「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

一応の推定

2006-08-30 | 
広川純さんの「一応の推定」という小説を読みました。松本清張賞受賞はダテではない、引き込まれる作品でした。

=以下、アマゾンから=
轢死した老人は事故死だったのか、それとも愛しい孫娘のために自殺したのか。ベテラン保険調査員・村越の執念の調査行が、二転三転の末にたどり着いた真実とは?第13回松本清張賞受賞作品。

著者自身が職業として経験している保険調査の世界を、リアリティをもって描き、まずは知らなかった世界への興味から引き込まれます。退職間際の調査員がいい味を出している。情に溺れず、仕事だからという投げやりなところもない。淡々と事実を受け止めて真実に向かおうとする姿を通じ、読者も「さて、これはほんとに自殺なのか、事故なのか」と考えさせられる思考の旅に出る感じです。

一つのヒントが浮かんでは、そのか細いつながりで次々と「事実」が明らかになっていく。でも、まるで中心点がオブラートに包まれたように、触れそうで触れない、見えそうで見えない。もどかしい。でも、それが興味を持続させる。なかなかの筆力です。

子供への臓器移植という社会的テーマの問題点をあぶり出す社会派ぶりもなかなか。読者は、移植を待つ幼児に同情心をかきたてられながら「なんとかならないのか」というイライラも味わわせられる。これまたページをめくらずにいられない。

最後にたどり着いた結論はここでは書かないことにしましょう。自殺なのか他殺なのか、事故なのか? 保険金は払われるのか、払われないのか? せっかくの面白さが半減しますから。

面白い作品ですが、あえて難点をいえば、調査員が会う人会う人がみなそろって善意の人でありすぎる。初対面の調査員にここまでしゃべってくれるのか、というぐらい調査に協力してくれる。まあ、それが退職直前のベテラン調査員ならではの人間味と能力によるのだ、といってしまえばそれまでですが、ちょっとうまくいきすぎ、という感じがしてしまいます。特に、最後の最後に出会うキーパーソンとなる、ある人物の職業は…

ま、それはおいておいて、優れた社会派ミステリー作品だと思います。

飲酒運転に一層の厳罰を

2006-08-28 | つれづれ
福岡の飲酒ひき逃げ事故は胸がつぶれる。同時に、犯人には憎んでも憎みきれないほどの怒りを覚えます。

そもそも飲酒運転をすること自体が信じられないが、さらにひき逃げとは、もはや言葉を尽くして罵倒しても罵倒しきれない卑劣な行為、人間のくず。報道をみていたら飲酒運転の厳罰化で飲酒運転の検挙件数は確かに減っているのだが、逆に急増したのがひき逃げだそうだ。「ばれたら大変。だから逃げる」。薄ら寒い心象。人間としてのモラルはどこにいったのか。起こしてしまった事故の重さを自ら背負い、せめて被害者を助けようとする努力は、人間のモラル上最後の一線ではないか。

オジ的怒りだが、こうなったら飲酒運転のより一層の厳罰化と同時に、ひき逃げをしたら終身刑か死刑ぐらいの厳罰化もあわせて実施すべきだろう。モラルに期待していては残念だがもはやどうしようもないようだ。

このブログを始めたころに書いたとおり、学生時代の友人が交通事故ではねられて即死した。それだけに交通事故、特に、飲酒運転には許しがたい思いが募る。今回亡くなった幼子たちのご冥福を祈ると同時に、このように報道されない数多くの交通事故被害者のご冥福もお祈りいたします。

職員の飲酒運転、厳罰化する方針 福岡市長が訓示 (朝日新聞) - goo ニュース

複数店で飲酒し暴走 福岡3幼児死亡事故 (朝日新聞) - goo ニュース

海転落の車3児死亡 海の中道大橋 飲酒運転車が追突 福岡市職員逮捕 (西日本新聞) - goo ニュース

華物語

2006-08-27 | 
いけばなを素材にした珍しい漫画を読みました。埜納タオさんという作家の「華物語」(講談社)。


=以下、アマゾンから内容紹介=
美しく生きるヒントがつまった花を生ける5つのストーリー
始まる前に終わってしまった沙和の恋。消せない気持ちから逃げだしたくて、偶然目に留まったいけばな教室に入ることに。そこには移りゆく季節と向き合い、心を花に映しだす、心地よい時間が流れていて。
「美しく生きる」を花に学ぶ、5つの物語。
「残暑にたゆたう秋桜」
失った恋と消せない想い。秋桜に映る沙和の心は。
「晩秋を彩る紅葉」
散りゆく季節。落ち葉に想うは寂しさ?それとも……。
「新年に愛でる万年青(おもと)」
里帰り。実家で見つけた家族のカタチは、さりげなく深く。
「春に学ぶ桜」
新しく始まる人間関係。教え、学ぶための姿勢とは?
「初夏に祝う花菖蒲」
大切なもの。日々に埋もれてしまわぬようにと願って……。


さらっとした感触の漫画です。とくに大きな事件が起きるわけでもなく淡々と物語が進み、そこに花がまさにふわっとした彩を添える。読後感もさらりとしていて、ちょっと気持ちが浄化されたような気分。

生け花のことなど全然わからないのですが、すごくベイシックな事柄や考え方の説明もあって、興味を惹かれます。「美しく生きる」って実は、日常に埋もれていて気づかない美しいものに気づくか気づかないかの違いなのかも、などと思いました。絵がいかにも大人系少女マンガの絵ですのでなれない人には「ちょっと…」という感じかもしれませんが、まずまずのお勧め度です。

なんとなく旅情

2006-08-25 | つれづれ
昨日から出張で、とある地方の中核都市にいます。ローカル線に久しぶりに乗ります。なんとなく旅情気分。夏草や、といった感じ。時間に追われないこののんびり感がたまりません。


チャーリーとチョコレート工場

2006-08-24 | つれづれ
話題になった映画ということで観たのですが、一体何が評価されたのかさっぱりわかりませんでした。

ああいうのはブラックな笑いというのでしょうか? 私は全然笑えなかった。それどころか気持ち悪いとさえ思いました。

これほどの駄作が話題になった理由は?どなたか教えてください。
┐(´ー`)┌

なぜか突然ペペロンチーノが…

2006-08-23 | 
無性にあるものが食べたくなる時ってありません? なぜか今日の昼、突然「ぺペロンチーノが食べたい! しかも大盛り、ガツガツと」と思ったら、いてもたってもいられなくなりました。

会社近くのパスタチェーン店に駆け込む。ぺペロンチーノを大盛りの大盛りにして、と注文したのですが、どうもこういうところは融通がききません。大盛りで手を打ちました。出てきたぺペロンチーノを、ずるずるとまではいきませんが、がむしゃらに食べ始めます。カリッとあがったガーリックスライス、鷹の爪もなんのその。一気食い。

「ふー、もっと食べたい」とは思ったのですが、なんとか満足。けっしておいしい店ではないのですが、やはり食べたいときがうまいとき。おいしかったあ!

なんなんだろう。夏ばて気味なのでしょうか。ガーリックが食べたかったのかなあ。いますごく周囲には迷惑なのかな?(←においのことですよ)

余談ですが、ペペロンチーノって、かけそばみたいなもの。誤魔化しがきかないパスタですよね。お奨めのお店があれば、ぜひ教えてください。

早実優勝、おめでとう!

2006-08-21 | つれづれ
甲子園の決勝再試合、きょうもすばらしい試合でしたね。よく4連投をこなした早実の斉藤投手。さすがに「お立ち台」では目を真っ赤にしていました。優勝おめでとう! そして本当にお疲れ様でした。

駒大苫小牧は実はあまり好きではなかった。不祥事もあったし、強いものが嫌いというひねくれ者なので。でも、昨日の試合を見てそんな思いは吹っ飛びました。きょうは公平にどちらにも勝たせたかった。お疲れ様でした!

野球の神様がいるとしたら、昨日の試合はすばらしい作品。至高の作品を作り上げられたと思います。一日たって振り返り、ほんとにこれほど感動した野球の試合はそうそうなかったことに気づきました。サッカー人気におされ気味の野球ですが、やはり素敵で魅惑的なスポーツですよね。

プロ野球にこれほどの魅力をなかなか感じないのは、やはり必死さの違いなのでしょうか。当然ながらレベルはプロがはるかに高いのに残念だな、と思います。

そうそう、もひとつ。これから斉藤投手は特にマスコミや周囲の女性がほうっておかないでしょうが、ぜひとも「天狗」になることなく成長してほしいと思います。勘違いすると大変ですよ、ほんと…なかなか難しいでしょうが、なんだかテレビからみる彼の印象から、それも可能なように思う。過大評価かな?

すばらしい!感動した!

2006-08-20 | つれづれ
甲子園の高校野球決勝戦。すばらしい。感動しました! これほど息を呑むような展開になるとは。一球一球にハラハラ、ドキドキ。特に15回表、170球を投げた早実の斉藤投手が最後の打者、4番打者相手に渾身のストレートを投げ続けたのには背中がゾクゾクとし、目頭が熱くなる思いでした。クールな姿からは想像できない熱い闘争心がほとばしる。

駒大苫小牧の田中投手も気持ちが表に出てくるすばらしい投球。もうどちらにも勝たせたくなってしまった…ひたむきな姿。青春。努力の日々と栄冠。やはり高校野球はいいですね。

あの暑さの中で過酷な日程ではありますが、明日はぜひ両チームとも体調をできるかぎり整えて、またすばらしい試合を見せてほしいものです。オジはほんとに感動。いいものを見せてもらいました。間違いなく球史に残る試合。

高校野球

2006-08-19 | つれづれ
今年の甲子園は例年になく面白い試合が多いですね。逆転、サヨナラ、シーソーゲーム…打撃の技術向上が目覚しいためか、要は投手が打ち崩されての乱打戦が多いともいえます。帝京と智弁和歌山の試合なんか典型的。すごかったですね、9回の表裏の攻防は。

いよいよ明日は決勝。3連覇目指す駒大苫小牧に早実の斉藤投手が立ち向かうの図、でしょうか。3連覇なんて、まるでドカベン率いる明訓高校みたいな話。違うのは現実の高校のほうには不祥事話が付きまとってしまうことでしょうか。

早実は物語性がありますよね。ソフトバンクの王監督の入院、伝統校ながら優勝はなく、決勝はあの荒木大輔以来。斉藤投手のクールな感じがとてもかっこいい。荒木投手のように持ち上げられて勘違いして天狗になってしまうようなことがなければいいな、と思います。

それにしても過酷な日程。毎年のことながらあの炎天下の甲子園で3連投はかわいそうすぎる。なんとか一日ぐらい休ませてあげられないものなのか。日曜日に決勝をしたいという興行的理由はわかるのですが…

なにはともあれ、久しぶりに注目の高校野球、甲子園。明日で終わりです。

物欲の塊

2006-08-18 | つれづれ
いま、物欲の塊と化している。要するに欲しいものがあって、買いたくてうずうすしているということ。一つ欲しいとなると、付随して欲しいものも思い浮かぶので、まさに欲望の連鎖、塊になっている。

だてに中年まで生きてきたわけではないので、こうした物欲の塊は、ある程度飼いならすことができるはずなのだが、なかなかに今度のは手ごわい。なにせ中年に残された人生の時間は短いと意識してしまったし、子供のころからの、憧れの延長線上にあるから。

と、別にたいそうな買い物、たとえば別荘を買うとか、クルーザーを買うとかいう話ではなく、まあお遊び程度のこと。だけど、教育費とローンの重さにあえぐ中年サラリーマンのお小遣いに対してはけっこうな額。ありていに言えば、また自転車が欲しいというはなしなんですけど。やはり本格的なロードバイクに乗りたい!と物欲がうずうずしている。

で、困ったことに目移り状態。あれにしようか、これにしようか、うーん…まあ、これまたこれまでの人生経験からわかっていることがあるんです。選んでいるときが一番楽しいって。手に入れるとそれまでの楽しみが一気に失せるんですよね。これは真理だと思うのですが、いかが?

ああ、でも欲しい!早く乗りたい! とうすうず。うーん、どれにしようか。ああ、情けない中年物欲地獄物語なのでありました。

悪いことを

2006-08-16 | つれづれ
「悪いことをした」と感じた場合、その場で素直に謝ることができるか。その人の大きさというか人間性みたいなものが試される。そこで口ごもり、あまつさえ知らんぷりなどすれば、罪悪感は心身を徐々に蝕む。同時に周囲からもその程度の人間と認識されて信頼を失っていく。

最悪なのは罪悪感を感じなくなってしまった場合だ。「悪いこと」を積み重ねて謝罪も怠り、反省を忘れると、「悪いこと」と「正しいこと」の境界線はどんどんずれていく。言わずもがなだが、「悪いこと」を「悪いこと」だと思わなくなる方向に。人間は弱い。心は自分を正当化する方向に向かう。「あれは悪いことじゃない。ばれなきゃ許される」。

こうなると病骨髄に入る状態。個人なら、時には法によって強制的に反省の機会を与えられたりしてしまうだろう。どうしたらこんな悪循環を断ち切れるのか? 些細なことでも「悪いこと」だと思ったら素直に反省し、その場で迷惑をかけた相手がいれば謝罪する勇気をもつことだろう。境界線を徐々に押し戻していく不断の地道な努力しかないような気がする。

「悪いことをしたんだよお前は」と周囲が教える必要もあるだろう。境界線が危うい場合には。人としての信頼とは、日常の些細な行動の積み重ねからしか生まれない。一朝一夕にどうこうなるものではない。努力を支えるのは、健全な常識とちょっとした勇気か。

謝罪と同様に、感謝の気持ちもその場で「ありがとう」という一言が素直にいえる人間でありたい。これも簡単そうで、実は難しい。やはりちょっとした勇気がいる。最近、なんだかそんなことを考えている。

首相の靖国参拝

2006-08-15 | つれづれ
政治的話題は極力避けるブログですが、さすがに今日は一言。これほど幼い、これほど論理的思考ができない人間を首相に抱いた日本という国、国民の不幸を痛感します。複雑な現実を極端に単純化することは才能のひとつで、場面によってはきわめて有効ですが、靖国問題はそうではない。憲法の政教分離、近隣外交のあり方、侵略と敗戦という歴史をどう受け止めるか、など複雑でナイーブな問題。「心の問題」などと、市井の一個人ならいざ知らず、一国の首相が単純化してはならないし、本来できるはずもない類の問題。

ナショナリズムという、うまく働けば国の繁栄などいい方向に進むけど扱いにはきわめて慎重なナイーブさが求められるものを、小泉首相はあまりにも安直に扱いすぎる。原子力をバケツで扱ったあの臨界事故を髣髴とさせる。彼はこの国をどうしたいのか?

彼が心を大切にするのはけっこう。個人としてならば。憲法の遵守義務を負う国家公務員の最高責任者たる首相が、自ら政教分離を定める憲法を踏みにじって社会制度が成り立つのだろうか?モラルが維持できるとでもいうのだろうか?国家の最高責任者がA級戦犯に頭をたれることが、日本という国が歴史をどうとらえるか周囲が判断する材料になることがわからないとでもいうのか?周辺諸国の反発が「国益」をどれほど損なうか考えたことがあるのか?

中国や韓国の主張に反発するために参拝したというのであれば、これほど単純で幼い考え方はない。「公約」を守ることは立派。ただ公約のたてかた、内容が間違ってれば、「君子は豹変す」で良いではないか。ただ嘆息するばかり。

彼の言い分はどうきいても幼児の域を出ない。「僕が好きなことをするのに隣の子がどうこういうのはおかしい。だって僕はたとえ人殺しでもおじいちゃんが好きだったんだもの。いくら隣の家は、おじいちゃんに人を殺されたからって、しつこすぎるよ」。よりによって、おろかな歴史を反省し、平和への誓いを新たにするはずの敗戦記念日に…もうたくさんだ。早く表舞台から消えてほしい。ま、次の安倍氏はより「お坊ちゃま」で幼そうだからかなり怖いのですけど…

「憲法違反」を国家の首相がするこの時代、社会のモラルがあたかもバケツの底がぬけたような状態になるのもむべなるかな、と感じるのはちと飛躍のしすぎでしょうか?

と、書き終えたところで、加藤紘一氏の実家と事務所が全焼し、割腹自殺を図った男性が保護されたというニュース。ふー。暗澹たる気持ちになります。まだ理由は判明していませんが、おそらく靖国参拝を批判する加藤氏への暴力による抗議なのでしょう。民主主義の根幹が大きく揺らいでいる。そんな危機感を抱きます。問答無用の暴力が言論を封殺するとき、なにが起きるのか。我々はすでに歴史から学ぶことができる。そのことを忘れてはならない今日この日のニュースとして、最悪のニュースが重なりました。

小泉首相、靖国神社に昇殿して参拝 (朝日新聞) - goo ニュース

加藤紘一議員実家が全焼 腹から血流し男性倒れる (共同通信) - goo ニュース

大停電

2006-08-14 | つれづれ
停電地域だったはずなのですが、幸いなことに住んでいるマンションは電気が通じていました。でも行政の防災放送で「停電しています。あわてないで」と流れていましたので騒ぎは知っていました。

テレビを見ると、最寄の鉄道路線も乱れていたのですが、私はご承知の通り自転車通勤なのでこれまた影響なし。信号も幸い大丈夫でしたし、これまた停電地域のはずの会社も通常通りでしたので、なんだか他人事のように停電を見つめていましたよ。

脆弱な都市機能の一面を他人事のように垣間見た一日。せめてもの救いはお盆で影響を受ける人が極端に少なくなっていたことでしょうか。

秋の森の奇跡

2006-08-13 | 
林真理子さんの小説です。林さんは、同世代の女性の願望をうまくキャッチして文章化する才能に長けた作家だと思っています。今回の作品は、林さんも中年になったと感じさせます。中年女性の抱える悩みや願望をうまく取り込んだ内容。彼女の作品全般にいえることですが、好き嫌いが分かれると思います。でも、親の介護、夫婦の距離、中年男女の恋愛・友情とセックス、といった中年期に普遍的なテーマにうまく向き合った作品になったと私は思います。

=以下、アマゾンから=
42歳の主人公裕子は、母親の介護の問題、夫の浮気への疑念から逃れるように、妻子ある男と関係を持つ。不倫ではなく、浮気やよくある情事でもない。そんな魂が触れ合うような恋愛は存在するのか。大人の女性にとってセックスの絡まない恋愛は成立しうるのか。恋愛小説の第一人者、林真理子が日本中の全女性に問いかける、魂を揺さぶる真の恋愛小説。

うまい文章だと思います。難癖をつければ、主人公の女性がもてすぎではないかと。結末の「恋」の行方はありなのか、と思う部分もあります。でも、「願望」なのだと思って読むと、美しい終わり方なのでしょう。きっと、潔癖な感情の持ち主からすると「女性がみなこのような願望を抱いていると誤認せしめる不届き千万なる破廉恥な本」ということになってしまうのでしょうが、まあそういう方は小説というジャンルそのものを読まない人生をお過ごしになればよいかと思います。

林さんは作家の中でも特に好き嫌いがはっきり分かれる方でしょう。意欲的だけど世俗的。書く内容が1歩も2歩も進んでいるのではなく、だいたいがせいぜい半歩先かほんの数十センチ先ぐらいのところ。自らの願望に忠実でそれを言葉にしてしまうし、それを実現する力がいまは備わっているので、なんとなく「自分と大して違わないに」と感じさせてしまうのでしょう。でも、その微妙な距離感を維持する実力こそが彼女のすごいところだと気づくと、作品も違った形で読める気がします。

この作品は読んでいる最中は引き込まれますが、では読んだ後なにか得られるか、という点では、まあなんというか、あまり引きずる部分がないように思います。そういう点では名作ではないでしょうが、何度も言うように「願望」をうまくまとめた作品。悩み多き中年期のファンタジーとして、一時悩みを忘れたい方にぜひお勧めです。

酸素ドリンク

2006-08-12 | つれづれ
コンビニの飲料コーナーに行ったら「酸素入り」と銘打ったミネラルウオーターなどのドリンクが随分たくさん並んでいました。まろやかな味になるだの、健康によさげな宣伝文句があったりで新し物好きの私は早速一本買ってみました。

買ったのはサントリーの製品。まろやかな味わいになっているそうなのですが、正直ぜんぜんわかりませんでした。成分表にも酸素とあるし、たくさん酸素が入っているから爆発しないように日向におかないで、とも書いてあるのでたぶん酸素は入っているのでしょう。でも、うーん、わからない。

一時、街で「酸素バー」をみかけました。まだあるようですが、頭がしゃきっとする、疲れがとれる、ということのようですね。その流れでしょうか? 酸素入りドリンク類は酸素さえもサプリのひとつになったことのあらわれなのでしょうか? なんだか釈然としない感じがします。だって酸素を吸うのは生きる活動の基ですよね。サプリとはちょっと違う感じが。生物としての生きる力が弱まっているような感じがして、あまり私は「お、いいじゃん」という感じにはならないのです。

ま、人それぞれですからね。それに酸素バーで酸素を使うと確かに頭がさえるとは友人らからも聞いているので。さてこのブーム、いつまで続くか定着するか?