SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

CHARLIE MARIANO「CHARLIE MARIANO」

2009年07月11日 | Alto Saxophone

「ベツレヘムのマリアーノ」の愛称で知られる傑作である。
この時のチャーリー・マリアーノは実にすばらしい。ワンホーンの魅力を目一杯振りまいている。
何よりもまず、アルトサックスの音色がいい。
曇ったところがなく、輪郭がくっきりと浮かび上がっている。まるですっきりと晴れ渡った青空のようだ。
私はこういう音色が好きだ。
アート・ペッパーも、この音色の良さで共通している部分があるから好きなのだ。
全体を通して、いかにもウエストコーストジャズらしい若々しさが感じられる。
50年代のジャズというだけで、何やら加齢臭の出かかったおじさんが聴く音楽というイメージを持っておられる若い方も多いと思うが、これを聴けばそうしたイメージも多少払拭されるのではないかと思っている。

このアルバムはジョン・ウィリアムス(p)が参加している点も大きな魅力だ。
マリアーノのアルトと比べたら録音がちょっと曇り気味ではあるが、こういう音が彼独特のスインギーなピアノタッチを余計に際立たせているようにも思う。
傑作の誉れ高いエマーシーのリーダー作もこういう音だった。
やはり優秀なジャズメンは人それぞれ、自分の音を持っているものである。

それはそうと、このチャーリー・マリアーノも先月(6月16日)、85歳で亡くなった。
仕方のないこととはいえ、輝かしい50年代に全盛期だった人たちが、次から次へと亡くなってしまうのは何とも寂しいものがある。
特にチャーリー・マリアーノは秋吉敏子や渡辺貞夫らを通じて、日本のジャズに多くの影響を与えた人だっただけに残念だ。
しかしこのアルバムがある限り、彼は永遠の若者として生き続けることができるのだ。
まったく素敵なことである。