SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

STEFANO DI BATTISTA 「'Round about Roma」

2009年01月09日 | Alto Saxophone

ある種のトリップ感覚に陥る作品だ。
舞台は崩れかかった中世の古城。
遠くから静かに響いてくるバイオリンの響き。そこに絶妙なタイミングでブラシが入り込んできて、ステファーノ・ディ・バチスタのアルトが歌い出す。そう、まさに歌い出すといった感じが適当だ。
彼のアルトは時にフルートのように響いたり、オーボエのようだったりする。
これを意識的にやっているのかどうかわからないが、このアルバムはその音色の変化を楽しむ作品なのだ。

ストリングスをバックにしたアルトといえば、チャーリー・パーカーの「With Strings」を思い出す。
「Just Friend」の出だしは何度聴いても痺れるが、このステファーノ・ディ・バチスタもやはりパーカーからの影響が大である。
実際彼も「Parker's Mood」というパーカーのカバーアルバムを出しており、一頃はインターネットラジオで頻繁にかかっていた。
私が彼の名を知ったのもそうした媒体を通じてである。
名前も印象的だった。
何やらサッカー選手のような雰囲気も漂うが、何より名前だけでイタリアそのものを感じることができた。まぁお得な人である。

さてそんなことはさておき、問題は4曲目の「Romeo and Juliet」である。
これはニーノ・ロータの名曲で、大ヒットした映画の主題曲であるが、良しにつけ悪しきにつけこの選曲がこの作品のハイライトである。
そのスケールの大きさ、メロディのわかりやすさ故に、一見、尻込みしてしまいそうではあるが、彼はこれを大まじめに演じて見せてくれる。この度胸の良さに拍手を贈りたい。
やっぱり彼は純粋なイタリア人なのだ。



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