エスキモーのイラストが描かれた小型飛行機が着陸態勢に移ると、
ゆっくりと一面の雲を裂いて海峡に浮かぶ島々が見えてきた
想像していた以上に海は黒く、穏やかで、大小さまざまな島々はしっとりと雨に濡れている
ケチカン到着は夕方4時になろうかという頃だった
空港内を地下鉄で移動しなければならないほどのシアトル空港とは違い、
ケチカン空港のなんとこぢんまりしたことか
荷物をピックアップし、フェリーでケチカンのダウンタウンへと向かう
アンカレジ、フェアバンクス、ジュノーに次いでアラスカで4番目に大きな街ケチカン
といっても、深い森と海の狭間にこぢんまりと家や店が並ぶ程度で、とても都市とは言い難い小さな港街だ
ケチカン観光局の女性スタッフ、ドラゴン氏と取材の打ち合わせをして、昨日は早々にホテルの部屋へ向かいベッドに倒れこんでしまった
最近やたらと忙しく、とにかく睡眠を欲していたのだけど、そんな私を察してかドラゴン氏は、
「今日はぐっすり寝て、明日は朝からフィヨルドへセスナで遊覧飛行へ行きましょう。とにかくリフレッシュできる場所だから、楽しめるように今日はひとまず休みなさい」
その言葉に甘えて9時には布団へもぐった
夜10時半、うっすら目が覚める
外がまだ明るい
ドラゴンが今は夜11時くらいまでは明るいわよ、と教えてくれたのを思い出す
部屋の前には幅200mほどの海峡がゆったりと流れ、
その先には森と山々が連なっている
大きな島らしいけれど、霧がかって山の先はかすんでいる
朝4時、目を覚ます
遠くで鳥が鳴いている
雨が静かに降っている
暖かいコーヒーを入れて部屋の外に出てみる
木製の重たいドアはきしみながらゆっくりと開いた
深い森が目の前に広がっている
目の前で雲が生まれている
大きな岩にびっしりと苔がむし、
踏めば柔らかそうな茶色い土が雨に濡れている
今まさに新鮮な空気がここで生まれているのだ
寒いので頭がさえてきたけれど、
もうしばらくぼーっとしていたいので、コーヒーをちびちび飲みながら部屋へと戻った
レンズの手入れをして、
今からフィヨルドへでかける予定