SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

TROJA 「Island Sceneries」

2009年09月08日 | Piano/keyboard

実に清々しい秋の一日だ。
青空と白い雲と、窓から入り込んでくる風が絶妙な心地よさを運んでくる。
こんな日は年に何回もない。何だかもったいないくらいだ。

一昨日までは関西~中国地方にいたのだが、向こうはやたらと暑く、行った日が今日のような天気だったらよかったのにと、ちょっとだけ残念に思っている。
中国地方の山間部を車で走っていると、見事な棚田の風景に出会った。
どうやらここも日本の棚田百選に選ばれている土地らしい。看板には「日本一の面積を誇る」と書かれていた。
正に刈り取り寸前だったので、棚田が一番きれいに見える時だった。
ここの棚田はところどころに民家があり、あちこちで落ち葉を燃やす煙が天に昇っていた。
車を降りてしばらく歩いていたら、野良着を着たおじいさんとおばあさんが、家の前でせっせと刈り取りの準備をしていた。
そのおじいさんと目があったので、思わず「精が出ますね」と声をかけた。
おじいさんは「ああ」といって、年季の入った皺をさらに深くした。
傍らにいたおばあさんもにっこりほほえんでくれた。
たったこれだけのことだが、声をかけて良かったと思った。

私は今、Trojaの「Island Sceneries」を聴いている。
今日のような日には、こんな爽やかなピアノトリオがふさわしい。
彼らの演奏にはちょっと寂しさも入り込んでいて、何だか胸がキュンとしてくる。
とにかく切なくなるような美旋律の連続で、私のようなピアノトリオ好きにとってはたまらない出来映えになっている。
まだという方はぜひ聴いていただきたい。最近の隠れた名品だ。

ラストの「home」という曲がかかった。
あの棚田の風景を思い出しながら目を閉じてみる。
優しいメロディが身体の中をスーッと通り過ぎていく。
まるで風になった気分だ。







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