日記

Hajime

デリーからはじまる

2010年05月30日 | Weblog

2度目のデリー入りは初めてインドを訪れた去年のびくびく感に比べれば落ち着いたものだった
パハールガンジには相変わらず野良犬がたむろしていて、
乾燥して舞い上がった土ぼこりと犬の糞とが朝日に輝いている
去年も通ったチャイ屋のイスに座ってあくびをしながらいれたてのチャイを飲む

細い路地の電柱には無茶苦茶に電線がからんでいる
実際ちゃんと電気代を払っているのは、この電線のうち何本だろうか
チャイを飲みながら考えてみる
きっと半分くらいだろうなぁ


夜、デリーに着いてホテルで1泊
明後日には砂漠の州ラージャスターンに向かう予定だから、
デリー滞在は2日間だけだ

到着した昨夜は久しぶりに再会したインド人と夕食を食べながらあれこれ話す
デリーは今あちこちで工事をしていて、
ここパハールガンジのメインバザールもずっと工事が行われているという

「メインバザールの道は下が全部ブロックになって、違法にホテルや店が建てられて道が狭くなった所はすべて立ち退きになるんです。電線も全部地下に埋められるんですよ、今年中に」


はっきりいってそれはすごい
そんなメインバザール想像つかない
そんな話をしながら久々のインド料理を食べた

そして朝、ぼろいイスに座っておっさんにチャイを入れてもらいながらゆっくり辺りを眺めてみても、
メインバザールがそんな風にこぎれいになるなんて全くイメージが湧かない

それにインド人の言うことだ、
別に信用していないわけではないが、どこまで事実なのかはアテにならない
事実だとしても今年中というのはだいぶ怪しい

でも去年に比べて気づいたこともある
今年のメインバザールにはほとんど牛がいない
細い路地から突然にゅっと出てくる野良牛たちが見当たらないのだ
もうあと何年か経ったらほんとにメインバザールもきれいな町になるのかもしれない

ここはこれから何年先までもインドへの旅人の多くが訪れ、
インド人と喧嘩したり仲良くなったり、出会ったり別れたりトラブったりする喧噪にまみれたおもしろい場所であってほしい、と少し寂しい気持ちがした

でも多分たとえメインバザールが一時きれいになったとしても
それはきっとほんとに一時のことなんだろう
だってここはインドだから、という言葉でしか説明できないけど
そんな感じだ











とりあえず、デリーでインドの空気を思い出して
いざラジャスターンへ
砂漠の楽士やダンサーの写真を撮りに向かう



5月で

2010年05月17日 | Weblog

5月はトトロの季節でないですがそれでもさつきでめいである
いろいろな映画を入れ替わり立ち替わりでじっと見て、本と映画の違いであるところの映画はするする勝手に前へ前へと展開してくれて、うまくいけば気持ちもそれに乗っかって気がつけばすがすがしくゴールができるのですが、
一呼吸づつ自分が進めていくしかない読むという作業はどっこい視覚以外のページをめくる感触や文字から漂う匂いさえ嗅ごうとする妄想の嗅覚や聴覚も映画以上に必要で時には重たいものを全身で押し進めるような疲れも最後はここちよいよね

砂漠の原稿がやっぱりなんかが足りないのでありましたが、ここにきて終了
さてさて次だ
書きためておかねばいかん

4月枯れたら全力5月 匂いも光も溢れすぎだろう5月は自然に限れば何もかもが濃いのであって、どくだみの香りの季節に違いない。地面すれすれに湿った香りが這っているしそれを考えると4月桜のふわふわ感は即行次に会う日まですっかり忘却さようなら
だんだん夜が暗くなってく冬は好きけど、だんだん夜が濃くなる5月が好きです
今ごろのビルは陽が沈んでも馬鹿みたいに群青でなかなか黒くはならないのだけどそこも好き

走るのが随分楽になって12キロ走る足はどうやらできた
が、その先10キロはいまだ未知
5月末あたりから距離をのばしたいけれど6月山形のマラソン撮影があってさくらんぼ食いたいです

スイスが発売されており撮った写真が一番大きく使ってもらえたのであぁすっきりもうすっきり


腑抜けども悲しみの愛を見せろ、の内容はともかく最初にタイトルが出てくる電車がこちらへ向かってくるシーンのかげろうがたってるようなシーンのあの全てのセンスと完成度の高さだけですっきりでじんじんくるのでそこだけ何度も再生
サマーウォーズはマッドハウスさすが驚きの技術に久しぶりにあっけにとられて気持ちいい
人のセックスを笑うな、の永作  永作!


アラスカ写真のイメージを練る前にまず山形マラソン写真のイメージと自分が走るマラソンのイメージ(撮影はしないので本気で走る)をせねばいかん
ソーダがのみたい


ゴールデンウィーク

2010年05月06日 | Weblog

「都会のつまらないところは死体がないとこよ」

フミと僕に向かって酔っぱらった志乃が言った
ゴールデンウィークの最後の夜に西荻窪のバーで3人で飲んでいた

西荻窪駅の南口を出て、屋台の通りを抜け、沖縄料理屋やバーがマンションの1階にぽつりぽつりとある静かな通りにある1軒のバー
とても卑猥な名前のバーだ

「じゃあ、あんたが今もってるそれは何よ」
スパイスのよくきいた手羽先をぼきぼき折りながら食べている志乃に向かってフミが言う


「これは元鶏よ」

「言ってることが説明になってないわよ」


「あんたはどう思うのよ」
志乃が僕に向かって尋ねた

「都会に死体が少ないというのは、ただ見えないようにする手際がいいだけで、
実際都会の方が人が多いんだし、死体も多いんじゃないかな田舎より」


「そんなのどうだっていいわよ、数の問題なんて意味ないのよ」
志乃が元鶏を食べて指についた油をふきながら言う


「あんたの乳首くらい意味がないわよ、無意味よ」


「そうね、でもどちらかといえば無意味じゃなくて、無価値ね」
フミも志乃に同調して言った



「僕の乳首が無意味だろうと無価値だろうと君らには関係ない」



ゲイのフレディー・マーキュリーの像が立つモントルーの湖沿いで
レズビアンのこのカップルと僕は2年前の秋に出会って、帰国してからもちょくちょく飲んでいる


バーの店長であごひげを綺麗にそろえたマサさんが白アスパラを差し入れしてくれる
旬は少し過ぎていたから小ぶりだけど、歯ごたえがあってもっこりしている
マサさんは昨日彼氏にふられたそうだ


志乃は高校の教員をしている31歳で、フミは20歳の大学生
二人の出会いのことは何度も聞かされたけど全く覚えていない
確かフミは志乃の教え子だったと言っていた


志乃がトイレに行ってる間にフミが言う
「志乃は昨日まで旦那とタヒチに行ってたんだって。まったくもう私すごくつまんなかったんだからゴールデンウィーク。志乃に言っといて、旦那によろしくって」

フミがタクシーで帰って、志乃が酔っぱらってトイレから出てくるなりテーブルに伏せて寝てしまった
こういう時は起こすと面倒なので、マサさんに任せて帰ることにした
マサさんがどっさりともっこりした白アスパラをお土産にくれる


それをぼりぼりかじりながら男の乳首の無価値さについて考えながら、
結論がでないのだけど、答えはでるような気がして少し遠回りして家に向かった


そんな西荻窪ヘドウィッグ