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街の散歩…ひとりあるき

16-17 悉逹太子入学 阿私陀仙三十二相を示 Ⅲ…『釋迦尊御一代記圖會』巻之2

2024年08月24日 | 宗教


管(すら)尋ね問いて止みたまわざれば、せんすべなくて花の宴の折から右の脇より降誕ありし後七日
にて逝去(みまかり)たまい、遺言に依って夕陽(せきよう)山に葬り、無憂樹を移し植えしまで、あらかじ
め語り聞かせ奉るにぞ、太子、幼心にも悲しくや思いけん。雨々(さめざめ)と泣きたまい、然らば猶
あの花を折りて得させよ、と、母君と思い且夕(あけくれ)に見んと仰するにぞ、是非なく一枝折りて
進らせれば限りなく悦びたまい、花瓶に挿してめかれせばながめたまう。斯くて長き日も傾きけれ
ば憍曇弥夫人太子を誘い奉り青陽城へ還御したまう、其の後、年月経ちて太子
五才になりたまえば加冠の儀式あり。淨飯王。臣下に勅して七宝の玉冠および瑶珞(ようろく)を
造って加えしめたまう。偖(さて)、七歳にならせたまえば、父王普く四天下に触れて射芸の堪能
を召され、太子に射術を学ばしめたまうる一月をも経ずして、悉く妙所を究めたまうにぞ。
射師大いに驚嘆し、是、凡人にては在(ましまさ)さずと舌を巻きけり。其余、糸竹乱舞
を始め、諸々の技芸を学びたまうにも、旬日にして蘊奧(うんおう)を悟り覚えたまうにぞ、諸人益す
竒異の思いをなしぬ。偖(さて)、八才にならせたまえば、父王、太子に文道を学ばしめんと思し召し、
群臣を集えて、誰をか太子が文道の師範となずべきと勅問あるに、月卿雲客
奉(うけたまわ)り誰彼と其の人を撰み論ずるに、鬱頭覧弗(うづらんふつ)に勝る博学多才の人有る

べからずと、衆議一決し此の旨奏聞しければ、然(さ)らば覧弗が方へ遣わし文道を学ばしむ
べしとて、先ず封頭覧弗を召されて太子の師範たるべき旨勅諚あり。次に月景城へも右の胸を仰
せ渡されければ、憍曇弥敬(つゝしん)で領掌したまい、勅使に就いて回奏したまうよう、太子御入
学の事、最上の御事にそうろう。然れども博士の許へ参りたまうに、女官のみも似合わしからずそ
うらえば、何とぞ、御学びの友となるべき少年を撰み、太子に扈従(こじゅう)させたまえと願いたもう。
大王、理(ことわり)に思し召し、誰か、太子の文道修行友となすべきと諸臣に問いたまうに、星
光の嫡男、烏陀夷(うだい)、年齢十三才賢明にして、智才人に勝れば是に如くべからずと
奏するにより、即ち、星光臣へ勅命下り烏陀夷を太子の扈従(こじゅう)になすべきよし
仰せわたさる。星光大いに悦び、家の名誉是に過ぎずと、敬(つつしん) で領掌し、偖(さて)、烏
陀夷を近く招き、汝を皇太子の御扈従(こじゅう)になしたまうべきよし倫命下れり。是、願いても
得難き幸福(さいわい)なり。能く能く身を慎み心を竭(つく)して太子に仕え奉り、片時も御傍を去らず、
俱に、文道を学びそうらえ。と、くれぐれ教訓を加え月景城へ進らせけり。憍曇弥夫人
御怡悦(いえつ)あり、此余(このほか)俊才の童子、十余人を撰出して扈従(こじゅう)とし、吉日、良辰を
撰み、太子を輦車(れんしゃ)に乗(めさ)せ嬭母(うば)、女官、諸童子を随従せしめ博士鬱頭(うづ)

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