オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

ソニー・ロリンズ Vol.1

2018-05-04 18:44:44 | ジャズ
 今回は、ソニー・ロリンズがブルー・ノートに残した4枚のアルバムで最初に録音したソニー・ロリンズ Vol.1についてです。77年頃に購入し、丁度彼女が去っていった時に聴いた”グロッカ・モラの出来事”が僕の心を癒してくれました。この曲が一番のお気に入りです。この曲のみ、ほぼ1ホーンですしロリンズがたっぷり聴けます。”サキソフォン・コロッサス”のような名盤の華やかさはないですが、地味目な中にも、メロディアスなロリンズのアドリブが聴けて大好きです。

 ■1)この頃のロリンズ
 ロリンズのアルバムを通して彼の状況を見て見ましょう。

 レーベルを色で識別してみました。マイルスや、トレーン同様ロリンズも最初はプレスティッジに録音をしていますね。そこで名盤”サキソフォン・コロッサス”を物にします。しかしプレスティッジという会社は、スタジオの時間目一杯録音してリハなしで曲数を稼ぎ、LPの収録時間を30分台にして枚数も稼ぎ、余りのテープから超適当に曲を繋いでアルバムを後からでも乱造する等評判が今一ですが、ちゃっかりいい所は持っていきますね。正に玉石混合。しかし56年のプレスティッジの専属契約が切れる頃に最初の妻と離婚し、べらぼうな大金が必要となって、手当たり次第に各社に録音をしだします。上では5社しか書いていませんが、8社にもなります。どこの国でも離婚はつらいですね。その中のブルーノートに吹き込んだ4枚の内の最初の2枚(Vol.1/2)はマックス・ローチのコンボに在籍時、3番目の”ナイト・アット・ザ・ビレッジバンガード”は、’57年夏にローチの許を去り、フリーとなりクインテットやカルテットを組んだ後ピアノレストリオを作った直後のライブ、4枚目の”ニュークス・タイム”は更に1年後のスタジオ・セッションです。Vol.1は、サキソフォン・コロッサスの半年後で、すぐ後にこれまた傑作の”ウェイ・アウト・ウェスト”が録音されたという云わばテナーマンとしては脂の乗り切った時期になる。しかし、個人的には、つらい時期だったろう。

 ■2)2度目の妻、最愛のルシール(Lucille Pearson)について (ソニー・ロリンズ・ブリッジ・プロジェクトのインスタを翻訳しました)
 ロリンズとは、シカゴで出会う。ロリンズが橋で練習をしていた当時は彼女は着実に給料でロリンズを支えた。彼らは1957年にカップルになり、1965年に結婚した。ソニーの第3回目(英語の原文では2となっている)の雲隠れが1971年に終了した後、ルシールは彼のフルタイムのマネージャーとなった。そして、長年ロリンズのアルバムをプロデュースした。1975年、ロリンズはアルバム『Nucleus.』に彼女の名前をタイトルにした曲「ルシール」を書いて録音し、ルシールも ' Reel Life '(1982) と ' Sunny Days, Starry Nights ' (1984) の2つのアルバムの数曲でカウベルを演奏している。ルシールは2004年11月27日、76歳で死去した。ソニーは、アルバム のタイトルを' Sonny, Please' (2006) としたが、それはルシールが口癖のようにその言葉を使っていたためです。彼女の死の後の本アルバムの録音に際し、ソニーは言った。"アルバムは彼女へのオマージュです。彼女は今でもまだ私の成すべきことのすべての一部です。" ルシールは、ロリンズにとっての人生の愛と光でした。

 以下のインスタから翻訳、もし訪問されたら、いいね をポチって下さい。ロリンズとルシールさんの写真も載っています。

 インスタのURL:https://www.instagram.com/p/BfLrbqlnscp/?utm_source=ig_embed

 ■3)サイドメン
 Tp:ドナルド・バード:’32年生まれ。正式な音楽教育を受けた知的なバップトランペッターで、ディジー・ガレスビー・マイルス・ラインの逸材。
 P:ウィントン・ケリー:’31年生まれ。39歳で夭折。ディジー・ガレスビー・マイルス・ラインで演奏する一方、自身のトリオで明快なタッチ、よくスイングする知的なピアニスト。
 B:ジーン・ラミー:’13年生まれの戦前派。ジェイ・マクシャン、ベイシー等のビッグバンドでも働いたヴェテランで一流モダニストとの共演も多い隠れた名手。
 Ds:マックス・ローチ:’25年生まれ。モダン・ドラミングの最初のスタイル完成者とされているビッグ・プレーヤーで当時はロリンズの親分格。

 ■4)ソニー・ロリンズ Vol.1
 ジャケットは、以下。左がLPで、右はCD。

 LP(文字が横)とCD(文字が縦)は、文字が90度回転しています。私の持っている東芝EMIの77年のLPは横文字ですが、オリジナルは縦文字とか。今のCDは、両方売っています。裏は、

 上記にも書いたように、Vol.1は、ロリンズがローチのコンボにいた時のもので、ドナルド・バードも短期ではあるがローチの許にいたし、ロリンズがローチの許を去った後も一時一緒に演奏していた。そのメンバーであるから、ローチ・ブラウンコンボを踏襲したものかといえば、そうでもなく、5曲中4曲がロリンズのオリジナルであることからも判るようにロリンズの個性が強く通っている。
 しかし、ブルーノートは、プレスティッジとは違ってリハーサルにも2日も掛けて支払うような真面目なレーベルで、1曲目ではテーマのアンサンブルがブルースの定形12小節に1つ加えた13小節という変形となっているが、リハーサルで作りこまれたのかもしれない。レコードは芸術なんだからちゃんとしたものを残したいというブルーノートの真摯な姿勢から提案されたのかもしれないが、パーカーのような閃きを重視するロリンズにとっては枠を嵌められるようなことは有り難くなかったのかも。
 しかし、気の合ったミュージシャンばかりの息のあった演奏で、お互いが出しゃばらず、とはいえ激しいエモーションや強烈なドライブ感も感じるし、それでいて3曲目を聴けば判るように何ともいえない寛ぎと安らぎ、なごやかさが感じられる。
 このLPには、’56年というハードバップの勃興期ーハードバップが全盛を風靡する直前ーの何とも云えない”さあ、これからだ!”というジャズジャイアンツ達の熱気・勢いが発散している。

 ■5)ソニー・ロリンズ Vol.1の各曲
 私のお気に入りは、最初に書いたように3曲目の”グロッカ・モラの出来事”です。ブルーノートがリハで気合を入れたと思われる1曲目の”ディシジョン”や4曲目の”プレイン・ジェーン”も好きです。

1. デシジョン ロリンズのオリジナル
 ユニゾンによるテーマから、ロリンズ・バード、ケリー・ローチの順にソロを回す。ロリンズのソロはスケールが大きく、個性的。ブルージーにアドリブを歌う。そこがカッコいい。マイルス風のバードのソロもゆったりとスインギーでブルージー、その後のケリーも美しいシングルトーンで歌う。 ローチも見事なブラッシュワークを魅せる。ケリーのバッキングが上手く効いたエンディングで終わる。

2. ブルースノート ロリンズのオリジナル 勿論初レコーディングなのでブルーノートをモジッテイル。
 ミディアムテンポの快活な曲。ソロは、バード、ロリンズ、ケリー・ローチ・ラミーの順。その後、8~4バースがあり、アンサンブルで終わる。ロリンズのソロは軽快でウィットも効いているが、リラックスして歌っている。くだけたプレイでも駄作になっていないところが流石ロリンズ。ケリーも良く歌っている。

3. ”グロッカ・モラの出来事”(”グロッカ・モラを思う”の訳のほうが良いと思う)ラーナー&ロウのミュージカル”フィニアンの夢”1947の中で最も美しい主題歌。いかにもロリンズ好みの曲。
 イントロとコーダは、バードがミュートで受け持っているが、これが秀逸で良い味を出している。バードはこれのみ。ロリンズのソロはゆったりと揺蕩う川の流れのように優しく心に響く。ロリンズの大らかさ、人間性の大きさを感じる。中間のケリーのさわやかな、美しいソロが心にしっとりと。昔住んでいた懐かしい街は今どうなっているんだろう?何て心は誰しも持っている。そんな郷愁を呼び覚ます。遠い昔を思いながら全ては過ぎ行く。そんな気分にさせてくれる。テーマに戻ってからのアドリブもお気に入り。

4. プレイン・ジェーン ロリンズのオリジナル
 ミディアムテンポの演奏で、ロリンズの知的でコントロールされているアドリブも如何にもハードバップって感じで余裕ブッカましで素晴らしいが、その後のバード・ケリーのアドリブも見事。バードはゆったりとしたトーンでアドリブをするが、少し丸くなったリー・モーガンって感じがする。ケリーのソロもリラックスしておりスインギーでファンキー。テーマに戻って、8~4バースがありアンサンブルでエンド。

5. ソニースフィア ロリンズのオリジナル ガーシュインの”Got Rhythm”のコード進行を借り、ブリッジは、ウォーラーの”ハニーサックル・ローズ”のそれを組み合わせたもの
 アップテンポのハッピーな演奏。ロリンズ・バード、ケリーが長いソロを採りその後、ロリンズとローチの4バースが行われ、それが更に2バースになって細かくなる毎に緊張感が高まっていく。”イッツ・オール・ライト・ウィズ・ミー”と同じようであるが、こちらは緊張感の中にも寛ぎと和やかさが失われていないところが素晴らしい。

 ■6)You Tube
 今は、フル・アルバムが上がっています。
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« JBL2405の固定 | トップ | 今日は、鶴見緑地へ »
最新の画像もっと見る

ジャズ」カテゴリの最新記事