SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

AUSTIN PERALTA 「Maiden Voyage」

2009年12月15日 | Piano/keyboard

このアルバムは手に入れて3年くらい経つ。
おそらくリリースされてまもなくだったと思う。
なぜ買う気になったかというと、このオースティン・ペラルタが14歳という驚異的な天才少年ピアニストだったからではない。
もちろん50歳以上離れたベースの大御所、ロン・カーターが脇を固めていたからでもない。
とにかくビリー・キルソンというドラマーがスゴイ!と絶賛されていたからなのである。
私はドラムを聴きたいがためにピアノトリオアルバムを買うなんてことは滅多にないので、聴く前からちょっと興奮気味だった。
「よし、帰ったら大音量で聴いてやろう」と思って店を出た。

確かにビリー・キルソンのドラムはすごかった。
この作品は、そんなドラムに焦点を当てたかような録音になっているのでなおさらだ。
まるでそこで叩いているかのような臨場感が味わえる。
鋭いシンバルワークとスネアやタムの連打は、ドラマーならずとも必聴だ。
彼のドラミングはレニー・ホワイトかトニー・ウィリアムスを彷彿とさせるといえば、ある程度イメージを掴んでいただけるかもしれない。
特にオースティン・ペラルタとのハイスピードな掛け合いは、ジャズの醍醐味を十分味わわせてくれる。
ロン・カーターもその二人に煽られたか、いつも以上の存在感を示している。

それと選曲にも購買意欲をそそられた。
1曲目の「パッション・ダンス」に始まって、「いそしぎ」「処女航海」「グリーン・ドルフィン・ストリート」ときて、あのチック・コリアの名作「スペイン」がくる。さらに2曲のオリジナルの間に「いつか王子様が」とコルトレーンの「ナイーマ」を持ってくるという内容だ。
まぁ何とも贅沢な選曲ではあるが、このへんにもただ者ではない14歳の怖いもの知らずなセンスを感じる。
アルバムタイトルにハンコックの「処女航海」を持ってくるあたりも心憎い。
これからどんな風に成長していくのか、おじさんとしては興味津々なのである。