ぶらっとJAPAN

おもに大阪、ときどき京都。
足の向くまま、気の向くまま。プチ放浪の日々。

鶴岡八幡宮の流鏑馬神事 ~ 神奈川県鎌倉市 ~

2015-05-14 21:54:37 | 関東

 昨日更新するつもりが、なんだかんだでしそびれまして、改めましての鶴岡八幡宮です。

 先日、下賀茂神社で流鏑馬がありましたが、私は以前にこの鶴岡八幡宮の流鏑馬神事を見に行ったことがあります。 

 東日本大震災以前ですから、もう5~6年前になりますか。その頃はスマホも今ほど普及してなかったせいか、ネットで検索しても画像はあまり出てこず、詳しい情報もありませんでした。今はたくさんありますね。写真もみなさん素晴らしいです。今回の私の写真は携帯で撮ってるので(しかも思いっきり逆光?)見せるの恥ずかしいぐらいしょぼいのですが、他にないので仕方ありません(^^;)

 鶴岡八幡宮の流鏑馬神事は年3回、4月、9月と10月です。そのなかで4月は「鎌倉まつり」、10月は「崇敬者大祭」という祭事の一環として行われ、9月は14日から3日間続く例大祭の締めくくりとして、流鏑馬神事が行われ、一年を通して最も重い祭事とサイトで紹介されています。

 私が行ったのはこの9月の流鏑馬神事です。

 源頼朝が放生会のあとに催したのが始まりだと言われているこの神事、4月が第4日曜日、10月が第1日曜日と祭りの一環として行われるため日にちが流動的なのに対して、9月は16日13時から、と毎年決まっています。

 小笠原流の方のブログでも、この9月の流鏑馬神事はひときわ思い入れがあると書いていらっしゃいました。ちなみに4月祭礼は武田流、9月と10月の祭礼は小笠原流の方々によって執り行われます。

 この年「そうだ! 流鏑馬見よう!!」と、突然思い立ち、有休をとって訪れました。

 昨日ご紹介した大いちょう前広場のさらに手前に、下拝殿とは直角になる形で馬場が走っていて、その両側で観覧することができます。

 

 下拝殿に近い側、つまり的が良く見える側は、招待客の方やチケット持ってる方(小笠原流の馬術の稽古とかしてる方はもらえるらしいです)や、鎌倉市民用のスペースなので、私みたいな無料でみたい人はその向かい側の的の横から後ろに広がる草地に陣取ることになるわけですが、毎年激混みと聞いたので、行事は13時からだっつうのに、10時半ぐらいから行きました。それでもすでに数名の方が角地などベストポジションに陣取っていらっしゃいましたから大した人気です。

 迷ったあげく、二の的と三の的の間くらいに座りました。私はただ見たい!という人なのでセッティングなどする必要もなく後はただひたすらぼんやり待機です(笑)。

 鶴岡八幡宮は緑がとても多いので、ただ座っているだけでも秋の風と光が心地よく、既にかなりゴキゲンです。仕事休んできているっていうのがまた、愉しさをアオります。

 こんな時間からいる人は、やはり写真を撮りたい人ばかりで、私の隣にいた人も立派なカメラをもっていました。結構仲良くなっていろいろ話をしましたが、鎌倉にはよく来ている人で「俺から写真取ったらもうなんにも・・・」というぐらいカメラに夢中の方でした。「鎌倉に通う気あるなら、カメラ教えてやるよ」とまで言ってくださったのですが、なんせ当時私の持っているカメラと言えば300万画素の、走る馬なんか絶対とれないであろう、無茶苦茶起動の遅いショボデジカメ、しかもその日は携帯しか持ってきてなかった。その携帯カメラすら、実際に流鏑馬神事が始まったら「ナマで見た方がいいや!」としまっちゃったので、私に興味をなくしてしまったようです(笑)その後は無言でひたすら写真を撮りまくってらっしゃいました

 30分くらい前になると無料席も混みあってきて、あとから来たのに良い場所にちゃっかり割り込むカメラおじさんとかもいて、こぜりあいが起きてました。滅多にない催しですから、カメラ持ってる方は本当に多かったです。ただ、馬場は木陰なので案外薄暗いのです。それでフラッシュがたかれちゃうんですね。馬が怖がるのでフラッシュ禁止です、という放送が流れるのですが、最近のカメラは便利なので、撮ってる人にその気はないのに勝手にフラッシュがたかれたりして、馬にはなかなか厳しい環境でした。フラッシュに驚いた馬が観覧席に飛び込んだりという事故も過去にあったようです。まあ、カメラも向上しているので、今はもっと楽にフラッシュは制御できるようになって改善されてるとは思いますけれども。

 先ほどから「神事」と断って書いているのは、実際に見に行ってこの儀式は人に見せるためのものではなくてまさに「神に奉納される」ものだということをつよく感じたからです。そもそも流鏑馬自体は平安時代から記録に残っているぐらいで、実際にはもっと古い歴史があるだろうと言われています。そういった背景があって、天下泰平・国家安穏の祈願をこめて流鏑馬を奉行した頼朝の強い思いがあるのです。斎行にあたっては諸将を集めて故実の修得を重ね、かの西行法師に教えを乞うたという話もあります。

 京都の下賀茂神社でも流鏑馬神事が5月に行われますが、こちらも同じ小笠原流の方々が行うものの装束は平安様式です。『源氏物語』に出てきそうな雅さに対して、こちらは儀式化された鎌倉武士の狩装束「揚装束」で行われます。

  詳しい説明は省きますが、平安貴族のお召し物とはだいぶ違いますね。

 神事ですので、お祓いや祝詞奏上など一連の儀式の後、神前にお供えされてお祓いを受けた弓と矢が射手三名に授けられます。

 神事としての射手は、実はこの三騎だけです。的も三つだし、以前弓道教室に行った時も、一度に射る矢の数は三本と決められていました。三という数に何か意味があるのかもしれませんね。それとも単純にすわりがいいのかな。

 三騎の後、的も小さめ、軽装の射手により平騎射十数番が行われます。こちらは少しリラックスして見られます。

 最初の三騎と残りの射手とでは、実は使っている矢も違うのです。どちらも紡錘形の鏑矢なのですが、最初の三騎の矢には、頭に雁股(かりまた)がついています。まさに魔を祓う鋭さを備えているのです。

 

私の目の前に落ちた雁股つきの矢。

 的は三つあって馬場のトータル距離は254.54メートル(140間)。そこにそれぞれ20間、40間、43間の間隔をあけて四角い木の的が立っています。

 射手は、馬場元から徐々に加速し、次々と射ていくわけですが、これが本当に難しいらしく、三つ全部当たるってことはまずなかったです。そりゃそうですよね、足だけで馬を操り、疾走しながら箙(えびら)から矢を取り、弓につがえ、的を狙って放つのです。しかもご覧のようにアーチェリーなんかとは比べ物にならないくらい、不安定な矢です。

 流鏑馬見に行った後にアツくなって、弓道の教室に行きましたが(笑)、まず、そう簡単に的なんか狙わせてくれないです。ていうか弓にも触らせてもらえなかった。最初に型を覚え、なれたら目の前の藁束めがけての練習、そのあと的って感じでした。私は二回ぐらいで挫折したんで全然やってませんけど。

 とにかくその不安定さの中を裂ぱくの気合で射ていくわけです。だからまず、射手のあげる一声に度肝を抜かれる。

 射手の方々は「射手定(いてさだめ)」にて選ばれた後、慎みを持った生活をして心身共に清浄を期してのぞまれるので、特に最初の神事としての流鏑馬三騎の方々はものすごい集中力と気迫です。神々しさすら感じます。疾駆する馬の重量感もハンパない。だからこそ的を射ぬいた瞬間、周りの空気が揺れるくらいの興奮した歓声が上がるのです。

 小笠原流には「家業を生業にしない」という家訓があり、皆さまこの弓馬術を含む礼法の鍛錬を積み、教えながら別に仕事をしてらっしゃるそうです。生活の垢や金銭の欲がからむと濁ってしまうということなんでしょうね。そうした日々の積み重ねが気迫を生む。この厳しさ、潔さは見習わねばと思います。

 全国各地で行われている流鏑馬、今度はぜひ下賀茂神社に行ってみたいです


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アツイ日曜日 ~ 大阪市 ~ | トップ | 入れ替わる家主 ~ 大阪市 ~ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

関東」カテゴリの最新記事