自然に囲まれた工場。
先日ご紹介した「最強のふたり佐治敬三と開高健」に触発されて、サントリー山崎蒸留所の見学に行ってきました。
大阪と京都の真ん中くらいに位置する阪急大山崎駅またはJR山崎駅から徒歩10分ほど。
阪急大山崎駅から。いいところですね!
山を背景にそびえ立つ建物の正面には誇らしげに「山崎」のロゴが。工場は線路に面しているので、車窓からもばっちり見え、さすがの宣伝効果です。
現在の建物は創業当時のものではありませんが、初代の建設着手が1923年。なんと大正12年です。
今回参加したのは製造工程が見学できる80分のコース。有料ですがテイスティングができます。事前予約制です。
定刻に集合して、まずはウイスキーのお勉強から。ウイスキーの原料は水と大麦。なので水はとても大切です。山崎の地が選ばれたのは日本名水百選のひとつに選ばれる「離宮の水」が湧きだしているからということでした。
環境も大きな要素で、元サントリー社員の直木賞作家・山口瞳が書いたサントリー70年史には、
「私はサントリーの宣伝部員時代に、何度も山崎工場へ出かけた。そのとき思ったことは、とうてい、ここには住めないということだった。
寒いのである。湿っぽいのである。霧っぽいのである。晴れたかと思うと、さっと氷雨がふりかかってくる。
これがウイスキーの貯蔵にはもってこいの条件なのである」(『やってみなはれ、みとくんなはれ』新潮文庫)
とあります。
実際、この日も、天気がいいのになぜか、雨がぱらついた瞬間がありました。なんだこれはと思いながら歩いていたのですが、それは木津川、桂川、宇治川の三川が合流しているからなのです。山崎は、日本全国からウイスキーの生産にふさわしい場所を探して選ばれた土地なんですね。そんなことを、VTRを交えながらガイドさんが流れるように説明してくださいます。自然の映像も美しく癒されます。
ほーっと感心しているうちに、続いて、製造工程の説明です。この辺りのプレゼンテーションは抜群です。
①大麦を発芽・乾燥させて麦芽にし、
それを砕いて仕込槽へ。麦汁をつくります。
②酵母を加えて発酵させます。
③蒸留窯を用いて2度蒸留します。
④貯蔵して熟成。
⑤ここからが人間の腕の見せ所。原酒を調合するブレンディング。
そして、ついに完成!です。いやあ、時間かかりますね。
ちなみにこちらの模型は山崎ウイスキー館2階に展示されているもの。これを踏まえて現場へGO!です。
鳥井信治郎氏と佐治敬三氏の像の前を通り抜け・・・。
本物の仕込み槽です。槽についた窓から、麦汁がぼこぼことマグマのように泡立っているのが見えました。
部屋は温かくかすかに草っぽい匂いが漂ってきますが、まだアルコールという感じではありません。
向かい側は発酵部屋。ちょっと樽だと日本酒っぽい感じしますね。
ちなみに山崎は「シングルモルトウイスキー」なのですが、この「シングル」は山崎の土地一か所だけで作られている原酒のウイスキーという意味なんだそうです。くだけていうと、地酒ってことですね。さすがサントリー(笑)。ちょいちょいうんちくを混ぜてきます
そしてお待ちかね蒸留部屋。
迫力あります。
管理は近代的。
この入れ物を「ポットスチル」というそうですが、それぞれ違う形をしています。形を変えることによって原酒の味わいが変わるんだそうです。
お腹ぽっこり型はすっきり系の味わい。
こちらはどっしり系の原酒になるそうです。
出てくる原酒にはまだ色がついていません。アルコール度数は70度!
時折、蒸留されている原酒が沸き上がっているのが窓から見えます。
見た目はSFですが、行われていることはごく原始的です。いわば麦汁をじゃんじゃん沸かしている状態なので、部屋もかなり温かいですし、ポットは熱をもって暖炉みたいです。そして、ウイスキーぽい香りも俄然強くなります。意外と甘い香りです。お酒弱い人だと酔ってしまうかもしれません。
まだ製造工程の半分ですが、長くなりましたので、続きは明日。次は貯蔵庫です
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