「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

ONCE ダブリンの街角で

2010-02-28 | 映画
今日の東京は朝からみぞれ交じりの寒ーい一日。自転車にも乗れず、東京マラソンを見に行く気もなく、家でゴロゴロとしてスターチャンネルをつけていたら、アイルランドの映画「ONCE ダブリンの街角で」を最初から最後まで観てしまいました。素敵な作品でした。

=以下gooブログから=
アイルランド、ダブリン。多くの人が行き交うグラフトン・ストリートでオンボロのギターをかき鳴らし自作の歌を唄う男がいる。そこに一人の女がやってきた。10セントのチップを出し、あれやこれやと男に質問する。挙句、掃除機の修理の約束をさせられてしまう。翌日、壊れた掃除機を持って女が現れた。途中、ピアノを弾かせてもらえるという楽器店に立ち寄った。彼女の腕前に感心した彼は、一緒に演奏することを提案するのだった。


何が起きるというわけでもないのです。派手な映像も、ドンパチも、ラブシーンも。自主制作みたいな、ちょっと手振れ感のある映像。でも、ささやかな日常を生きる人の等身大の生活と夢と希望が実にうまく描かれる。言葉は寡黙ですが、音楽を通じて「会話」が成立し、お互いの心を静かに通い合わせる。大人の静かな恋が素敵です。じんわりと、「ああ、人生って悪くないなあ。人ってやはり希望の源泉なんだ」と思います。ちなみにこの映画は2006年度のアカデミー賞最優秀賞歌曲賞を受賞しています。

「海街diary3 陽のあたる坂道」

2010-02-27 | 
吉田秋生さんの名作漫画、実に1年4ヶ月ぶりに単行本として出版です。「海街diary3 陽のあたる坂道」。あいかわらず、心のあやの描き方が素晴らしい! 静かに、淡々と。でもセリフや一こま一こまの絵が、じんわりと心に染み入るようです。ほかの作家さんだったらもっとなんというか、大騒ぎして、騒々しくなりそうな話の展開も抑制がきいていて、それが逆に余韻、情緒を感じさせる。本当に名作だと思います。

今回はやはり、長姉の幸の恋の幕引きが一番の話題。見守る妹たちとの関係もすごく自然。大人の恋ですね。心の動き、悩みがうまく伝わる。不倫相手の男性に箸を買うか買わないかで躊躇する後姿などは秀逸です。最後の別れのシーンも、テレビなら余計な音楽や過剰な演出が入りそうな場面ですが、淡々と描く。実人生には音楽も流れなければ、効果音もないのです。対比的に末妹のすずの初恋物語がういういしくて、でもちょっぴり切なくて、中学生らしい恋物語に思わず微笑んでしまう。

幸とすずの2人が甘味店に入り、一緒に切通しを歩きながら話をする何気ないシーンが、日常のなにげない幸せを感じさせる。素敵なシーンです。新しい恋の予感も感じさせて、また次号以降の展開が楽しみです。

食堂かたつむり

2010-02-20 | 
映画が公開され、関連レシピ本まで出ている話題の本「食堂かたつむり」(小川糸さん著)。まるで最初から映画を前提にしているかのような、脚本みたいな小説でした。つまり風景などの描写がお上手で、イメージがすごくわきやすい。出てくるお料理は食欲をいたく刺激します。レシピ本が出るのもむべなるかな。ただ、なんというか薄っぺらいというかメルヘンというか絵本というか、そんな読後感が残ります。

主人公の女性と母親との確執、和解が最大のテーマで、スローライフが第2テーマとでもよぶべきものでしょうか。都合が良すぎる展開の仕方ですね、少々。風景描写は美しいのですが、人間描写が薄くてありえないぐらい主人公に都合のよい動き、思考をする。繰り返しですが、これはむしろ映画の美しい画像を期待したほうがいいかもしれません。

走馬灯株式会社

2010-02-16 | 
「走馬灯株式会社」なる漫画を手にしました。なんというかまあ発想はおもしろいのですけど、いかにもベタ。絵もワンパターンだし、なんか毎回必ず女性の裸が出てくる展開もいかにも受け狙いがみえていて鼻につく。それに浅いんです、全体的に。人間の描写、人の心の動き、背景の描きこみなど、この漫画のテーマならもっと描き込めるし、描きこまないといけないように思いました。菅原敬太さんという新人さんのようなので、そこまで求めるのは酷かもしれないですが、発想が面白いだけに今後に期待です。

=以下、アマゾンから=
走馬灯株式会社。それは、自分の視点で記録された人生を観ることができる、不思議な会社。妻と子を失った男性、集団自殺希望の若者3人組、様々な人々が迷いこみDVDを観始めると、そこには、今まで知らなかった過去の真実、心の奥底にしまいこんだはずの秘密が。全てを観た後、彼らは…?新鋭漫画家が贈る極上ミステリー。

ブラインドネス

2010-02-14 | 映画
映画の「ブラインドネス」。いきなり失明する原因不明の伝染病が蔓延して社会が崩壊するさまを描く内容でした。怖かったです。一人だけなぜか病気にかからない女性が主人公なのですが、その気になれば「神」の立場にもたてそうなのに、「絆」の要になるために諸々の屈辱も受け入れる。まあ、詳細は控えますけど…。かえって見えることが死ぬほど辛いかも、と思ってしまいました。この映画、人間社会の秩序が崩壊したときにこそ人間の本質が問われる、というのが基底にあるテーマ。いざとなったときの男の情けなさと女性の強さがすごくリアルでした。どうにも書きにくい内容ではあります。PG12ですが、PG18でもいいかもしれないですね。

テルマエ・ロマエ

2010-02-13 | 
なにか嫌なことがあったり、疲れたりしたとき、お風呂、とくに温泉や大きな銭湯の湯船につかると「ふー、極楽極楽」と口をつきます。で、思うのは「日本人には風呂がある」。少々のストレスなどお風呂さえあれば、という感じでしょうか。でも、そんな幸せを知っているのは日本人ばかりではありません。カラカラ浴場などでも知られる古代ローマ帝国の人々も相当にお風好きだったことはよく知られているところです。で、今回読んだ漫画は、その古代ローマの風呂設計技士ルシウスが、なぜか現代日本にタイムスリップしてはまたローマに戻るを繰り返すという設定の漫画「テルマエ・ロマエ」(ヤマザキマリさん著)。めちゃくちゃ面白かったです。

五賢帝の一人、ハドリアヌス帝の時代が舞台です。ルシウスはやたら真面目だけどうれない風呂設計技士。アイデアが枯渇し、失業の憂き目にあった彼は大浴場につかっているときに風呂底に開いた穴を見つけます。その穴に吸い込まれた彼の行き着いた先が現代日本の銭湯。誇り高きローマ人ですから、ここを奴隷の浴場と考えます。「平たい顔の奴隷たち」。でも、そこでルシウスが見たのは富士山の壁画であり、洗面器や脱衣かご、映画のポスター。みたこともない素晴らしいグッズの数々です。極めつけは、お風呂から上がったあとのフルーツ牛乳牛乳を口にしてそのおいしさに陶然としていると、なぜかまたローマに戻ってしまいます。銭湯でみたものをルシウスはヴェスビオス火山にナポリ湾の壁画、番台などと再現して大好評をはくします。特にフルーツ牛乳はあまり冷えていないのと、ローマ職人の技をもってしてもやや形がいびつなビンしかできないこと、フタをあける「すっぽん」がないので指が濡れてしまうという問題を解決できないで悩むのですけど…

まあ、これが第1話で、1巻は第5話まであるのですが、露天風呂、湯治、自宅風呂と、アイデアに悩むたびになぜか現代日本(平たい顔族の国)に来ては模倣していきます。そして皇帝にまで認められるのです。もちろんラテン語と日本語ですからスリップ先で話が通じるわけもない。誇り高く真面目なローマ人のルシウスはローマが世界最高峰の文明国だと思っていて、その思い込みから勝手な解釈をしていきます。その一方で「ローマ以上の文明をこんな平べったい顔をした人々がもているなんて」とショックを受け(なにせ時代を超えているという意識はまったく無いので)、プライドが痛む様子が妙にカワイイ。日本人は日本人で「外人さん、銭湯は初めてだろ」「風呂で熱燗と温泉卵は最高だべ」と違和感無く、いかにも日本人的に接待してしまう。交流のトンチンカンさが笑いを誘います。

自宅風呂のストーリーの展開の仕方には笑ってしまいます。だって大浴場ならまだしも、自宅の風呂に見知らぬ裸の外人がいきなりいたら、どうします? 普通はえらい騒ぎでしょ)それがなんと、ストーリーが違和感なく進むんですよね。ま、これ以上はネタバレになるのでおさえておきましょう。

古代ローマ人は本当にお風呂が好きだったようで、実は私はいま塩野七生さんの「ローマ人の物語」を文庫本で読んでいて、30巻(マルクス・アウレリウス帝の時代でローマ帝国の終わりの始まりのころです)まで読み進んでいます。ローマ人が生きていたら日本の銭湯をみてどう思うだろうなあ、とかねがね思っていたのですが、それをヤマザキマリさんという漫画家さんは形にしてしまったわけですね。ハドリアヌス帝はこんな感じかも、なんて思ってしまいます。斬新なアイデアを次々と繰り出す、自身がすぐれた建築家でもあったハドリアヌスの時代を選んだところに、作者のセンスの良さを感じます。

ちなみにローマ人というかヨーロッパの古代ローマ帝国範疇の人々が風呂に入らなくなるのは、帝国の力の衰えもあるのですけど、ペストの流行が大きな要因だったそうですね。ペストの原因がわからず、他人と同じ湯につかるのは気持ちが悪い、病気の原因なのではないかと避けたためだとか。それがかえって不潔さのために疫病を増やしてしまうことになるなんて思わなかったのでしょうね。

ヤマザキマリさんはどうもポルトガル在住の方のようです。この発想の面白さに5つ星を差し上げたい。大変お奨めの一冊でありました。

地球が静止する日

2010-02-08 | 映画
キアヌ・リーブス主演の映画「地球が静止する日」。以前の「地球の静止する日」を08年にハリウッドがリメークした作品ですが、「どうしたハリウッド!?」と問いたくなります。最近、ほんとにパッとしないですが、この作品もねえ…

=以下Yahoo映画から=
任務遂行のために地球へとやってきた、宇宙からの使者クラトゥ(キアヌ・リーヴス)。クラトゥの謎を解き明かすべく政府や科学者はやっきになる中、今訪れんとする危機に気付いたのはヘレン(ジェニファー・コネリー)と息子(ジェイデン・スミス)だけだった。


ストーリーの設定のでかさ、深刻さの割りに、女性博士と息子の葛藤というか、この息子のどうしようもないおバカぶりに気が散ってしまう。それに地球を滅ぼすのがムシなの? と肩透かし。題名からすれば自転を止めて地球上の生命を根絶やしにするのがスジっていうもんでしょうに。なんか甘ったるいんですよね。予告映像だけ見ているとCGをふんだんに使って地球滅亡が刻々と迫る状況を映像化しているのかと思うのに、その場面はほんとにごくごく一部。これ、羊頭狗肉というもんでしょう。「地球環境を大切に」「人類は争ってばかりじゃダメダメ」というベタなメッセージだけを連呼して、キアヌ・リーヴスを見せるだけの映画ですね。

DRCエシェゾー1997年

2010-02-07 | ワイン
ついにDRC(ロマネ・コンティ)を飲む機会がありました。というかこんな未熟者がよいのかしらん、と思いながら、一生にそう何度もある機会でもないだろうと開き直り、恐れ多くもいただいてしまいました。エシェゾー1997年。エレガントなワインでした。

お花畑の香りという逃げの表現ですが、これが一番しっくりする感じ。さらさらと舌とのどの上をすべるように飲める軽やかさ。しっかりとした酸味が全体をエレガントにまとめあげています。このワインなら一本をするすると飲んでみたい! と思う味わいです。しなやかでさらさらとしたストレートヘアが美しい、エレガントな若い女性のイメージといったら表現力が貧困でしょうか? でも、しっくり来るんですよね、この表現が。

まあ、価格が価格なので仲間とシェアしながら、貴重な味わいを楽しみました。もっと飲んでみたーい!まあ、貴重だと思うからこそまた一層味わいが愛おしくなるのでしょうね。

ゴールデンスランバー

2010-02-02 | 映画
映画の「ゴールデンスランバー」を観ました。私のお気に入り俳優の堺雅人さんと貫地谷しほりさんが出演しているから、なのですが、残念ながら映画は×。日本映画の悪い点を集めたような駄作になってしまいました。

妙に情緒的で、何が言いたいかわからないし、リアリティがまったくないから緊迫感もまったくない。ひどいものです。どうも「信頼」「友情」というのをキーワードにして、これって大事、「必ず愛は勝つ~!」みたいな脳天気さ加減がどうしようもない。とにかくストーリーがいたるところで破綻しているし、「何でやねん!」とつっこみたくなるような展開がいたるところに出てきます。これ、映画館でみる必要はまったくありません。テレビでそのうちに上映すると思いますので、お待ちするのがよいかと。

アバター

2010-02-01 | 映画
話題モノに弱いというか、「あのとき3Dのアバター観たんだ」と後々語れるようにと、「アバター」の3D版を観てきました。昔の赤と青のセロファンとはまったく異なる、重たいメガネ。目と目の間の額部分にもなにか光を感受するようなセンサー様のものがついています。ここを押さえたり、メガネをはずしてみると画面がずれている状態です。それにしても重い。近視なのでメガネonメガネ状態だけに、けっこうおさえていないとずれる感じです。で、それほどすごい立体感ではないのですね。手前に字幕が見えて、奥にきれいな立体映像がある、という感じです。別に「ぐわっ」という感じで迫り来るという類の映像ではありません。でもやはり美しいことは美しい。

あ、肝心の内容ですが、はっきりいってつまらないです。これ、普通の映像で3時間近く見せられたら辛いでしょうね…とにもかくにも3Dのためのストーリーですから。まあ映像を楽しみましょう、という映画だと思いました。4月に上映予定のジョニー・デップの「アリス」のほうが楽しみかも?