今年5月に、上柚木公園付近の道路脇でアメリカサイカチらしき樹を見たが、軽井沢町植物園で「サイカチ(皂莢)」を見つけたので参考のためにそのトゲを撮ってきた。幹にはこのようなトゲの塊があちこちに付いているが、何のためにここまでトゲを発達させたのだろうか。小動物から果実を守るにしては薄っぺらい豆果で、種子にはサポニンが含まれており、とても美味しいとは思えない。不思議な樹である。サイカチはマメ科サイカチ属の落葉高木。
『銭の花の色は清らかに白い。だが蕾は血がにじんだように赤く、その香りは汗の匂いがする。』 ご存知、昭和45年に始まったテレビドラマ“細うで繁盛記”のオープニングで、主人公の加代(新珠三千代さん)が語る台詞。物語は、大阪の料亭の孫娘が戦後の没落で伊豆熱川温泉の旅館“山水館”に嫁ぎ、義父や小姑(富士眞奈美さん)のいやがらせに耐え、旅館を大きくしていくというもの。原作は花登筺さんの“銭の花”だった。当時、私は中学生で、母親が毎回、涙を流しながら見ているのを覚えている。ちなみに花登筺さんの作品には“番頭はんと丁稚どん”や“どてらい男”などがあり、女優の星由里子さんは3回目の結婚相手だった。
写真はアオイ科ゼニアオイ属の「ゼニアオイ(銭葵)」。ヨーロッパ南部原産の多年草で日本には江戸時代に渡来した。花が当時の銭貨ほどの大きさだったために名付けられた。強靭な性質でアスファルトの透き間など、悪条件下でも花を咲かせている。花弁に白色が混ざり、掌状の葉の切れ込みが深い種をウスベニアオイ(薄紅葵)として区別している。