2009-02-21 | 
映画のほうが有名になった感じもするトルーマン・カポーティーの「ティファニーで朝食を」の村上春樹さん訳を手にして読みました。村上さんが先日エルサレムで行った、人間を割れやすい卵にたとえてイスラエルによるパレスチナ人虐殺を非難した「どんなに壁が正しくても、私は卵に側に立つ」という言葉に深い感銘を受けていたためでしょうか。店頭で村上さんの名前をみたら無性に読みたくなったのです。ちなみにてのは村上作品は大好きで翻訳以外の作品はほぼ全作を読んでいます。

で、表題の本。学生時代に別の方の訳で読んだ記憶が朧にあったのですが、村上さんの訳はいいですねえ。まるで別の小説になった感があります。お洒落で、アンニュイな感じ、どこか透明感のある文体は村上作品に通底しているものです。それでいて、寓話が寓話として優しく語りかけてくる。包まれるような安心感を感じるのです。まあ、ストーリーがそういうものだから、というのはあるのでしょうが、まさに「卵」を愛する村上さんならではの文章で、訳のほうがお見事、という印象を受けました。

それにしても、村上さんが「あとがき」でも書かれている通り、映画はオードリー・ヘップバーン(もちろん大好きです!ローマの休日は何回観たことでしょう)でヒットしたわけですが、どうも配役としては違うような気がします。蓮っ葉なホリー・ゴライトリーは天使のごときオードリーの無垢性では表現し切れない、村上さん訳を読むと、映画に違和感を覚えます。だれがいいのかなあ。ビビアンリーだと強すぎて「こわれやすい」感じ、無垢さがないしなあ…メグ・ライアンだと明るすぎて影がでなさそう。妖精のようでしかも蓮っ葉な感じがして、陰影をどこかにちらりと感じさせるアンニュイ感のある美しい女優さん。さてさて、だれがいいのでしょう。

あ、もう一度読みたくなってきた。きょうは家で静かに村上ワールドとしようかな。

神楽坂ホン書き旅館

2009-02-20 | 
この半年ほど神楽坂を歩くことが多いので、やはりこの本は読んでおかないと、と手に取ったのが「神楽坂ホン書き旅館」(黒川鍾信さん著)。神楽坂を取り上げる雑誌は必ずといっていいほどここを撮影するポイント、旅館「和可菜」の半世紀近い歴史を描いたエッセイです。

女将の姉は小暮美千代。筆者は女将の甥っ子です。映画やテレビの脚本を書く人たち「ホン書き」、小説家らに愛され利用され続ける旅館の歴史は、日本映画・テレビ史のもう一つの側面を伝えてくれます。缶詰になりながら、作品を生み出すための苦悩や呻吟する姿の一端が垣間見られます。プライバシーを守るべき旅館だけに、明かせない、書けない点、制約があるとはいえ、「寅さん」の山田洋二監督や野坂昭如さんらそうそうたるメンバーの実名が次々と出てきます。人と、神楽坂というヒューマンスケールな街の魅力が行間からあふれ出てくるエッセイです。女将はすでに80代。ご自身が亡くなれば旅館も廃館にするようです。ま、いまの時代「ホン書き」が缶詰になるなんて贅沢ですものね。需要がねえ…

街歩きの楽しさに一味、いいスパイスを加えてくれる本でありました。

エッセイホワイト2008

2009-02-19 | ワイン
前回のワインの「白」版も試してみました。お値段はもちろん750円。フルーティーで、これまたこの値段にしてはよくできています。シュナンブラン主体らしくやや蜂蜜のような香りもあって、ペログビにぴったり。家で気軽に飲むのにこれまた最高かも。

エッセイ レッド 2008

2009-02-16 | ワイン


虎ノ門にある有名なワインショップ「カーブドリラックス」。ここは安くておいしい、コスパが高いワインを発掘することにかけては日本でも屈指といわれるところ。私もネットはもとより、たまに寄って買い物をします。で、表題の「エッセイ レッド 2008」は南アフリカのワインです。お店が独自で製造してもらっている特製ワインのようです。お値段は、な、な、な、なんと(古いなあ)750円 まあ、この程度の値段で売っているワインもあるにはありますよね。でも、ワインとしてはいかがなものか、というのが多いだけに、今回のこのワインは驚き。まさにペログビワインです。気軽にクイクイといける。しかもけっこうおいしいのです。

このワインの主体であるシラーが好きということもあるのですが、きちんとムスクのような香りにバニラのような香り、レッドカシスの香りとあって、のみ心地もやや果実味がまさるものの、悪くないです。気軽に飲むにはぴったりのお味。これで750円は正直、驚きでした。経済状況も状況だし、家飲み用に買い込もうかな、と思ったのでありました。

神田達磨のたい焼き

2009-02-14 | 


神田は小川町交差点で行列が出来ているたい焼き屋さん「神田達磨」。寒さに震えているときに前を通りがかり、ふと並んで一枚買い、ほおばりました。甘さが控えめのやわらかいお味。「羽」というのでしょうか、たい焼き形の外側の四角い部分もついていて、なんとなくお得感もあります。並ぶといってもせいぜい5分ほど。麻布十番の浪速屋のように1時間などという馬鹿げた時間ではないことを考えるとまあまあ、というところでしょうか。140円ですからね。お安いちょっとした幸福感でした。

Merlino0692

2009-02-13 | ワイン
チョコレートに合うものをと思い、バニュルスかポートでも、と思ってワインショップに行ってすすめられたのが「Merlino0692」(メルリーノ0692)というイタリアのワイン。これは驚きでした。


単に甘いのではなく、柑橘系の香り味わいがある。とてもバランスの取れた感じがします。チョコレートに合わせたらまさにマリアージュ大成功!!しかもイタリアで買ってきたオレンジ系のチョコだったこともあって、香りを増幅しあう、味わいも強化しあう感じです。ステキ。

本国イタリアでも初めての酒精強化ワインで、日本では大変に珍しいワインとか。少ししか輸入していないそうです。ほんとラッキーでした。

「宇宙創成」

2009-02-12 | 
これまでも「フェルマーの最終定理」や「暗号解読」でぐいぐい引き込まれたサイモン・シンの書いた「宇宙創成」。月並みですがおもしろい!の一言。なにが面白いって人間の頭脳ほど深遠な世界はないな、とあらためて思わされるのです。

=以下、アマゾンから=
宇宙はいつ、どのように始まったのか?人類永遠の謎とも言えるその問いには現在、ある解答が与えられている。ビッグバン・モデル。もはや「旧聞」の感さえあるこの概念には、実は古代から20世紀末の大発見へと到る意外なエピソードと人間ドラマが満ちていた―。有名無名の天才たちの挑戦と挫折、人類の夢と苦闘を描き出す傑作科学ノンフィクション。


古代ギリシアで棒一本から地球の大きさを測ってしまう人間の頭脳の素晴らしさ。科学的知見の進化はただただ、感嘆です。個々人では間違いも犯すけれど、集団としてはけっこう信頼できるじゃない、という気分にもなります。また、人間は実に「人間らしい」とも。科学的に、論理的にいかに正しいと思っても、なかなか自分の立場は捨てられないしかえられない。大きなパラダイムシフトが起こるのは「自然淘汰」、つまりお年を召した旧主流派が鬼籍に入り、新しい考えが当然、というふうになることが多いというのは考えさせられます。あのアインシュタインにしても、「ビッグバン」には「したくない」と「静的な宇宙」を維持するために自らの相対性理論に「宇宙定数」なる奇妙な理屈をつけて、ビッグバン理論を受け入れようとしない。自身「生涯最大の失敗」と反省するところはさすがですが、あのアインシュタインにしてなお、やはり旧来の立場をなかなか変えるのは困難という事実に親近感さえ覚えます。

それにしてもビッグバンという理論はすごい進展です。それでも「じゃあビッグバン以前って?」と考えるともはやお手上げ。いまの宇宙理論では暗黒物質についてはなにも解明できていないなど、やはり人間の頭脳が無限の可能性があるように、自然そのものも、その「秘密」や神秘を全然明らかにしていないのだと思い慄然とする思いです。

お奨めの一冊です。

クロッシングチョコレート!? それならフェアトレードは?

2009-02-11 | つれづれ
いやあ、新宿の某百貨店地下に行って、人いきれにめまいがしそうでした。もう、とにかく人、人、人…皆様のお目当てはチョコレート。いやあ、すごい熱気でした。「最後尾はこちら」の看板からいったいどれぐらい時間をかけて購入するのやら。驚きでありました。

で、今年はバレンタインデーが土曜日ということで義理チュコ需要が落ち込むことが予想されるため、メーカーさんもお店側も必死のようですね。今年は男性から女性への「逆チョコ」がブームと煽っているようですが、今日の百貨店の店内放送では「贈りあうチョコ。クロッシングチョコレート」ときましたよ!いやあ、まあ、贈り合えば倍は売れるわけですから、なんというかすごくたくましいですね、ハイ。もともとがメリーチョコレートが仕掛けたイベントですから、別に需要が喚起できればなんでもいいのでしょうけど。ちなみにメリーチョコが仕掛けた最初の年、売れたのは確か2、3枚の板チョコだけだったとか。それでもめげずに続けたところがえらいというべきか、目先が利いたというべきか。いまや超高級チョコもこの日をめがけて世界中から日本に押し寄せる、まさにグローバルな一大イベントですものね。

超高級チョコもいいですが、フェアトレードチョコなどはいかがでしょうか、とこのブログでは珍しく宣伝しておきます。
たとえばピープルツリーとか、チョコレボとか、あるいは児童労働撤廃の活動を続けるACEも、かわいらしいチョコを出しています。こんなチョコもあるよ、ということで微力ながらの宣伝でした。

坂道のアポロン2

2009-02-10 | 
小玉ユキさんのマンガ「坂道のアポロン」の第2巻を読みました。相変わらず青春ど真ん中!! 絵もシンプルですが、なにより話が王道を堂々と歩む感じで揺るがない。いまどき珍しい。だから新鮮。第2巻では、千太郎のまだ描かれていない過去を感じさせるシーンもあります。律子の気持ちはさて、やはり千太郎に向かうのか? ちょいと気恥ずかしく、身をよじるような感じで、「青春」の今後を楽しみに読みたいと思います。

チェ 39歳 別れの手紙

2009-02-08 | 映画
「28歳」に続く続編「チェ 39歳 別れの手紙」を観てきました。「28」はキューバ革命達成までの、いわばサクセスストーリーだったのですが、「39」はその後、革命キューバでの高位高官の地位を捨てて、同じく圧政に苦しむボリビアに革命を起こそうと乗り込んでからのストーリーとなります。史実の通り、ゲバラはボリビアでの武装蜂起に失敗し、孤立無援の状況の中、処刑されて永遠の革命家として輝き続けることになるわけです。そんなわけで、28に比べると圧倒的に暗い。ストーリーもわかりにくくなってて、正直、あまり面白くないですね、映画としては。ただ、なぜキューバでは成功したことがボリビアで失敗していくのか、を考える材料にはなります。基本的にはいかに民衆の支持を得るか否か、に尽きる。ボリビアでは自分たちが「彼らのために」と思っている肝心の民衆が裏切り、ゲバラたちは孤立無援で死んでいく。逆に、キューバでなぜあれほどうまく支持を集められたのかが不思議な気さえしてきます。理想主義の哀しい結末。切ない映画でありました。


=以下goo映画から=
1965年3月、チェ・ゲバラは忽然と姿を消した。様々な憶測が飛び交う中、カストロはキューバ共産党中央委員会の場で、ゲバラの手紙を公表する―。彼は再び、革命の旅を始めた。変装したゲバラは、1966年11月ボリビアに入国する。そこは大統領の独裁政権のもと、農民やインディオたちは圧政と貧困にあえいでいた。ゲバラのもとに次々と革命に燃える戦士が集まるが、ボリビア共産党の援助が絶たれ、ゲリラ軍は孤立していく…。

ファミマのエクレア

2009-02-07 | 
ファミリーマートのエクレア(Wクリーム)、150円也を食べたらびっくり!だって150円とは思えない。生クリームが口に入れるとまるで雪のようにフワリと解けていく感じ。うーん、やられました。コンビニのお菓子でこれだけのものができるのですね。

更新頻度

2009-02-04 | つれづれ
最近、更新頻度がとても低くて、訪問してくださっている方には申し訳ないなあ、と思っています。特段なにが、というわけでもないのですが、仕事やらなにやら、日常の諸々に少し追われている感じであまりゆっくりと趣味でパソコンに向かう、という気があまり起きないというところです。よくない、よくない。本(マンガ?)も映画もワインも自転車もそこそこに楽しんでいます。ご心配なく。お暇なときにまたのぞいてみてくださいね。

007慰めの報酬

2009-02-01 | 映画
前作から新シリーズといってよいジェームス・ボンド007シリーズの最新作「007慰めの報酬」。前作同様、クールです。とても人間的なボンド像が描かれます。

=以下、goo映画から=
初めて愛した女・ヴェスパーを失ったジェームズ・ボンドは、ヴェスパーを操っていたミスター・ホワイトを尋問し、背後にいる組織の存在を知る。早速捜査のためにハイチへと跳び、知り合った美女カミーユを通じて、組織の幹部であるグリーンに接近。環境関連会社のCEOを務める男だが、裏ではボリビアの政府転覆と天然資源の支配を目論んでいるのだった。ボンドは復讐心を胸に秘めながら、グリーンの計画阻止に動くが……。


カーチェースなどアクションはあいかわらず息つく間もないスピード感です。以前と違って善と悪、敵と味方が明確ではない世界でボンドを支えるものはなんなのか。「M」との信頼関係が一本の柱でしょうか。なぞの国際組織も米国CIAと組んだり、中南米の独裁政権とつるんだり、まさに混沌とした国際情勢をそのまま反映したもの。「悪の帝国ソ連」が懐かしく感じられる複雑怪奇。根底にある問題もすでに現実になってきている「水」を巡る利権と、実に現代的です。

印象的な場面を一つだけあげれば、「友人」を自分のせいで死なせてしまったあとのボンドの行為です。深い哀しみをたたえながらも、友人の遺体をあえてゴミ箱に放り投げる。押さえた演技と心に秘めたもえたぎるようなおもい。ボンドが「人間」として描かれていると感じました。

どうでもいい話ですが、最初のシーンがつい先日訪れたシエナの街で、妙にうれしい感じ。