SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

ERIC HARDING 「CAPELTON ROAD」

2009年02月03日 | Piano/keyboard

先日、日本海に浮かぶ小さな島に渡ってきた。
3~4日は時化のためにフェリーも出なかったのだが、何とか天候も落ち着いて久々の出港となったようだ。
そのお陰で港の小さな待合室も比較的多くの乗客で混んでいた。
但し、冬場は日に一本しかフェリーが出ないため、例え10分で済む用事だったとしても必ず宿泊しなくてはいけなくなる。
都会に住む人間には考えられないことかもしれないが、これが離島ならではの時間感覚なのだ。
しかも天候が荒れ、波が高くなると、船の運航はすぐ止まる。
私の友人は1週間も行ったっきり帰って来られないことがあった。
そんなわけで、この時期はある程度の覚悟を持って出かけなければならない。
そこで私は着替えを2日分、文庫本を2冊、そして数十枚のジャズアルバムが入ったiPodを持って船に乗り込んだ。

いくら天候が少し落ち着いたとはいえ、フェリーが港を離れ外海に出ると、船体は大きなうねりのため猛烈に揺れた。
とても立ってなどはいられない。本を読むことはもちろん、こんな状態では眠ることも不可能だ。約1時間半、ただじっとがまんして横になっているしかないのである。
そこで私はできるだけ心休まる音楽を聴こうと、iPodの中からエリック・ハーディングのこのアルバムを選び、ボリュームを最大にしてスタートボタンを押した。
タイトだが、どこか懐かしくて、寂しくて、暖かいピアノがイヤホンを通して響いてきた。
目に浮かぶのはこのアルバムのジャケットにある風景だ。
この土の道を馬車に揺られながら走っていく感じが、船の揺れ具合とダブっていく(もっとも、船の揺れ具合の方がはるかに大きかったが......)。
ちょうどいい曲が「Song For James」というエリック・ハーディングのオリジナル曲だ。
どことなく牧歌的で優しい雰囲気を漂わせつつ、ミディアムテンポで曲が進行する。
最近のピアノトリオの善し悪しは、このくらいのスピードの曲にいい曲があるかどうかで判断している。
熱くなりすぎない、もったいぶらないテンポが重要なのだ。

船はようやく島の入口にさしかかり、到着のアナウンスが船内に流れた。
立ち上がって船内から島の南東部を見ると、島を周遊する一本の道が見えた。
道はまっすぐだった。



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