日記

Hajime

旅人のための旅人 9

2008年05月31日 | Weblog


朝起きて顔面をきんきんに冷えた水で洗う
きょろきょろと部屋を見渡す
うろうろと部屋を歩き回る
ぐるぐるな頭をなんとか整理しようとしてみる

ぼくに今できることはなんだろう


そう思う一秒前には右手にカメラを持って部屋を出ていた
たった半年前までほとんど部屋から出れず
ただ、引きこもっては
ベクトルをぐさりと内につきさしてまたうろついて

そういう日々のおかげで今ここにこうしてぼくは立っていて
気がつけば反射的にカメラを握って無意識にぶつぶつと何やらつぶやきながら山の上に立っている

だから思えることは
捨てていい気持ちなどありはしないということ
あの山の向こうに行きたいなら、必ず行けるということ
その力を多くの人や出来事からもらっているということ

ひとはやっぱりひとりだけれど
それでもやっぱりひとりではないということ

強くないものへ
耐えて、そのままでぶっとくなれ

...................


ドイツ、ベルヒテスガーデン。
この国で2番目に高い山、ヴァッツマン(2713m)が目の前にそびえる。
美しい山というのはただ高いだけではない
その高さだけの深さや器の大きさを持っているものだ。
朝一人、遠くからヴァッツマンと対峙してみる。周囲はまだヤギと小鳥たちしか起きていない。
澄んだ空気の中、凛とたたずむ山へ静かに光が射していた。

旅人のための旅人 8

2008年05月29日 | Weblog

「君の目的地はどこだい?」
旅をしていると、時にそう尋ねられる

それから「目的地よりその旅路の方が貴重だね。」
と、次の駅で切符をぼくに手渡して笑って降りて行った

そういう切符一枚のやりとりが思いがけず旅に豊かさを与えてくれる


......................

ミュンヘンから次の町、オーストリアとの国境にあるアルプスのふもとベルヒテスガーデンまでの鉄道にて
景色は町から牧場へ、そして森林限界のうかがえる絶壁の山々に囲まれた渓谷へ入ってゆきます
切りたった山々と反比例するように、素朴な人が多いようです
移動の疲れなど吹き飛ばすほどの景色に、鉄道マニアではないけれど、思わず列車からの景色を納めようとカメラを握りしめてしまいます




旅人のための旅人 6

2008年05月26日 | Weblog

ミュンヘン空港には「エアブロイ」というビールがあります。
ドイツならではですね。空港内にビール工場があって、そこで空港ビールを作っているんです。
前の晩にホーフブロイハウスで飲んだホーフブロイオリジナルはきれいに澄んだ琥珀色なのですが、エアブロイは白濁していて少しフルーティな味でした。濁るのは酵母を濾過しないからで、逆に日本でよく飲まれているビールは濾過したタイプのビールだそうです。

そうです、ミュンヘン空港までエアブロイを飲みにやって来たんです。
さてエアブロイを飲み干して、少しずつ山へと上がって行きます。
ありがとうミュンヘン。そしてビール!




旅人のための旅人 5

2008年05月26日 | Weblog

ミュンヘン郊外のニンフェンブルグ城を取材
城もいいけど、早くビール...
あっ、いやアルプスの撮影をしたいのよ


でもこのお城はバイエルン国王の離宮で「妖精の城」と呼ばれるのも納得するくらいの装飾がなされていました


でもぼくは山でビールが飲みたい
もとい、撮りたい






旅人のための旅人 4

2008年05月25日 | Weblog

市場はいい
売る人も、売られるものも、買う人も朝一番活き活きとしてる
そこには笑顔と爽やかなエネルギーがある
夜な夜なビールを飲んだぼくにも無条件にそれをくれる
面食らいつつもひねくれず、その力をいただく


毎日毎日活き活きと輝いてる人はもうそれだけでかっこいいなぁ
決して目に見えるような強い力は必要ないけれど、採れたての野菜や果物や魚が毎日新鮮なうちに市場に並び、人々が集まってくる
ものや人々がそれぞれに新鮮なエネルギーを作り出す
それが素敵だということなのかもしれません







旅人のための旅人 2

2008年05月23日 | Weblog

ドイツではどのビアホールでもおいしくビールをついでくれます。
瓶だとグラスを地面ぎりぎりまで下げて、こぼれちゃうんじゃないのかと思うほどの角度で注いでいくれます。

それでね、やっぱり思うのはこんだけうまいビールを造るために麦を一生懸命育てる人。
こんだけうまいビールを造りだしてくれる人。
こんだけうまいビールをこんなにうまく注いでくれる人。
んで、それを一番最後にたくされて、うまいビールを笑顔で運んで来てくれる人。
そりゃあまずいわけないね。
それにしてもめちゃくちゃでかいジョッキでした。1リットルありました一杯(6,2ユーロくらい)。
ビールが夕食か、ってくらいの量です。けれどもぼくはスイッチが入ってしまいまして、ビールのあてにまたビールを頼む始末。

ドイツは全体で6000種類もビールがあります。そしてビアホールも沢山あります。
その中でもビアホールの殿堂、ホーフブロイハウスに行って参りました。
写真はホーフブロイハウス2階のレストランです。1階は1200席のビアホールでした。広すぎです。
次は1階の写真を載せようと思います。


ほぼ酔っぱらいでしたぼくは。
そしてすぐあれこれ思い悩んではいろいろと気にしたりしてしまうわけです。
あぁ、ここでおやじや母さんとビールが飲めたら最高だろうなぁとか
あの子とこれたら幸せだろうな、とか
大阪からはるばるやって来ては三鷹で乾杯してくれるあの人やあの人たちとここでビールが飲めたら素敵だな、とか
いろんなものがもったいないなぁ、とか生きてる間に連れて来たかったなぁとか
そういういろんなものがこみ上げてきてはまたビールを飲んで様々な隙間を埋めたり

人間、多少の隙間があるくらいがビールが冷やしてくれるのでちょうどいいってわけです

そして笑顔でビールを運んで来てくれる人はよくわかってくれているのです
だから気持ちの入ったビールがうまい

よし、この店出たら外で月を見ながらまたビール飲もう




旅人のための旅人 1

2008年05月22日 | Weblog

窓から眺めるときっとそこには麦畑が広がっているに違いない、と思っていました。

ドイツで最大面積を誇るバイエルン州の州都ミュンヘン。
見えてきた黄色い畑はどうやら菜の花畑のようです。
菜の花の油をさまざまに利用しているため、広大な農地にはこうして黄色い花があちこちに咲いています。
約12時間の空の旅を終え、いそいそと荷物をピックアップして空港からSバーンという電車(ドイツにはUバーンとSバーンという電車がある。ミュンヘンではSバーンは郊外列車、Uバーンは地下鉄となっている)に乗り、約40分ほどでミュンヘン市街に着き、ホテルで身軽になって早速ビールを飲みに行こう。

何はともあれ麦芽で乾杯でしょうよ。方角も何時かももう全然わかんないけど、ビールの在処は分かる。匂う、匂うよー麦芽が。その為に飛行機の中ではノンアルコールですから。
のどごしに命かけてますから!完全KOされてやるぜドイツビール!幸福な敗北ですから。今、会いにゆきます。



働くために生きてるわけじゃねぇなぁ
生きてるから働くわけで、ぼくは歩くために生きてるわけでも、食べて寝るために生きてるわけでも、写真を撮るために生きてるわけじゃなくて
生きてるから歩いて、食べて寝て、ファインダーをのぞいてみたりする

けれどもひょっとしたら旅するために生きているのかもしれないなぁ
そこで出会う人や菜の花畑や、愛しい人を想い描いたりするために旅に出るのかもしれない


そういう風にしてまた一つ旅が始まりました


モリッツさん

2008年05月12日 | Weblog

明日からしばらくヨーロッパに行ってきます。
今回は短い上にあちこちまわるので、あまりゆっくりすることはできないけれないのだけど、できるだけきれいなものを撮りたいなぁ。
旅行作家さんなども今回はご一緒なので、いろいろと学ぶことも多いと思います。
んで、いい写真撮ってきます。
もうそれだけです。
いくつかのイメージを飛行機の中でつくりながらそれを形にしていこう。
うん。
あきたら本読もう、さわやかなやつ。

旅に必要なのはカメラと音楽と小説と、イメージを書きおこすペンと紙。
あっ、それからやっぱりサニーディ・サービスは持っていこう。

撮影は一人だし、そんなに甘くはないけれど、頭とこころがいい状態じゃないときっと上手く撮れないもんなぁ。
初日はミュンヘンのパブでビール飲もう。
それから山の鉄道に乗ってこっそりおもしろい話のしっぽをつかまえながら撮影しよう。

それではしばしごきげんよう。
行ってきます。