徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

似て非なるもの

 片やプロフェッショナル・ラインパイロット、こちらは一素人でございますから、比べることからして“無礼極まりない”ことなのですが....。

Bookmark にも登録しておりますが、DIGITAL AVIATOR さんのブログに、『 フライトバッグの中身 』なる投稿がありました。

今回は「勝手にコラボ」企画であります。

「それならワシも持ってるぞ」と性格悪い偏屈オヤジが負けじと写真を撮っている様は、我ながら情けないものがあります。


先ずは、バインダー。



エアラインでは ROUTE MANUAL と表に刻印されたバインダーが会社から支給されるようですが、こちら全て自費負担でございますので、JEPPESEN 純正の AIRWAY MANUAL バインダーです。

こすれ具合がプロフェッショナルの厳しさを物語っていますね。

ちなみにこちらの写真では二つとも2インチのバインダーですが、DIGITAL AVIATOR さんの左側のそれは1インチのバインダーです。

小生も搭乗時、手元に置くのはこの1インチのバインダーです。(巡航中は↓こんな感じです;マズイ、閉じているではないか....)



FLIGHT LOGBOOK はあえて異なるものを引っ張り出しました。

DIGITAL AVIATOR さんのそれは、本邦の航空局が発行しているものです。

“「ROUTE MANUAL」と書かれた黒いバインダーが重く分厚く、~”

と紹介されているものに相当するのがこちらです。



中身の綴じ方については、概ね一緒だと思います。
小生は、この「 PACIFIC BASIN 1 」とラベルを貼ったバインダーに、日常的にはあまり使わない Enroute Chart も綴じています。
基本的には INTL (国際線)では欠かせない一冊です。

中身も似たような部分を映してみました。

「 INTRODUCTION 」タブ中の、チャートの読み方をパチリ。



「 AIR TRAFFIC CONTROL 」タブ中の、217ページをパチリ。



DIGITAL AVIATOR さんも述べておられますが、この ATC については地域・地域でそれぞれ差異がありますので、一般規則の他に国別の差異を説明しているページがあります。

↓の写真は香港のそれです。



チャートは日本国内だけでも2インチのバインダーを一冊使うボリュームがあります。



これが、恒久的なものであれば良いのですが、定期的に改訂、所謂“差替”が入ります。

エアライン・パイロットの方は、担当されている地区・路線に応じた「差替え」の束(封筒に入っているのですが)が、オペレーション・センターのご自分のメール・ボックスに投げ込まれます。

小生は、郵便屋さんが郵便ポストに投げ込んでいきます。

その頻度ですが、エアライン・パイロットの方は週一回のペースです(小生は一小市民なので二週間に一回です)。

この差替え、簡単なようで大変な作業です。

指示書に従って単に機械的に差し替えるだけでは不合格。チャートのどこが変更になったか、あるいは今まで有効だった PROCEDURE はいつから使えなくなるのか、など等、一枚の差替えをするのに少なくても数分はかかります。

重要なポイントにはマーカーで線を引いたり、新しい PROCEDURE をイメージ・トレーニングしたりと大変な作業です。

この差替えを『休みの日』(あるいはスタンバイの日)に時間を見つけてやらねばなりません。
※しかも“差替え手当”は出ませんから、己の休みを削ってまで安全運航のために精進していらっしゃる訳です。

小生の話で恐縮ですが、チャートのカバレージが環太平洋、米国西海岸ですのでバインダーは以下の8冊構成です。
 -PACIFIC BASIN 1 ( GENERAL INFORMATION, Enroute )
 -PACIFIC BASIN 2 ( SEA: 東南アジア )
 -PACIFIC BASIN 3 ( JAPAN: 日本 )
 -PACIFIC BASIN 4 ( AUS: オーストラリア・オセアニア )
 -PACIFIC BASIN 5 ( PAC: 北太平洋およびハワイ )
 -USAF 1 ( GENERAL INFORMATION, Enroute High and Low )
 -USAF 2 ( California 州 )
 -USAF 3 ( California 州を除く西部の州 )

分厚いパケット(差替えの封筒)が届いたときなど、歓喜の雄叫びをあげてしまいます。

エアライン・パイロットの方々が使っておられるのも JEPPESEN のチャートですが、大抵の場合、各社がカスタマイズしてオリジナルの情報を埋め込んでいます。

Jeppesen 社では Airline Service と呼んでいるのですが、要はオリジナルのチャートにオーバーレイで情報を追加しているのです。

Enroute Chart だけでなく、STAR, SID, Airport Diagram, Approach Chart にもオーバーレイが施されている場合があります。

【 10-2 ) のような表記は、一小市民が手にすることが出来ません。




【おまけ】
JCABのそれとは異なりますが、FLIGHT LOGBOOK の中身はこんな感じです。
(ブランク・ページで御免なさい。記載してある部分はやはりちょっとマズイので…)






















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プルコボ航空612便 墜落

 ロシアで痛ましい航空機事故が起こってしまいました。不安を煽る意図は毛頭ありませんが、今年はロシアでの事故が目に付きます。

日々、夥しい数の航空機が安全に飛行し、その安全運航のために運航乗務員はもとより航空機の運航にたずさわる多くの方々がたゆまぬ努力をされています。
が、一度事故が起こると一瞬にして多くの尊い命が奪われる危険をはらんでいるのも航空輸送の特徴でもあります。
どうしてもその悲惨な数字が注目されるので、事故率が忘れられてしまうのですが....。

事故を起したツポレフ154型機は、1968年に初飛行した当時のソ連製の3発機です。

その姿からもわかりますが、Boeing727 に酷似しています。

最大旅客定員は180名で、900機を越える機体が製造されました。
(事故機は1991年製造ですから、機齢としては15年、まだまだ老齢機とは言えません。が、初期設計段階からどれだけシステムに改良を加えていたかは不明です)

原因として幾つかの憶測が飛び交っていますが、
 1)巡航高度(約 36000feet )で突然 MAYDAY を発信していること
 2)10000 feet で再度 MAYDAY を発信していること
ことと、
“ロシア非常事態省当局者は落雷を受けて墜落したとの見方”
の報道からして、CB 悪天域に突っ込み乱気流遭遇+被雷、エンジンが STALL したか操縦系統の一部に損傷を受け、滑空しながら高度を落とし、不時着を試みるも墜落に至ったのかもしれません。(いずれかのエンジンが火災を起こした可能性もあります)

ロシア非常事態省当局者の言うように、仮に落雷が直接の引き金であったのであれば、WX RADAR や Cockpit Crew の Situational Awareness、地上支援体制によって避けることが出来たかもしれません。

EUHISIGWX12 VT 1800Z 22AUG2006

残念で痛ましい事故です。

これで、ツポレフ154型機の全損事故は62機となりました。
(今回の事故はツポレフ154型機としては過去3番目に多い犠牲者の事故であり、ウクライナとしては過去最大規模の航空機事故となりました)

お亡くなりになられた乗客・乗員の方々のご冥福をお祈りします。


ロシア機がウクライナ東部で墜落、生存者なし (ロイター) - goo ニュース
[SUKHA BALKA(ウクライナ) 22日 ロイター] 当局者らによると、乗客乗員170人を乗せてロシアの黒海沿岸の保養地アナパからサンクトペテルブルクに向かっていたロシアの旅客機が22日、ウクライナ東部で墜落、炎上した。

 雷が原因とされており、ロシア非常事態省によると、搭乗者全員が死亡した。航空会社の関係者によれば、犠牲者のうち10人は乗員、39人は子どもで、オランダ人も含まれているが、大半はロシア人だという。

 墜落したのはロシア・プルコボ航空の旅客機ツポレフ154型機。同航空の副会長は記者団に、高度1万1700メートル(3万6000フィート)と3000メートル(1万フィート)上空でSOSの発信があった後、同機との交信が途絶えたと語った。

2006年 8月23日 (水) 07:59
170人全員死亡と当局者 ロ機墜落、落雷が原因か (共同通信) - goo ニュース
【モスクワ23日共同】乗客乗員約170人を乗せたロシアの旅客機がウクライナ東部ドネツク近郊に墜落、炎上した事故で、現地の空港当局者は22日、生存者はいないと述べた。タス通信が報じた。

一方、ロシア非常事態省当局者は落雷を受けて墜落したとの見方を示すとともに、原因確定にはブラックボックスの回収が必要と強調した。

在ロシア日本大使館によると、乗客に日本人はいないという。

墜落したプルコボ航空のツポレフ154は、ロシア南部・黒海沿岸の保養地アナパからサンクトペテルブルクに向けて飛行中だった。乱気流に巻き込まれたか、強い雷雨が影響した可能性が指摘され、飛行中に火災が起きたとの情報もあった。
2006年 8月23日 (水) 09:49
169人の乗員乗客全員死亡 ロシア機墜落事故 (朝日新聞) - goo ニュース
イタル・タス通信によると、ウクライナ東部のドネツク近郊で22日に起きたロシア・プルコボ航空ツポレフ154型旅客機の墜落事故で、169人の乗員乗客全員が死亡した。ロシア緊急事態省は、前線に入って雷に打たれたことが主な原因としている。

 事故を受け、ウクライナのユーシェンコ大統領は23日を、ロシアのプーチン大統領は24日を服喪の日とすることを決めた。

2006年 8月23日 (水) 11:25
BBC NEWS | Europe | Mourning for Ukraine crash dead
Emergency workers at the scene of the crashEmergency workers battled the flames at the crash scene

Ukraine is holding a national day of mourning on Wednesday for 170 people killed in a plane crash.


The plane was flying from the Russian Black Sea resort of Anapa to St Petersburg when it crashed near Donetsk, Ukraine, killing all on board.

Most of the passengers were thought to be Russians returning from seaside holidays, including about 40 children.

An investigation has begun, with bad weather or a possible fire among the causes under consideration.

Russian President Vladimir Putin said that his country would declare Thursday a day of mourning for the victims.

Dutch passengers

The crew of the Pulkovo Airlines flight 612 sent a distress signal at 1537 Moscow time (1137 GMT), and the plane disappeared from radar screens two minutes later, Russian officials said.
Map
It crashed into a field about 45km (30 miles) north of the Ukrainian city of Donetsk.

The plane was carrying 160 passengers, at least 39 of them children, and 10 crew.

There were foreigners on board, "including Dutch people", according to an official at St Petersburg airport, quoted by AFP.

The fuselage of the plane was entirely destroyed and a thick pall of white smoke hung in the air, an AFP journalist reported from the scene.

"It was floating, it circled around, then it went down," an unidentified women told Russian television.. Immediately there was an explosion ... and smoke started rising."

'Severe weather'

There have been conflicting reports of the cause of the crash.

Ukraine's emergencies ministry said the crew had decided to make an emergency landing after a fire broke out.

But Russian officials told the Itar-Tass news agency that the plane had encountered severe weather conditions before it came down.

Russia says terrorism has been ruled out as a possible cause.

St Petersburg-based Pulkovo Airlines is one of Russia's larger carriers.

The crash is the third serious air disaster in the region this year.

In July, at least 124 people died when a Russian Airbus A-310 skidded off a runway and burst into flames in Irkutsk in Siberia.

Last Updated: Wednesday, 23 August 2006, 02:19 GMT 03:19 UK
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