ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

空飛ぶ馬 北村 薫

2011年03月22日 | 小説-日本-
1994年
創元推理文庫



殺人事件の無いミステリです。
噺家の春桜亭円紫師匠と落語好きの女子大生の”私”が
日常のささやかな不思議を解き明かす、
本格ながら、ほっとして優しい

主人公の「私」が通っている大学の先生が
”織部”が嫌いであった。しかし、教え子が”織部焼き”を作ってプレゼントしてくれてからは、織部嫌いが治ったのだが、
きらいになった理由は、
子供の頃の記憶に関係していた。
先生の子供の頃、織部の掛け軸が関係しているのだが・・
話の伏線として、一話に必ず一つの話が出てくるが
この話では
落語の「夢の酒」
この話に絡めて、なぜ先生が織部が嫌いだったかの謎を解く

「織部の霊」

円紫師匠と女子大生の”私”が喫茶店で話をしていた。
そこへ、女の子数人がやってきて、奇妙なことを始める。
それを見ていた”私”がマクベスの話を始めたことから
女の子の行っている行為の謎を解く

「砂糖合戦」

”私”は友人と蔵王へ行った。
そこでは、円紫師匠の座があるのだった。
今回の噺は「百人坊主」など・・・
ホテルで、小さな少女と出会う。母親と一緒に来てるとの話だった。
翌日、友人の車でロープウェイに行ったところ、
その駐車場においておいた車のシートだけが盗られていた。
シートだけが盗られるという謎を解く

「胡桃の中の鳥」

夜に現れる赤い姿の子供の謎を解く

「赤頭巾」

酒屋の若旦那が幼稚園に送った
木馬の乗り物が夜のうちに無くなり、朝にはもとに戻っていたという
不思議の謎を解く

「空飛ぶ馬」

砂糖合戦、胡桃の中の鳥、赤頭巾の3作品は
人間のエゴによる出来事で、ややもすると不快な話になるが
たぶん、円紫師匠と”私”の清潔感のある二人による謎解きによって
もの悲しいが穏やかな気持ちで読める。
こういうミステリもたまには良い。

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