SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

WARNE MARSH 「WARNE MARSH」

2010年01月23日 | Tenor Saxophone

以前はウォーン・マーシュといってもピンと来なかった。
名前はリー・コニッツとのデュエット作品が好きだったので知っていたが、これといった特徴を掴むまでには至らなかったのだ。
知っていることといえば、せいぜいレニー・トリスターノの門下生であり、クールなテナーを吹く人、程度の認識である。
しかしいつだったか、評論家の一人が熱く「ウォーン・マーシュこそ、最高の白人テナーマンだ」と書いていた記事を読み、「ほ~、そんなにすごい人なのか、じゃあ、もっと真剣に聴いてやろう」と意気込んでこの作品を購入したのを覚えている。
購入の動機としてはちょっと情けないものがあるが、やっぱり知らないでいると損をするような気がしたのも事実なのだ。

つい最近も、ジャズ批評という雑誌で「白人テナーサックス奏者」の特集をやっており、以前このブログにもコメントを寄せてくれたマシュマロレコードの上不さんが、「こんなにすごい人なのに、日本ではあまり人気がないのが残念だ」と対談の中で仰っていた。
そういえばマシュマロ(MARSHMALLOW)というレーベル名も、このウォーン・マーシュの名演から取られたと聞いた。
リー・コニッツの「Subconscious-Lee」にも入っていたあの目眩く曲だ。ウォーン・マーシュのオリジナルでもある。
おそらく上不さんもこの頃の彼が一番好きなのではないだろうか。
彼の作品には共通していえることだと思うのだが、彼はあまり客の方を向いていないというか、自分の世界を大事にした作品の作り方をする。いわば芸術家肌の人なのだ。
彼の作品がイマイチ脚光を浴びないのは、そうした側面があるからだと思う。

さて話はこのアルバムに戻す。
これは57~58年の録音だ。
このアルバムで一番印象に残ることは何かと聞かれたら、強靱なベースと中音域を中心としたテナーとの掛け合いである。
これはかなりスピリチュアルな雰囲気を持っている。
ピアノもあるにはあるが、2曲にしか参加していないので、全体を通じてほとんど印象に残らない。
ポール・モチアンとフィリー・ジョーのドラムスも的確だが、何といってもベースの存在が光っている作品なのだ。
ベースを弾くのは名手ポール・チェンバース。
やっぱり彼のベースワークにはキレと安定感がある。
2曲目の「Yardbird Suite」など、二人の生み出すグルーヴ感に唖然とする。
3回くらい続けて聴いたらやみつきになった。