自作ケーブル記事最終章です。
* この記事では体験談を書いています。 より詳しく正確な方法をお知りになりたい場合は、他のHPや専門書をご覧くださいネ
と、いつもの"逃げ道"を用意して説明に入ります。 …だって他人に見せるほどハンダ付け上手じゃないんですもの!(笑)
■ プラグとケーブルの仮接続
赤黒の線のうち、どれをプラス・マイナスにするか決めたら(通常、"赤・黒"のときは赤をプラスとしたほうが分かりやすいです)、プラスを中心の軸へ、マイナスを外周へ向けます。 ドレイン線はRCAプラグの場合は付けても付けなくてもOK。 付ける場合はマイナス側へ着けます。
↑ マイナス線はハンダ付けしやすい位置で折り込みます。
そして金具でケーブル全体を挟んで固定。 ドレイン線は工程を簡易にするため、その部分に挟むだけにします。 まぁシールドですからこのくらい簡素でもいいでしょう
* RCA・同軸ケーブルにおいて、シールド線・ドレイン線など接地をマイナスに接続すると中-中低域音の押し出しが強くなる傾向になります。 エフェクターとして機能する可能性が高く、歪みっぽくなるので、セオリー通り付けない方がナチュラル・フラット傾向かと思います。 ただし、接地はしなくてもシールド・ドレイン線があった方が耐ノイズ性は高いので、[3芯]・[2芯+シールド線]をお勧めします。
■ 用意するもの
・ ハンダゴテ
・ ハンダ
・ コテ置き
・ 濡れ雑巾
↑ 道具類。 コテは¥1500ほどの代物です…。
↑ すし屋で貰った湯飲みはコテ台として使ってます。 引っ掛けるとキケンなので、皆さんは専用台をご用意ください
■ コテの準備
まずはコテ先にハンダの膜を付けます。 後の作業をラクに行うためにも必須ですし、前に使ったときに付いた劣化したハンダをとるためにも行います。
熱したコテ先に少しハンダを付けて、十分なじませてから、濡れ雑巾を撫でて落とします。 劣化して硬くなったハンダが取れにくい場合は、少々手荒ですがグリグリ押し付けてキレイにしましょう。
コテ先がピカピカになったら準備完了です。
▲ どうしてもキレイにならなければ、ヤスリで削ったり、コテ先を新たに購入しましょう。
■ ハンダ付け
理屈を知らないと相当難しいハンダの扱い。 この難しさ、先にタネを明かしますと、ハンダは温度によって吸着・浸出などの性質がコロコロ変るためです。 順を追って見てみましょう。
● メッキ無し銅線の場合
・ コテ先を温めます。 糸ハンダを付けてみて滑らかに溶けたらOKです。 煙が大量に出たら加熱し過ぎの状態なので濡れ雑巾に押し付けたり、一旦OFFにして温度を下げます。
・ 部材に付けていきます。 プラグという簡素な構造の部品の場合、やや多めに流し込むようにして盛ってしまったほうが確実性や強度も増して良いと思います。 この時くれぐれもプラスとマイナスに"ハンダの橋"を掛けないように気をつけます。
・ 適正温度だと、面白いようにハンダが流れていきます。(部材によっては流し込んではいけません…) しかし、コテに温度調節機能がついていない場合、このまま当て続けているとハンダの性質が変化・劣化し、更に加熱を続けると逆にコテ先に戻ってきてしまうこともあるので一回に行う量は程々にします。
・ 濡れ雑巾を撫でて、適度に温度を下げながら作業をします。 精密部品の場合は熱で破損させてしまうこともあるので、コテと部品が長く付かないように十分気をつけ、短時間で行います。
* ハンダ表面が滑らかなほうが音質が良くなるといわれていますが、ケーブルの場合、付ける箇所はたったこれだけですのであまり影響は無いと思ったほうが良い"かも"です。
* 煙は有害なので吸わないように。 室内の換気を良くして行ってください。 (念のため、防護ゴーグル、マスク、手袋の着用を推奨)
● メッキ線の付け方
施されたメッキの材質にもよりますが、メッキ線はハンダをはじきやすいためやや難しくなります。
基本は上記方法を踏襲しますが適正温度の幅がかなり狭くなります。 慌てず手早く、ハンダを更に多めに垂らすようにします。 特に、温度調節が無いコテを使用している場合は温度管理が大変シビアになるので、慣れない内は『プラグを一つ付け終わったらコテが冷えるまで休む』という風にするのも良いかと思います。
* 絶縁部分を短めに剥いて、先をバラして広げてやると弾きにくくなるかと思います。
■ 完成披露
匠の技には程遠いのですが…、こんな感じで出来ました。
↑ こんな付け方で繋がるなんてキセキですね… というか、どうついているかも見えにくい…
↑ きゃ~、恥ずかしいから見ないで級の出来です
うーん…。 決して公開できるような出来ではないのですが…(見えにくいし…)、『最低限この程度でもしっかり使えますよ』の見本としてください とはいえ、某プロケーブル店製のキレイにハンダ付けされたケーブルとの比較をしたのですが、音質には全く遜色はありませんでした。 ぶっちゃけ、抜けることが無ければ万事OKです
(音響機材の中のハンダ付け箇所は数百とも数千とも言われています。 それと比較すれば、ケーブル一本あたり4~6箇所の影響なんて微々たるモノですヨ
)
■ 後記
今回、コシの強いベルデン88760と、簡素な構造のノイトリックプラグを接合したのですが、この組み合わせは非常に作りにくいためオススメしません 某プロケーブル店のHPで完成品を参考にして、それに倣ったほうが作りやすくて耐久性も上がると思います。 実はケーブルを柔らかなベルデン8412に変えて、新たに作り直そうかなとも考えてます…。
ここに書かれている方法はあくまでも私自身が行った方法ですので、100%正解ではありません。 実際に行う時は他のHPや専門書をご覧ください。 "初めてのハンダ付け"という方は、部品を多めに買って練習台にしてもいいですね
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さて、これで心置きなく船が作れる環境が整いました。 その船のほうも順調なので近々アップ予定です。 (逆に、掲載写真の選定や文面の推敲のほうが悩ましいです)