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街の散歩…ひとりあるき

22-23…御身は過去の戒行いみじきに因って王の寵愛深く…『釋迦尊御一代記圖會』巻1

2024年08月04日 | 宗教

の福(さいわい)あり。生類萬億のなかに人倫と生るゝ事、是、一つの福(さいわい)なり。人倫の中に
おいても萬の道理を知る身となる。是、二つの福なり。萬の道理を知るなかにおいても能くそ
の深理を知るに至る身となる。是、三つの福なり。是を人倫の三生と言えり。このほか世界に
十定の掟ありと説いて聞かせ奉らん、聞きたまえ。

其の身 尊(たっとう)して 賤きを捨つる勿れ  其の身 智にして 愚なることを捨つること勿れ
其の身 道を修して 悪人を謗(そし)ること勿れ  其の身 富んで 貧しきを捨つること勿れ
其の身 盛にして 衰(おとろう)を捨つること勿れ  其の身 修まりて 不協を捨つること勿れ
其の身 誠にして 偽るを捨つること勿れ  其の身 圓(まどか)にして闕(かけ)たるを捨つる勿れ
其の身 明かにして 暗きを捨つること勿れ  因果の縁を知って 他を恨むこと勿れ

是の十掟は古きよりの掟にして、国土の十因とも謂えり。この理を知らずして肆(ほしいまま)なる
を人非人といいて、天人ともに捨つるところなり。抑(そもそ)も御身と姉君、憍曇彌とは七百
生が間の仇敵にて、或いは親となり子となり、或いは姉となり妹となり、或いは主従となり、或い
は敵々となり、恨みを結ぶこと言語のおよぶところならず。その一端をいわば先の
年、夢想に説きし等乗国の法娑王(ほうしゃおう)の後の后妃・夷鳩陀(いくだ)夫人は即ち今の憍

曇彌夫人なり。生を変えて今、姉妹と生まれ俱(とも)にこの都城に留められ、淨飯王の愛幸
を受くる身となれども、御身は過去の戒行いみじきに因って王の寵愛深く
姉姫は因位の悪報に因って王の寵愛薄し。是の故に平素(つね)に嫉妬の悪念耐えず。
皇子の懐妊と聞こえしより瞋恚(しんい)の劫火いよいよ熾(さかん)になりて、その身は月景殿裡に在
ながら、一念の妬心は十六丈(50㍍弱)の悪蛇となりて、虚空の裡に翻満(へんまん)し天地の悪鬼
を招き日月(じつげつ)の光を覆わんとし、そのうえ儀伯、無間という二人の道師を招き言葉巧に
して御身を月景城へ迎え、廉中にかの道師を隠しおき、御身の形代を写し
造らしむ。これ、呪詛調伏(ちょうぶく)の始めにて出産の道を塞ぐ根本なり。その呪詛の法と
謂うは、造り設けし形代(かたしろ)を土中に埋み、諸々の冥道無数の邪神を驚かし天血(てんけつ)
忘地地忘(もうちけつぼう)の邪法を以て人倫出世の門を七重に塞ぎ、内縛外縛業縛の秘法を
以て、父母より受くる三百六十余條(すじ)の血脈(けちみゃく)を、母夫人の四十八の骨に搦(からみ)
着け、磐石無明の法を以て月日の光を覆い、是を以て数多の月を重ね
ぬれども産まれ出べき道なし。されども余が神力自在を以て降誕せんは安
けれども、さなりては憍曇彌の妬心ますます熾(さかん)になりて瞋恚(しんい)の劫火のために
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