「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

雨月物語

2010-01-31 | 映画
ふとBSフジにチャンネルを合わせたら映画「雨月物語」を放映していて見入ってしまいました。1953年の白黒作品。監督は溝口健二さん。主演は京マチ子さんで、田中絹代さんらそうそうたるメンバーが出演しています。すごい迫力です。子どものころ、たしかテレビで放映していたのをちらりと見て怖がって、あとちょっと子どもが見てはいけないのではないかという場面があり、少しみただけでした。いやあ、やはり子どもには難しいですよね、いま思えば。

あの世とこの世の、夢とも現ともつかない世界。人間が餓鬼のように醜く、欲望だけをギラギラとさせて生きる。生きるためにはそうならざるをえない過酷な環境。壮絶です。そして京マチコさんのなんともいえない隠微なエロス。上映時はまだ戦後8年、それこそ生死の境をさまよい、戦火でこの世に地獄を垣間見た人々の感覚が生々しく生きている時代ですから、おそらくつくる側も観る側もすごいリアリティをもっていたのだと思います。それが画面から立ち上ってくる。平和で豊かな時代を生きる私なんぞには想像もできないし、きれいごとで乗り切れることのない、ギリギリの生で人がみせる恐ろしさと優しさ、生と性への執着がこれでもか、という感じで描かれていました。時代が作り出した作品のように思います。いまは同じものはつくれないでしょうね。

それにしても、映画の後に出てきたBSフジの解説役の若い女性2人は、なんでこの娘たちなの? と思わされた。ひどい感想というか、まともな感想を口にできないんですよね。自己表現力にも疑問を持たざるをえなかった。映画を観ての感想が「古い」ですから。エロスもまったく感じられなかったようで、この映画にエロスを感じないのなら、いったいこの娘たちにとってのエロスってどんなものなんだろう、とオジさんは疑問に思いましたよ。せっかくの映画を観ても「馬の耳に念仏」状態だったのかもしれません。

お味噌仕込

2010-01-30 | 
恒例のお味噌の仕込を午前中、行いました。大豆と麹とお塩で秋にはおいしい「手前味噌」の出来上がり。今年は7、8キロぐらいになりそうです。だんだんと手馴れてきたためか、消毒などけっこう手抜きが多くなったようなま、それでもたぶんおいしいのができあがるんですよね。麹菌、エライ!

クロタン・ド・シャヴィニョル

2010-01-29 | 
ヤギのお乳で作ったシェーブルチーズ「クロタン ド シャヴィニョル」をいただきました。シャヴィニョルの“馬糞”という意味だそうですさすがにシェーブルだけあって独特の臭いが強烈です。でも、賞味期限を2日過ぎた熟成したものだけに、コクは深く、白ワインとの相性はなかなかによいです。チーズ好きにはたまらないのかもしれないですが、ちょっと慣れが必要かもしれません。ま、私は以前はナチュラルチーズなんかほとんど口にしたことが無く、青かびチーズなんて論外だったのに、いまはあの臭い、香りがたまらなくなっているのですからそのうち「うーん、やっぱシェーブルでしょ」なんてほざいていたりしてね。

有楽町西武撤退

2010-01-27 | つれづれ
有楽町マリオンの中にある西武百貨店が撤退するそうです。びっくりです。有楽町の顔ともいえるマリオンでもやはり集客は厳しいということでしょうか。まあ確かにお向かいの阪急に比べて、西武のほうは魅力的なイベントもなく、品ぞろいにも特色が見当たらないのでいつもさびしい感じがしていました。とはいえ、ありきたりの感想ですが、そごうに続き西武も…銀座でねえ。寂しいかぎりです。デパートってほんとになくなる方向なのかなあ。子どものころからやはりデパートときくとときめく感じがあるオジですから、てのは。

有楽町・銀座だけでなく、コマ劇場がなくなって映画館も次々閉館している新宿歌舞伎町も元気が無いし。浅草松屋も2月末で事実上撤退だし(子もどのころここの地下で試食品を楽しんでいただけに一層寂しい…)。要するに、やはりいまの日本は元気がないのか、とあらためて思うのでありました。

「チーズの時間」4巻

2010-01-26 | 
また漫画です「チーズの時間」4巻。最初はあまりに強引な感じがした内容でしたが、フレンチレストランでの話にチーズをうまくからめた展開になってきました。とはいえ、漫画としてのレベルは相かわらずそれほど高くはないのですけど…チーズに関するお勉強にはとてもいい漫画です、相変わらず。

デトロイト・メタル・シティ

2010-01-25 | 映画
土曜の夜にテレビで放映した「デトロイト・メタル・シティ」を観ました。漫画のほうも面白くて4巻まで読んでます。主人公のナヨっとした青年が、やることなすことすべて希望とは逆方向に進み、ドツボにはまっていく様子がおかしくて。テレビも文句なしに笑えました。松山ケンイチさんが演じる主人公の青年の情けなさぶりと、クラウザー2世としてメタルバンドするときの落差がお見事でした。

漫画では放送禁止用語連発なのでどうなることかと思っていたら、使用を減らして、しかもピー音とかモー音とかで誤魔化していて、それがかえっておかしい。おバカでナンセンスで、なにか訴えるとか考える素材になるとかはまったくないなんですけど、素直に笑いたいときには本当に笑えます。特に失意のまま故郷に帰ったさいの場面はなんといいますか、ほんとにねえ、おバカでカワイイ(笑)。

=以下は公式HPからのあらすじ=
心優しき青年・根岸崇一は、オシャレな渋谷系ポップソングミュージシャンを夢見て大分の田舎町から上京。「そのキッスの味はきっとラズベリ~♪さっき食べたケーキの仕業さ~」
渾身の甘いポップソング「ラズベリーキッス」でデビューを目指すが、ふとしたことから奇抜なメイクと演奏で人気を博す悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ」(通称DMC)のギターボーカル「ヨハネ・クラウザーII世」として活躍する羽目になってしまう。オシャレとポップソングが大好きな憧れの美女・相川さんにはそのことをひた隠して活動を続ける根岸青年だったが、DMCのデビューシングル「ラズベリーキッス」・・・もとい「SATSUGAI(殺害)」が爆発的なヒットとなり、その意思とは裏腹にクラウザーさんはどんどんカリスマとなっていく。
「俺は地獄のテロリスト!!殺せ殺せすべてを殺せ!!!!!」
SATSUGAIの爆発的人気とともに、インディーズバンド戦国時代が日本各地で勃発。
DMCはライバルのデスメタルバンドやパンクバンド、HIPHOP界のカリスマなどを次々と討ち果たし、レジェンドを重ねスターダムにのしあがっていってしまう。
「ボクがしたかったのは・・・こんなバンドじゃない!!」
そんな状況に苦悩する根岸。DMCの活動の合間に、オシャレミュージシャンとして路上ライブをする日々だが、一向に芽が出ない。そして憧れの相川さんにクラウザーとしての正体を隠そうとする日々にほころびが生じはじめる。
そんななか、アメリカ・ニューヨークから、凶暴極まりない世界的デスメタルのカリスマ、ジャック・イル・ダークが音楽界からの引退を発表し、その引退を前に世界中のメタルバンドと戦うワールドツアーを敢行するというニュースが入ってくる。
そして、日本での対バン相手にDMCが正式指名されることに・・・。
盛り上がる世間とは裏腹に根岸の苦悩はますます深まっていくが、対決の日は刻一刻と迫ってきて・・・。

海角七号/君想う、国境の南

2010-01-24 | 映画
上映中の台湾映画「海角七号/君想う、国境の南」を観てきました。中国や台湾にかかわったことのある者には、おそらくたまらない映画です。切ないラブストーリーですが、背景にある戦前の日本と台湾の関係、先住民族、いまの日本と台湾の関係なども見事に織り込まれ、しかも台湾の田舎町に暮らす普通の人々の生活も自然に堪能できてしまう。笑いあり、感動ありで、台湾映画としての台湾での興行成績を塗り替えた作品です。ストーリーがやや複雑というか唐突感がある部分があり、理解するのに時間がかかるのは難点。ちょっと役者さんが下手なところもあるのですが、それが逆に素朴さを引き出しているのは、怪我の功名でしょうか。正直、台湾に関心がない人にはきっと「何?」という映画。台湾人の温かさ、街の雰囲気を楽しむ映画かもしれません。

=以下goo映画から=
ミュージシャンの夢敗れ、台北から故郷の恒春に戻った青年アガは、郵便配達の仕事についたものの、無気力な日々を送っていた。そんな時、日本から中孝介を招いて行われる町おこしのライブに、前座バンドとして駆り出されることに。オーディションで集められたメンバーは寄せ集めで、練習もままならない状態。ひょんなことからマネージャーをする羽目になった日本人女性・友子とも、衝突してばかりだったが…。


中国語と台湾語と日本語が飛び交う映画。60年前の日本人男性と台湾人女性の純愛、悲恋を一本の軸にして、現代の日本人女性と台湾人男性との恋物語をつなぎます。一歩間違うとすごく深刻になりそうな歴史問題をさらりと、でもきちんと背景に出来ているのに大きな役割を果たしているのが、80歳の月琴弾きが趣味のおじいさん。「童は見たり野中のバラ」などと日本語の歌を口ずさむユーモラスな役回りで場を和ませる。いい味出してます。

先住民や客家も嫌味なく登場します。たぶん実際にも台湾では日常の風景に溶け込んでいるのかもしれません。映画の一コマ一コマの風景がとても懐かしい感じがする。台湾人らしいおおらかな優しさが随所に生かされています。ヒロイン(?)役の日本人女性、田中千絵さんはみごとな中国語です。しかも激高したときには、中国語がいかにも日本人的な発音、中国語になっていて、雰囲気がよく出ている。細かいけど、お見事な演技でした。

中国、特に台湾が好きな人にはぜひぜひ、とお奨めします。

ワイン漫画2つ

2010-01-23 | 
「神の雫」23巻と「ソムリエール」12巻が同時記に発売され、飲み比べならぬ読み比べ。いつかもこんなことがあってやはり同じ感想を書いたが、出てくるワインについての蘊蓄や秘話、人の思いみたいなものがソムリエールの方がよく書き込まれている。そしてなにより、価格帯が手頃。雫のほうはこれでもかという高級路線。嫌みさえ通り越してますよね。

あと、圧倒的に支持したいのがソムリエール側のコラムです。堀賢一さんの視点は見事な是々非々。ワインを愛するが故に、ワイン造りの暗部にもきちんと切り込み批判する。今回のコラムの中ではビオデナミに対するものがいいな、と思いました。

ビオデナミは無農薬有機農法に加え、西洋占星術まで活用した究極の農法として信奉者が多い。これさえしていればなんとなく信頼してしまうような部分がある。それを、きちんとダメな生産者もいるし、本来的なビオデナミとはズレているのではないか、と問題提起し、ニコラ・ジョリーのようなカリスマにも問題点があると指摘する。

私にはどこまでが本当なのか知る由もないですが、多様な視点を提供されることで考える材料が増えるのは間違いない。悪いことではないと思っています。

ちょっと脱線しましたが、ま、どちらのマンガにもこれからの展開を一応期待していますよ。

ダイエット法

2010-01-20 | つれづれ
NHK「ためしてガッテン」で、珍しく2週にわたって引っ張ったダイエット話題。2週にする必然性はまったくわからなかったですが、今日みての「へー」は、空腹感をおぼえたとき、アドレナリンを出すためにその場で20回ランニングをする、という方法。なるほどという感じです。

でも、てのは甘いものが大好きで仕事中にもよく食べていますが、頭を使うと素直に甘いものが食べたくなりません? 自転車に乗ると無性に甘いものが食べたくなります。将棋や囲碁の棋士をみても、対局中に甘いものを食べている姿が多々みうけられる。食べたいと思ったときにあまり制限をするとエネルギー不足にならないのかなあ、とちょっと心配してしまいました。

たしかに太りすぎの人はいますが、なんとなく「気にしすぎじゃない?」と思うような、とても太っているとは言えないような人までがダイエットに励むのはいかがなものでしょう。あまり痩せすぎなのも、これまた問題かと。要は適当が一番。気にしすぎは、ねえ。

BS-TBS「世界・夢列車に乗って」

2010-01-18 | つれづれ
最近のテレビのお気に入りはBS・TBSが放映している「世界・夢列車に乗って」という番組。テレ朝に「世界の車窓から」という番組がありますが、あれの時間を延ばしたヴァージョンと思えば間違いないでしょうか。鉄道に乗りながら、行く先々の都市を紹介していく。静かで美しい映像が印象的な番組です。各地の文化、史跡、食の風景を堪能する内容で、ちょっとした旅行気分が味わえる。大人の番組とでもいいましょうか、安心して観ていられるんですよね。

今日はピサからアマルフィまでのイタリア西海岸の旅の再放送でした。素敵です、イタリア。行ってみたいな、よその国こうした番組が地上波のほうではあまりみられないのが残念です。芸の無い芸能人の内輪話ばかりが目に付いて、うるさいばかり。まあ、チャンネルが増えたのですから、こうした大人向けの番組が増えることを期待していますよ。

龍馬伝

2010-01-17 | つれづれ
今年の大河ドラマ「龍馬伝」。福山雅治さん主演ということもあり、注目されていますね。実際、2回まで観た感想は「今年は観たい!」と思わせます。芸達者の香川照之さんが岩崎弥太郎役で回顧する形式ですが、新しい龍馬像を感じさせます。

これまでの坂本龍馬を描いた作品に共通しているのはだいたいが龍馬はスーパーヒーロー的に最初から「すごい人」です。でも、福山龍馬はそうではない。ごく普通の若者が悩みながら成長していく様子がよくわかる。悩み、悲しみ、喜び、自分の道を探していく。親近感がわく部分がある。等身大に近いとでも言いましょうか。

香川さんの演技はさすがですが、少々力が入りすぎというか、「過剰」な感じもしますが、まあ福山さんと対比させる意味なのでしょう。ま、なにはともあれ、福山さんは何をしても絵になりますね。今後が楽しみです。

キュベ・パラドックス02年

2010-01-16 | ワイン
ラングドックのワイン「キュベ・パラドックス02年」をいただきました。おいしかったあこういう感想はワイン好きとしては恥ずかしい表現ですが、素直に飲めて素直においしいと感じました。



シラーをべースに、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、グルナッシュを混ぜ合わせた。ボルドータイプのようで、でもラングドックの風合い。なにより凝縮感がすごい まろやかにこなれたタンニンも感じられるし、うっすらとですが一本背骨のような酸味も感じられて、だらけた感じもしない。黒コショウのようなスパイシーさもあって複雑味がある。ラングドックにありがちな「凝縮感はあるのだけれど…」というワインとはまったく異なります。奥行きがある凝縮感。余韻もしっかりで長め。ブドウ自体が太陽の恩恵たっぷりと受けているのはもとより、丁寧な作りこみをしているな、と感じました。5000円と、ややお高めではありますが、素敵な一本。ドメーヌ・ド・ラルジョルの一品でした。

登呂遺跡

2010-01-14 | つれづれ
静岡に出張。ちょいと時間が空いたので登呂遺跡に行ってきました。



前回行ったのはもう30年以上前になります。今回は遺跡が整備中で、廃墟のようになった「家」もあってかえってリアリティがあった(?)。真新しいのが写真のです。博物館も改修中で、なんだか時間をかけて行ったのがアホみたいでした。

ま、それでも「家」の中に入ると暗くてひんやりして、さびしかったろうなあ、と感じました。いまは佐賀の吉野ヶ里遺跡や青森の三内丸山など話題になっている遺跡がほかにもあるから、遺跡の老舗的存在といっても安閑とはしていられないのでしょう。だからこそ改修なのでしょうね。それにしてもほんとに住宅街の真ん中にあるんですね。

「ちはやふる」7巻

2010-01-13 | 
そういえば最近やたらと話題にしているのにきちんと感想を書いていなかった漫画「ちはやふる」の最新刊7巻を買って来ましたので、まとめての感想。この漫画は漫画大賞09年を受賞していますが、むべなるかな。素晴らしい青春漫画だと思います。題材こそ一見地味ですが、辛さから逃げないで必死に努力する姿や、友情、恋愛など古風なまでのたたずまいを骨格にしています。

適度に笑いもあるし、オジ世代にはホロリ、じーんとする美しい友情の姿。「負け」から多くを学び成長していく姿に、若さへのまぶしいまでのうらやましさを感じます。

主要登場人物の中では、主人公でかるたクイーンを目指す千早を見守る2人の幼馴染、太一と新の関係がなんというか、いいですねえ。太一は千早に恋愛感情をもっているのですが、それを極力表に出さない。新は千早の目標であるし、千早は常に新を意識している(恋愛とはまったく違う感情ですけど)。成績優秀、イケメンで家柄も良いが「器用貧乏」なところがあって、かるたではあと一枚脱皮できない太一と、かるたの名人になりうる素質を持つ新の関係は微妙です。今後の2人と千早の関係もみものです。

太一がかるた部の部長として、みんなをまとめる役割に目覚めて人間的に成長していく姿にオジさんはうれしく、じーんとしてしまいます。机君もかなちゃんも、それぞれ個性をうまく描いていて欠かせない。これからの登場人物達の成長物語、千早のクイーン兆戦までの勝負の行方を、傍らで見守りながらハラハラドキドキしていきたいと思います。

「とめはねっ! 鈴里高校書道部」6巻

2010-01-11 | 
「とめはねっ! 鈴里高校書道部」の第6巻が出ました。先週からNHKが実写ドラマ化していますね。書道を題材にして、これまた昨日話題にした「ちはやふる」のようにマイナーな世界を世に広めた功績が実に大きな漫画です。

6巻では、鈴里高校書道部の面々が成長するために第一歩を踏み出した印象があります。マイナー高校の書道部が今後、どのように成長して「全国」の壁に挑むのか。楽しみ。スポ根とは違いますが、情熱を持って一つの事柄に当たることの大切さや美しさを感じさせます。

なんていうふうに書くと、この漫画が誤解されそうですね。基本は学園モノの淡い恋物語に書道やスポーツ、競争をからめた、軽い内容ですから。どんな世界にも一所懸命に情熱を傾けて青春している若者がいる。そんなことを思い出させてくれるという意味で、この漫画や「ちはやふる」「ヒカルの碁」のような漫画が世の中に受け入れられるのは、とても素敵なことだとオジさんは思います。