迷狂私酔の日々(再)

明鏡止水とはあまりに遠いこの日々。

[18きっぷ北上]その3・残雪

2008年04月05日 | 旅する。
4月5日

福島駅を出てしばらくすると、列車は峠越えにかかる。

線路脇にはまだ雪が残っていた。

米沢駅でいつものように牛丼弁当「牛肉どまん中」を買う。

風は冷たく、みちのくの春はまだ遠いが、駅の広告は「やまがた花回廊」を触れ回っている。

遅い春はやがて一気に芽吹いて野山を緑に染め、花々が咲き乱れるのだろうが、その時、私はここにはいない。

[18きっぷ北上]その2・茜色の空

2008年04月05日 | 旅する。
4月5日

宇都宮では、何事もなかったかのように、同じホームの隣で待っていた黒磯行きに乗り換えた。

次第に乗客たちのたたずまいは、都会の不機嫌な無関心から、精一杯の礼儀を装った好奇心へとかわっていく。

黒磯で福島行きに乗り換える。2両編成で、ひなびた町から村を走り抜ける。

須賀川を過ぎたあたりで、空が夕陽に染まって地平線が赤くなった。

こんな茜色を、いつかどこかで見たような気がするが、思い出せない。

郡山で大勢が降り、大勢が乗って、やがて日が暮れ、列車の外は闇に包まれて民家の窓らしい点々のような明かりがちらほらと瞬きだした。

[18きっぷ北上]その1・目覚め

2008年04月05日 | 旅する。
4月5日

久喜あたりで目が覚めた。

移動中の列車で安心して寝るなんて、日本でしかありえない。いや、最近は日本でも安全ではないらしいが。

花見やらライブやら買い物やら大事な予定や野暮用が錯綜し、移動の疲れも抜けないのだが、今日は当初の予定通り、青春18きっぷで北上している。

お昼に横浜を出て、終電で実家に着くいつもの旅程なのだが、最初の横浜で「鎌倉駅での線路立ち入り」により、いきなり遅れた。

さて、宇都宮で私はめざす黒磯行きに乗れるのだろうか?

5分の余裕に対し、遅れは5分。

しかし、私にやれることは、そう多くはない。鼻炎薬のせいか、座った途端に熟睡した。

さあ、あと20分足らずで宇都宮のはずだが。