迷狂私酔の日々(再)

明鏡止水とはあまりに遠いこの日々。

インド・ネパール第33日~第35日 プシュカル、ジョードプル

2009年12月10日 | 旅する。
DAY33
12月8日 火曜日 プシュカル

朝の散歩でブラフマー寺院へ。

靴預けで、どーしても店で預けろとうるさいオヤジが、応じないと(ちゃんと別に靴置き場がある)今度はカメラを預けろ、と言ってきた。本当に撮影禁止かはわからなかったが、めんどくさいので預けて引き渡し証を作らせた。

寺院自体は小さいが眺めのいいところで、さて帰ろうとカメラを引き取ったらデポジットのチャージをよこせ、その時計がいい、とわけのわからない事を言い出した。

レベルの低いぼったくりで、あほらしいので1ルピーコインを渡してサヨナラしたら、しばらく後に野犬の群れに襲われた。

野犬とはいえ、何もしないのに襲うことはないので、くだんのぼったくりオヤジがけしかけたのだろう。まあ、素人のやることで襲うとはいっても噛み付かずに囲んでじゃれるようにするだけなので、慌てずに
「ステイ!」
と気合を込めて落ち着かせる。

こんなことでパニックになってアイツらを喜ばせてはいけない。それにしてもやることがガキ以下で、かえって情けなくなる。

戯れに湖を一周。干上がっているので、本当は湖底とおぼしきところにも道が通っている。

アジメールバススタンドに出た。





気まぐれに北側の街道へ。湖を離れるにしたがって、ところどころに砂丘があらわれ、まるでバグダッドカフェのような荒涼とした世界が広がる。ここになぜか、ピンクフロイド・ホテル&カフェがある。

道端で揚げていたパーコーラーがおいしそうだったので、アールー(じゃがいも)2つと何かわからないが豆っぽいい小さなものを500g。

34ルピーも請求されたが、それはないだろう、と結局25ルピー払う。

チャイ屋で朝飯、アールーはサモサの中身のようにスパイシーで、小さな豆と思ったのはししとうと唐辛子だった。

かなり辛くてチャイを2杯、こちらは1杯5ルピーの明朗会計で10ルピー。

これからはここのチャイ屋をひいきにしよう。

いったん宿に帰って休憩、明るいうちからインターネット。なにしろ、夜は込むのだ、スカイプで電話する連中が時差の関係で夕方から夜に集中するので。

しかし、ネット接続がダウン(またあのチャイ屋で休憩)、停電(1時間書いていたブログが消えた)、と災難続き。3時間以上かかってしまった。

明日朝のジョードプル行きのローカルバスのチケットを購入、5時間走って150ルピー。

念のために、ひまだし、バス乗り場まで散歩。宿から歩いて5分だった。

遅いランチはルーフトップレストランでプラオとラッシー。

そして今日のメイン、サヴィートリ寺院への登山を開始。夕暮れが絶景らしいのだが。

登り口で降りてきたインド人カップルに聞けば
「最低でも45分はかかる」
と言われた。

ほう。とにかく歩き出す。距離はともかく、頂上を見ると萎えるほど傾斜がきつい。

10分後、西洋人カップルに聞くと
「あと20分くらいかな」

けっこういいペースか。

さらに15分歩く。

インド人のおじさんに
「ここまでどれくらいかかった?」
と聞かれたので
「25分」
と答えると、
「not bad.」
とほめられた。

結局32分で頂上につき、寺院はともかくその裏のさらに高いピークに登頂して岩の上に仰向けに寝る。汗ばんだ体に風が涼しい。







宿に戻って昨日頼んだランドリーを返してもらおうとしたら、明日に、と軽く言われ、いや、朝6時に発つから今晩に、と強く言う。

ボスが店に電話して、使いの少年が走る。

が、この使いが「店が閉まってた」と、手ぶらで帰ってきた。

文字通りガキの使いじゃないか。しかも、マネージャーまで「明日じゃだめ?」と言ってきた。

アホか。朝が早いからいま、と頼んでいるのだ。なんとかせんかい。まずはボスに電話しなさい。

そういうわけで、結局ボスが自分で店にランドリーを取りに行き、事態は解決したのだが、問題の仕事ができない少年が「20ルピー」とチップをせびる。

状況をわかっているのかいないのか。

とにかく、お前のせいでボスの仕事が増え、客が困り、キミもボスに怒られただろう。お金がほしかったら、まじめに働きなさい。

If you want money, work hard.

そんなこんなで、今夜は説教で終わった。



DAY34
12月9日 水曜日 プシュカル→ジョードプル

朝6時、薄闇の中をバススタンドへ。ちょうどジョードプル行きのバスが来て、チャイで一息ついたあと、そのバスに乗り込む。

荷物ひとつ10ルピー、とまた根拠のない金をバス手伝いのガキにせびられるが、いいや15kg以下の荷物は無料だと払わず。チケット裏の注意書きを読んでおいてよかった。

バスは通学やら荷物運びやら近距離でも乗る本当のローカルバス。しかし、本当に5時間半でジョードプルに着いた。

例によってリクシャに囲まれるが、値段がどんどん下がっていく。最初から20ルピー、さらに10ルピー、5ルピー、2ルピーまで。

明らかにホテルからのコミッション狙いなので、値段関係なしに適当に乗る。

適当に降りて、最初に入ったところがやたら豪華で広く、それでいて550ルピー、600ルピー。400ルピーの部屋があって、そこに決める。しかし、もっと探せば150ルピーや200ルピーでいいゲストハウスがあったみたいだが。

ホテルの屋上レストランでランチを取り、少し休んで、ますはメヘラーンガル砦にのぼる。なかなか見ごたえのある要塞にして宮殿。さらにブルーシティを見下ろす景色もなかなかなのだが、空気が霞んでいる。たぶん、埃と排気ガスのせい。







明日ウダイプルに行く夜行のバスを探す。たまたま入った旅行社でスリーパーが240ルピー、それに決める。これで今回の移動はすべて確定、つまりどの街に何泊するかも確定。



どうやら今夜は結婚式があるらしい。

夕食は坂道を登って砦に近いヒルビューゲストハウス&レストランへ。たまたまおかみさんに会い、なんでウチに泊まらなかったの? と聞かれる。

すみません、手近ですませちゃいました。

たしかに、眺めはすばらしいところで、スタッフもフレンドリーだ。

旅行社からバスチケットを受け取ろうと歩いていたら、結婚式の行列に出会った。

楽隊、踊り、馬に乗った花婿、燭台の列、スピーカーと燭台に電気を供給する発電機、と行列はつづく。

花嫁は近くのヒンドゥーの祠で待っていて、セレモニーは花婿の首に花嫁が花輪をかけるところで記念撮影に。ちゃっかり便乗させていただいた。



DAY35
12月10日 木曜日 ジョードプル(→ウダイプル)

朝はジャスワントタダという墓廟へと歩く。

道を聞いたら、5kmと言われたが、近道の階段ではなく自動車用の傾斜のゆるい大回りの道で30分で着いたから、たぶん2kmというところか。

開門10分前の一番乗り。

周囲は赤茶けた岩だらけの広漠とした乾いた世界で、そこに白大理石で覆われた壮大なパレスのような墓と、噴水と緑の庭園が浮かぶ。なんだか別の次元がペーストされたような違和感。ちなみに、景色はすごくいいです。

下山して迷宮の街をさまよってホテルに帰り、チェックアウト。

朝ごはんは時計塔北門脇にあるウワサのチョウハンオムレツへ。

チーズオムレツ25ルピー、チャイ5ルピー、ヴィッキー特製のソースはなかなかうまい。彼はウワサ通り日本が大好きのようで、話がとまらない。

たぶん、いいヤツだと思う。

さて、夜行バスまでどう時間を過ごそうか。

マンドールまでローカルバスで行こうかとトライするが、満員のせいか乗れず、リクシャを拾う。

遺跡公園に入ったとたんに楽師につかまり、民族楽器で歌を聞かされる。で、その楽器を弾かせてもらう。

金属弦は10本ほど、西洋音階に調弦されている。弓で弾く弦はたぶんナイロン紐で、弓は馬のしっぽ、小さな共鳴胴はココナッツの殻にヤギの皮を張っている。

金属弦はたまに爪で順にはじくか共鳴させるだけで、主に短いナイロン弦を弓でこするのだが、フレットもなく弦をネックにつけることもなく、胡弓のように弦を指で強く押さえて弓で弾く場所を微調整して弾く。

弓には鈴がついていて、リズムを取ることができる。調性は限られるが、なかなか味な楽器で、案の定「買わないか?」と迫られるが、授業料として20ルピーでなんとかよろしく。





マンドールのあとはウメイド宮殿へ。ほとんどが高級ホテルになっていて、ガイドブックによれば1泊7万円ほどから、らしい。

ヴィンテージカーに虎狩り、エドワード朝様式の建築にアールデコの器。

時計塔に戻り、今度はサンライズゲストハウス&レストランのルーフトップレストランへ。

プシュカル以来、プラオやビリヤーニなどのライス系を食べ続けているのだが、ここはターメリックライスだった。他の例では、トマト味にほとんどドライカレーとか、けっこういろんなバリエーションがある。

ここも評判のいいゲストハウスらしく、またもや、どうしてウチに泊まらなかったのか? と聞かれた。



残りの容量が不安なSDカードを買い増しし、夕景を撮影するかとまた坂道を登る。

ヒルビューゲストハウスのおかみさんに、それならウチの屋上へと言われ、お言葉に甘えてみる。

刻々と変わる空の色。





チャイを頼み、することもなくぼんやりしていたら、結局たまたまここに滞在している日本人客と話し込む。毎日、子どもと遊んだりしている、という。

そんな余裕がほしいものだ。

さあ、9時だ。バスは10時15分に出る予定だ。ホテルで預けた荷物を請け出し、担いで歩き出したら、また別の結婚式に出会った。