日記

Hajime

げっ歯類と電流

2009年01月27日 | Weblog

サース・フェーにある展望台レンクフルー(2870m)から下山。
横にフェー氷河とドーム(4545m)を見ながら細い道を歩く。
時々、氷河がぐしゃりと音を立ててくずれるのがわかる。
30分ほど歩いて、道の脇をふと眺めていると、





ん、石?





おっ、石じゃねぇ!






完全に寝起きのもふもふマーモットやん!

シャモニから1週間以上3000mの山々を歩きまわり、足に限界がきていた私ですが、
一発でこの光景にやられました。
私のことを思いきり無視して自由きままに陽を浴びてぼんやり過ごすマーモットたち
しかもあっちにもこっちにももりもりいる!






あっちにも!






こっちにも!






バイバーイまたね。

ここは都会のように道はきれいじゃないし、てか超坂だし
電波もないし
よれよれの登山服にカメラ
ペットボトルも使い回しのべこべこで、ヒゲもボーボー
靴はいろんな生き物のうんこまみれ
私は汗まみれ

なんもないこの一本の道を
なーんも持たずに歩いて気づかされることもある
私は東京みたいな都会も大好きで、できれば楽したい
面倒くさいこともしたくない、というかしない
けど、様々な情報が溢れ、ゆとりがまるで罪のように目まぐるしいテンポで進む中、
一本の山道を歩いてみるということは、そんなカオスから自分自身を守り
良心を取り戻し、自省させてくれたりする
そうして感じ、考えるということが自分がまだ死んでいないという証のようだとも感じる







それからサース・フェーの街近くまで下山
途中牛がいた
写真を撮るために近づく
乳牛じゃないっぽい毛並みだな、しかも顔つきがどこかのんびりしていない
どんどん近づく

ばちっ!

気がつくと尻餅をついて、仰向けになりかけてた
一瞬何が起きたかわからなかった
カメラを上手くにぎれない
ふと、足元を見るとビニールの紐が張ってある
どうやら電流が流れていたらしい
はっと牛を見ると、後ろ足がものすごい勢いで土をかいている

こいつ闘牛やん!

この辺りは闘牛が盛んで、写真でこういう色の牛が興奮しまくりで闘っていたのを思い出した。
電流でびりびりしびれながら一目散に退散!
やっぱ都会さいこー!

................................

今日、パリから一時帰国されていた写真家の吉田タイスケさん達と飲んだ
吉田さんの写真はとても好きで、ずっと会いたかったのでとても嬉しかったし、あまり話しはできなかったけどすごく明るくて素敵な人柄が伝わってきた
いつも写真を拝見させてもらっているのだけど、すごく柔らかい色の写真を撮る人だ
私ももっとがんばらねば、と思う一日



山と人

2009年01月24日 | Weblog

インドに行くためにインドアに過ごしている私です
これはインドに限ったことではないですが、大勢の人やものに囲まれる場合にはものすごいパワーを使うので
エネルギーを貯めているところです
なのでノグソの本を読んだり、ノグソの本を読み、ノグソの本を読んで過ごしたりしています

ところで撮影機材の用意をしていたところ
CFカードに昨年のスイス取材の写真が残っている地域があったのでインドに行って激しい下痢に悩まされる前にすっきり出しておこうと思います

マッターホルンのあるツェルマット(随分前にアップしたのですが)の街の山を挟んで隣の谷に、サース・フェーというすごく小さい街があります
ツェルマットに比べて観光客も少なく、街自体も圧倒的に小さいです
すっかり忘れていたのですが、スイス取材で私が一番好きになった街です

街をぐるりとと取り囲むアルプスの山々、そこから流れ落ちるフェー氷河
山と氷河と共に生きるアルプスの麓の素朴な街
サース・フェーは1時間、ひょっとしたら40分くらいで回れてしまうほど小さな街です
日本人観光客もツェルマットと違い、旅慣れてる人が多い傾向にあります
何人かの日本人にもあったのだけど、軽くあいさつを交わしその装備を見ると、どの方も登山の手練という雰囲気、山歩きは任せてよという印象を受けました


私はツェルマットでマッターホルンの撮影をした日に、電車とバスを乗り継いでサース・フェーへやってきました
翌日、朝から3500mのところにあるミッテルアラリン展望台へ登りました
あまりの快晴で、今日ならマッターホルンの撮影もばっちりできたのに!と思いつつミッテルアラリンに到着すると
その悔しさを晴らしてしてくれるほどの光景が広がっていて、途端にサース・フェーの魅力に取り憑かれることになります




スイスの中にある山としては最高峰のドーム(4545m)が目の前に広がり、フェー氷河が山裾から一気に街へと落ち込んでいます






この旅でフランスのシャモニや世界遺産のアレッチ地域、隣の谷ツェルマットなどでも氷河は散々見て来たけど、ここの氷河は圧倒的なスケールです
容易に人々を寄せ付けない雰囲気があるのは、急な斜面から一気に流れ落ちる滝のような迫力があるからのようにおもいます





ミッテルアラリン展望台で撮影していると、雲や霧が一瞬にして目の前の景色や天候を変えてしまい、
さっきまでの快晴がいきなり視界ゼロになってまた晴れたり
いきなり数メートル先も見えなくなる中、人の気配を感じて振り返るとスキーでやってくる人もいてちょっと気を付けて歩かないといけません(しかも一歩道をそれればフェー氷河!)。柵や立て札などなく全て自己責任の範疇です







3500mのあまりの寒さに一旦街へ下山
さっきまで間近にみていたフェー氷河が街の上にしっかり見えます
これから上の写真の、氷河と氷河の間にある黒い土が出ている所にあるレンクフルー展望台(2870m)まで上がります






先ほどまでフェー氷河を見上げていたサース・フェーの街が遥か下にみえるレンクフルーの展望台
ここに上がるまでのリフトでパリから来たおばあちゃんと仲良くなって2人でいろんな話しをしながらやってきました
おばあちゃんは私がここから歩いて街まで下山するつもりだ、と言ったら
「ここから街へのコースは登山の装備がないと降りるのは危険だから私と一緒にリフトで降りなさい。」と言っていた
私は他の山で結構きついコースも歩いていたので、「平気平気!」と言っていたけど、後からおばあちゃんの忠告を聞いておけば良かったな、と思うほど急勾配、道の不整備での下山はかなりきつかったです







おばあちゃんに別れを告げて下山
目の前にはフェー氷河


今日この写真を見ていて全然人が写っていないということに気づく
意図的だという部分ももちろんあるけど、やっぱり自然に対しての人口密度がスイスではすごく薄かった
インドでは絶対こうはいかないな、と思う
むしろ人が写らないようにするのがとても難しいだろうし、人が写ってなんぼだとさえ思う
だからその人々に向かい合うためにはとてもエネルギーがいるわけで、今そのパワーを溜め込んでいるわけです

人を寄せ付けない山々へと登り、自然の美しさや脅威ともいえるような力強さを感じた後に
人間のるつぼであるインドへ行くのはなにかしら考えさせられるところもあります
何に出会い、誰と出会うのか楽しみにしつつ、今からまたノグソの本で勉強しようと思います
それからパワーを蓄えたら一人カメラを持ってインドを歩き、腕がぶちぎれるくらいの勢いでいい写真を撮ってこようと思う



飛躍するインド経済

2009年01月21日 | Weblog

今日はインドのビザを受け取りに茗荷谷のビザ申請センターへ。
途中本屋による。
だってそろそろインドの情報ゲットしないとね。
やっぱりインドと言えば目覚ましい経済発展だよね。
経済自由化以降のIT大国の今を学ばねばね。
ビジネスだよなやっぱりインドと言えば。



だって私が今読んでる本なんてまさに超ハイテクインド!って感じやし。

『ヒンドゥー教の本』/学習研究社
・インドの聖者をマニアックに紹介。サイババももちろん聖者です。
ヴィシュヌ神からシヴァ神、苦行についても盛りだくさん!


まさにハイテック国家インドを思わせる本だったぜ。
ハイテクすぎておいてけぼりくらうとこだったわ。







それから読んでるのは近代国家すぎるインドの本。
IT専門用語続発でついてくのにやっとだったよ。

『インド人の考えたこと -インド哲学思想史講義-』/春秋社

・ヴェーダを元にしたインドの思想について
万物の本体ブラフマンと個人の本質アートマンについての教え
仏陀解脱までの道のりなども紹介



いや~とてもハイテクインドを学べるなぁ





で、今読んでるのもすごく現代インドの最新経済を知ることができるんです!

『くう・ねる・のぐそ 自然に「愛」のお返しを』/山と渓谷社
・伊沢流インド式野糞法を開発した人の本
35年間世界中でノグソし、21世紀に入ってから1度もトイレで排便していない、という真の意味でのエコを考えさせられる一冊だ
口絵にはウンコに生える美しいキノコの写真や、お尻を拭くのに紙に勝るとも劣らない吹き心地のいい葉っぱを紹介した「お尻で見る葉っぱ図鑑」というページもあり、今まで気づかずにいた自然の姿を教えてくれている


めっちゃ勉強になるなぁ、インド経済について


インドの新しい市場についてとても参考になる本ばかりだ......




こんな本ばかり手にとっている私ですが何か

だって国土は日本の9倍、人口11億人越えて、7億人が農村民でうち3億人強が貧民層でさ
富裕層・中流層が3億人くらい
貧民層も富裕・中流層も日本の人口より多いしね
もはやスケールがよくわからん
それに日本や海外で出会うインド人は結構金持ちで、かなり一部の人に限られてるから話してもそれだけじゃ全くインドのことなんてわからんし
現地では富裕層じゃない人たちが圧倒的に多いわけだし

逆に外国人も日本や日本人を理解するためにはさ、日本でそれを知らなきゃわかんないと思うのよ
しかも東京や大阪だけじゃないわけです日本だって


ということで
インドのことはインドの中で知れ!
インドのことはインドで考えろ、と思うわけですよ

だからついね手に取るのはインドの宗教や文化なんですよ

でも、ノグソの本はあんまりインドとは関係なかったな

ということでまるでインドのようにいろんな情報が混沌としている私の頭の中
そしてやっぱり混沌こそパワーの源だ!と思う
ということにしておく!


さっ、インド式計算ドリルでもしよー


自我は自己ではない

2009年01月21日 | Weblog

あーパフュームさいこー
今日は茗荷谷にインドのビザ申請に行った
明日受け取り


そろそろ準備しなきゃなんだけど
あれこれ忙しく何もしていない
ヨーロッパの時の準備とは何かが違う
今回はスーツケースじゃなくてバックパックだし(しかも一番古~いやつ)
着るものもかなり適当な服だ


ヨーロッパはなんだかんだで4ツ星とかに泊まる必要があったのでちゃんとした服(それでも相当ぼろぼろになっていた)も持ってたけど、今回は地元にいる時みたいな感じの格好になるだろう
そういえばこの前実家で畑に大根を取りに行った時、風邪を引いてジャージの着膨れ、野菜包丁片手にマスクでふらふら歩いていた私 

すげーな と思う
あれはなかなか東京じゃできん格好だ
包丁はカメラに持ち替えて、インドではそんな感じになるのだと思う
多分20日目あたりを過ぎたくらいからそんな感じになるんだと思う 解脱だ


そう思いながら丸ノ内線に乗ってビザ申請
そりゃパフュームくらい聞くわ!
重たくないのがいい
名刺交換くらい軽くて良い 
でもそれはきっと徹しているからだパフュームがパフュームに
名刺交換という行為が名刺交換という行為に

名刺交換したからといってお前友達じゃないんだよ
アドレスに「この前はどうも!どうっすかビールで今日?」みたいなこといきなり送っちゃだめよ的な儀式

よくそうして気軽なメールを送ってしまいます
そして「福間さま お世話になっております。○*▲~」みたいに丁寧に返ってきてもくじけないようにしています
恥ずかしくて返しづらい自分とか見て見ぬふりしてます

そういう時に引きこもりがちにパフューム聞きますよ
すると妹にすごく怪訝な顔をされる始末だ
どうやらパフュームが嫌いで
パフュームを聞く兄がさらに嫌らしい
夏に野球部の部室に入ってしまった人みたいな顔をしてた
あー好きだね
よく聞いてるね!今私が高校球児なら砂と汗にまみれた部室でがっつり聞いてるね!真夏の午後に!
だからきっとムーミン片手にパフューム聞きながらガンジス河の写真撮るねお前の兄は!!


だからパフュームとベンジーのヘビーローテーションだね!
なんならパフュームとニルヴァーナだね!
岡田あーみんと井上雄彦だね!
浦安鉄筋家族とナウシカだね!
ばかと天才は紙一重って言うしね
意味はわかりませんが、そうして丸裸でインド行ってくるよ


苦しいとか怒りとか寂しいとか悲しいとか
そういう自分探しか、度を越えたナルシストようなものも必要だろうけどね
そこに自分はいないからね
自我は自己ではないとも思う
だから強く生きていくしかないぜ妹に白い目で見られても!
聞いていくぜパフュームを!
なぜパフュームを聞くかどうかでここまで主張したり、宣言しているのだろうかという疑問すらわいてきました
人は自由だ!パフュームを聞くか聞かないかなんてもっと自由だ!
ちょっと妹にばかにされるくらいのことだ
それでちょっとへこむくらいだ!いいやへこんでない!
パフュームはばかにしてもいいが(すみません)私はばかにするな一応!
せこい兄である


今日のインドビザ申請の受付では数多く「無職っす!」という人がいた
あれこれ考えてしまう あれこれと勝手に考えこんでしまうわいろんなことを
だからパフュームを聞いて気分転換するくらい見逃せ妹よ







ヨクサル

2009年01月08日 | Weblog

北欧について調べている。
私はムーミンが好きだ。
どのくらい好きかというと、埼玉の田舎の山にあるムーミン谷に足しげく通ったほどだ。それも子どもの頃じゃなくて割と最近。
ムーミンはアニメもマンガも見なくて、文庫だけを読む。
トーベ・ヤンソンの挿絵ににやっとする。
やっぱり寒くなったら読みたくなる。
初期の頃は、作者の精神的な不安定さが強く、物語もぐらぐらっと穴の底の方に落ちていきそうになったりするので、読んでいる方としてはどっぷりとフィンランドの深い森と海と湖にひたることができる。

で今、北欧についてはフィンランドを含むデンマーク、スウェーデン、ノルウェーについて書いている。
北欧は冬が寒く、長い。そして曇っている。
なんとなく山陰と似ている気がする。
決して山陽という雰囲気ではない。
山陽はどちらかと言えば地中海のような感じだ。
日照時間も長く、小粒というより大味で快活な気もする。
それぞれの地域には独自性があって然るべきだけれど、だからといってそこに暮らす人々が全て同じ雰囲気を持っているわけではないが、勝手な感想だけれどそういう風に感じる感覚も大切にしていきたい。

話しがよくわからなくなったけど、ムーミン好きだなぁという気持ちがあるということ。
そして山陽にもムーミンファンが沢山いることから、先ほどの私の予見はハズレだなと思う。


北欧デザインである。
そう、北欧デザインについて書いているのだれど、「かもめ食堂」の中で片桐はいりがヘルシンキの図書館でムーミンの原作を真面目に読んでいるのを思い出し、にやっとして話しが逸れそうにもなる。

北欧デザインと言えば、マリメッコやイッタラは日本でもおなじみのブランドだ。今私が手元で使っているPCのマウスもマリメッコ。
真っ青に赤、蜷川実花の写真のように派手だ。マウスのくせに。
「マウスのくせに。」という所がいい。なんたってそんな日常の細かい部分までデザインが行き届いているのだから。
その多くは自然や伝統的なものをモチーフにして、素材感を大切にしている。そういうあくまでトレンドを追わない素朴さが北欧デザインの良さでもある。


先日、ヤコブセンやフィン・ユールなどそうそうたるデザイナーがデザインしたイスや照明が置いてあるロゴバというショップを散歩がてら取材しに行った。
そのデザインのクオリティの高さと同時に値段の高さにも腰を抜かす。
後ろにイスがあって良かった。
そのイスの値段を見てさらに腰砕けになったのは言うまでもない。


そして、そろそろまとめて書き始めないといけないなと思いつつ、インド出発が目前に迫ってきて、北欧の静かな森の中から一気に人間のるつぼにすっ飛ばされる心持ち。

とりあえず、今からちょっとトーベ・ヤンソンの本をあさって、スナフキンの親父ののらりくらりさを改めて感じてこようと思う。それからまた書き始めてみる。



神、狂牛病。

2009年01月05日 | Weblog

初仕事でお茶の水は神田明神へ参拝。
すごい人だ。遠くの方からお賽銭をばっしばし投げて手を叩く。
もんでもまれて大変だ。

都会の神社の神様は多くの人にお願いされてかなり大忙し。
お賽銭と引き換えに身を削るような思いで福を分けてあげているようで、神様もキャパオーバーだ。

所変わって私が元日に参った島根の大島神社の神さんは暇だ。
ありゃきっとメタボだ。メタボ神。
お賽銭はほぼ無かろうが、自分の手に負えるだけのごく少数の参拝客と、海やら山やらの幸がよりどりみどり。

お賽銭を放り投げて群がる不景気の今年、気持ち分からんでもないです。
遺伝子組み換えのエサをいっぱい食べさせられて、乳も肉もはぎ取られるウシのような神さん。
人も大変だけど、ウシも神も大変だ。

私実家でメタボ神に拝みましたから、これで野菜ジュースでも飲んで下さい。
と120円お賽銭しとく。

10月になったら、いったんもめんみたいに夜中にへろへろ出雲へやって来てメタボの神と酒でも飲んで下さい。





ほの香

2009年01月04日 | Weblog
あけましておめでとうございます。
しばらく島根に帰っていました。
東京に戻って来たら、がんばれば半袖で過ごせるんじゃないかというくらいの陽気だ。
実家は相変わらず小泉八雲や水木しげるが描くような山陰の冬。とっても素敵。

妹が年末に、下半期を振り返るような屁が出た。と喜んでいた。
別にうまいこと言っているわけではないが、伝わってこないでもない。
放屁について兄妹で語り合った年末年始であった。
妹はフレーズが気に入ったようで、一日に何回も下半期を振り返るような屁について熱く語っていた。
けれど、先日彼氏の前でこいてしまったことに「死にたい」ともらしていた。

相変わらず誰が放屁したのか探り合いのこたつの中である
あ~なんだか正月っぽい。と屁で季節のうつろいを感じてしまう今日この頃。
屁に終わり、屁に始まる一年。今年もごく自然にこいていきたいものである。


本年もどうぞよろしくお願いしまブッ。