Pa'Lante!(パランテ!)

ジャズじゃ、ロックじゃ、サルサじゃ、ソウルじゃ、ファンクじゃ、歌謡曲じゃ、ジャージャー。

植木等主演『だまされて貰います』(1971)

2007-07-21 14:47:54 | 音楽・映画・アート・本 その他
『だまされて貰います』は、1962年に始まる、一連のクレージー・キャッツ映画の最後期の作品。クレージー映画の中で、DVD化されていない数少ない作品の一つだそうですが、木曜日に池袋の新文芸座にて観て参りました。コレ、観られたのって、幸運デスね。

内容は、得体の知れない無責任男の植木サンが、発明狂役(←またしても!)の谷啓サンが開発中の画期的な薬品を、まだ未完成なのに、あるコト無いコト言って(効能についても全く逆のコト言って)、大企業に売りこんで、アメリカ企業にプレゼンするワ、最後にはOPECみたいのが出て来るワで、本当は「実」が無いのに、口車だけで、シマイにゃ大成功してしまうメチャクチャな成功譚。なかなかの傑作です。面白かった。

1971年の作品な訳でして、当然ながら70年代テイストを随所に感じるコトがデキます。そう言う意味でもワタシの好みに合う作品ではアリマスね。ちなみに、1971年という時代がワタシ、気になってまして、映像作品、音楽ともに、この年に制作、または発表された作品に結構お気に入りが多いンです。
列挙してみると、映画/テレビなら、『激突!』、『刑事コロンボ/構想の死角』、『黒いジャガー(Shaft)』、『バニシング・ポイント』、『ルパン三世』、『Our Latin Thing』とか。音楽なら、キャロル・キングの『Tapestry』、ヘドバとダビデ「ナオミの夢」、はっぴいえんど『風街ろまん』、ローラ・ニーロ『Spread Your Wings And Fly』、ジョー・バターン『Poor Boy』とか。

この『だまされて貰います』は、これらと同時代なんデスね。
既にクレージーキャッツの時代ではなくなってるってのが、何となく分かります。

で、この映画、ストーリーも面白かったのデスが、音楽もギャグも、イケてました。感覚的にも、60年代ではなく完全に70年代なんでしょう。ワタシ世代(1969年生)でも、「理解しよう」とする姿勢なくして理解できマス。
音楽は、今、クレイジーケンバンドが現代的に再現している音楽の、その素って感じデス。そういえば、この映画の植木さんのイデタチは、剣サンに似ている。(ってか、逆か。)
笑いの質も、60年代半ばまでとは異なってて、80年代以降の笑いに近い感じがしました。交番とリアカーのエピソードとか、素早い変装で騙すギャグ(どちらも繰り返し使われる)とか。

さて、ワタシは、ムカシの映画を観るのが好きなのデスが、実は、ムカシの街の風景を見るのが好きだというコトもあるんです。それは東京でもニューヨークでも帯広でも、ドコでもイイから見たい。そういう、「ムカシの街を見たい病」のニンゲンには、この『だまされて貰います』は、更に楽しい。ナニシロ、東北の片田舎から、ハワイ、ニューヨークまでロケハンされてますから、パンナムビルから、建設中だったワールドトレードセンタービルまでも見られるンです。あ~、楽し。

それにしても、DVD化されていないのが、非常に残念です。
何処かでスクリーンに掛かる機会を見つけたら、是非ともご覧になるコトをオススメします。特に、70年代モノが好きな方なら、楽しめると思いマス。

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