SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

DUKE JORDAN 「FLIGHT TO DENMARK」

2009年01月12日 | Piano/keyboard

この季節になると聴きたくなる一枚。
今朝は薄日も差して、窓の外にはこんなジャケットのような世界が広がっている。
こういう景色は雪国に住む私たちにとって半ば日常的なものだが、真っ白になった木々を見ているとやっぱり感動する。
こんな休日は、暖かい部屋にいてゆっくりデューク・ジョーダンのピアノを聴いて楽しもうと思う。

とにかくハートウォームな演奏だ。
もっと突っ込んだデューク・ジョーダンを聴きたければ、彼が若い頃の作品を聴けばいい。パーカーと組んでいた40年代後半から50年代までの彼は、ここでの演奏からは想像もできないくらいアグレッシヴだった。
でも最近は、枯れた味わいのジョーダンに勝るものはないと思っている。
このアルバムと対をなす「Two Loves」でも実にいい味を出している。歳をとったらとったなりの弾き方があるんだよ、というかのように穏やかだ。
特に大好きなのが3曲目の「Everything Happens to Me」と、続くオリジナルの「Glad I Met Pat」。
これを聴いていると、心がじわ~っと温かくなってくるのがわかる。
日頃のイヤのことも忘れて優しくなっていくような気がするから、このアルバムは私にとっては大変な特効薬だ。

以前一度だけこのデューク・ジョーダンのステージを観たことがある。
いかにも地味な感じの人で、ステージ・パフォーマンスもほとんどなかったのだが、最後にちょっとだけ観客に向かって手を挙げ、「うん、うん」と頷くような仕草をしたのが印象的だった。
それから数年後、ジョーダンはデンマークで息を引き取った。84歳だった。
こんな生き方、死に方をしたいと思う。