今回はLT Spiceを使ってバタワースフィルタの次数別(Q値別)の振幅(ゲイン)、矩形波応答、群遅延特性について調べてみます。
尚、使用した伝達関数は、以下から引用。8/2 ■8)■9)追記 8/7 赤字追加、縦軸dbのTgのグラフを■3)■6)に追加。
https://cc.cqpub.co.jp/system/contents/2067/
■1)バタワースフィルタの次数別の振幅(ゲイン) 偶数次数
LT Spiceは回路で出すのではなく、伝達関数でフィルタを表わしました。回路で解析するよりより一般的に解析できます。カットオフは604のLFのLPFで使っている1.8KHzです。点線は位相です。

2次は黄緑線、4次は紺色線、6次は赤線、8次は水色線です。
スロープは2次はー12db/Oct、4次は-24db/Oct、6次は-36db/Oct、8次はー48db/Octです。バターワースフィルタのメリットである所望する減衰特性が選べます。
■2)バタワースフィルタの次数別の矩形波応答 偶数次数
これは、

ゲインと同様、2次は黄緑線、4次は紺色線、6次は赤線、8次は水色線です。
2次でもオーバーシュートがありますが、次数が上がるに従ってオーバーシュートが大きくなっています。
■3)バタワースフィルタの次数別の群遅延(Tg)特性 偶数次数
これは、
ゲインと同様、2次は黄緑線、4次は紺色線、6次は赤線、8次は水色線です。10Hz切片では2次は125μs、4次は230μs、6次は342μs、8次は452μsです。
2次ではカットオフ(1.8KHz)附近のピークは小さいですが次数が上がるに従ってピークが大きくなっていきます。高次になると時間的波形が大きく歪むことを示しています。
群遅延時間(Tgとします)も次数と共に上がっていきます。一定値である限り値自体が大きくなることは波形を保つには関係ないですがピークについては位相歪の原因になるので避けたいです。
因みに以下のように縦軸dbの場合スロープは次数によらず~ー12db/Octとなります。

■4)バタワースフィルタの次数別の振幅(ゲイン) 奇数次数
これは

1次は黄緑線、3次は紺色線、5次は赤線、7次は水色線です。
スロープは1次はー6db/Oct、3次は-18db/Oct、5次は-30db/Oct、7次はー42db/Octです。バターワースフィルタのメリットである所望する減衰特性が選べます。
■5)バタワースフィルタの次数別の矩形波応答 奇数次数
これは

1次は黄緑線、3次は紺色線、5次は赤線、7次は水色線です。
傾向は■3)の偶数次数のものと全く同じで、1次のみオーバーシュートが無いですが、次数が3から上がるに従ってオーバーシュートが大きくなっています。
■6)バタワースフィルタの次数別の群遅延(Tg)特性 奇数次数
これは

1次は黄緑線、3次は紺色線、5次は赤線、7次は水色線です。10Hz切片では1次は88μs、3次は180μs、5次は288μs、7次は398μsです。
傾向は偶数次数の場合とほぼ同じ。違っているのは、1次でカットオフ附近に近づくとピークはなく単調に下がっていきます。
群遅延時間が一定ということを位相歪的に最重要視したいという観点では、1次と2次の間が最も群遅延時間がコンスタントになっていると考えます。
従って最適値は、1次と2次の間と言うことです。
因みに以下のように縦軸dbの場合スロープは次数によらず~ー12db/Octとなります。

■7)バタワースフィルタの次数別の群遅延(Tg)特性のグラフ
これは、以下。3次以降のQ値については最終段のものを使用した。

上が次数別のTgで、下はQ値を横軸にしたTgです。
両方、ほぼリニアーに上がっていくことが判りました。最適値が1次(Q=~0.5)と2次(Q=0.707)の中間ということで考えると、位相歪(時間的波形が歪まない)を最重要視したQ値の最適解は0.6附近と考えられます。
尚、人間の聴覚が、どれくらいの群遅延時間を検知出来るかについてはCCIR 1974年勧告を参照すれば、概ね遅延時間の最小値との差が8ms以下であれば高品質信号伝送線の満たすべき条件を満たすと言うことなので8次でもそこまでは行かないが、位相歪の観点では高次は良くない。位相歪みは定位に影響すると言われています。
■8)バタワースフィルタの次数別のパルス応答 偶数次数
これは以下。入力パルスは、1Vピークで立上り35μs、保持2μs、立下り35μsです。これはWGのパルスを想定。

2次は黄緑線、4次は紺色線、6次は赤線、8次は水色線です。
7/28にアップした 大川電子設計製作さんのHPからのパルス応答と同じようなデータと思います。
アンダーシュートが全て出ており次数順に大きくなっていきますが、これは群遅延が一定でないからです。
■9)バタワースフィルタの次数別のパルス応答 奇数次数
これは、以下。

黄緑色の1次では群遅延の周波数特性でピークが生じないことを反映しアンダーシュートのない応答ですが、3次の紺色線ではアンダーシュートが出ています。3次以降、5次赤線、7次水色線とアンダーシュートが順に大きくなっていきますが、これは群遅延のピークが大きくなっていくからです。
尚、使用した伝達関数は、以下から引用。8/2 ■8)■9)追記 8/7 赤字追加、縦軸dbのTgのグラフを■3)■6)に追加。
https://cc.cqpub.co.jp/system/contents/2067/
■1)バタワースフィルタの次数別の振幅(ゲイン) 偶数次数
LT Spiceは回路で出すのではなく、伝達関数でフィルタを表わしました。回路で解析するよりより一般的に解析できます。カットオフは604のLFのLPFで使っている1.8KHzです。点線は位相です。

2次は黄緑線、4次は紺色線、6次は赤線、8次は水色線です。
スロープは2次はー12db/Oct、4次は-24db/Oct、6次は-36db/Oct、8次はー48db/Octです。バターワースフィルタのメリットである所望する減衰特性が選べます。
■2)バタワースフィルタの次数別の矩形波応答 偶数次数
これは、

ゲインと同様、2次は黄緑線、4次は紺色線、6次は赤線、8次は水色線です。
2次でもオーバーシュートがありますが、次数が上がるに従ってオーバーシュートが大きくなっています。
■3)バタワースフィルタの次数別の群遅延(Tg)特性 偶数次数
これは、

ゲインと同様、2次は黄緑線、4次は紺色線、6次は赤線、8次は水色線です。10Hz切片では2次は125μs、4次は230μs、6次は342μs、8次は452μsです。
2次ではカットオフ(1.8KHz)附近のピークは小さいですが次数が上がるに従ってピークが大きくなっていきます。高次になると時間的波形が大きく歪むことを示しています。
群遅延時間(Tgとします)も次数と共に上がっていきます。一定値である限り値自体が大きくなることは波形を保つには関係ないですがピークについては位相歪の原因になるので避けたいです。
因みに以下のように縦軸dbの場合スロープは次数によらず~ー12db/Octとなります。

■4)バタワースフィルタの次数別の振幅(ゲイン) 奇数次数
これは

1次は黄緑線、3次は紺色線、5次は赤線、7次は水色線です。
スロープは1次はー6db/Oct、3次は-18db/Oct、5次は-30db/Oct、7次はー42db/Octです。バターワースフィルタのメリットである所望する減衰特性が選べます。
■5)バタワースフィルタの次数別の矩形波応答 奇数次数
これは

1次は黄緑線、3次は紺色線、5次は赤線、7次は水色線です。
傾向は■3)の偶数次数のものと全く同じで、1次のみオーバーシュートが無いですが、次数が3から上がるに従ってオーバーシュートが大きくなっています。
■6)バタワースフィルタの次数別の群遅延(Tg)特性 奇数次数
これは

1次は黄緑線、3次は紺色線、5次は赤線、7次は水色線です。10Hz切片では1次は88μs、3次は180μs、5次は288μs、7次は398μsです。
傾向は偶数次数の場合とほぼ同じ。違っているのは、1次でカットオフ附近に近づくとピークはなく単調に下がっていきます。
群遅延時間が一定ということを位相歪的に最重要視したいという観点では、1次と2次の間が最も群遅延時間がコンスタントになっていると考えます。
従って最適値は、1次と2次の間と言うことです。
因みに以下のように縦軸dbの場合スロープは次数によらず~ー12db/Octとなります。

■7)バタワースフィルタの次数別の群遅延(Tg)特性のグラフ
これは、以下。3次以降のQ値については最終段のものを使用した。

上が次数別のTgで、下はQ値を横軸にしたTgです。
両方、ほぼリニアーに上がっていくことが判りました。最適値が1次(Q=~0.5)と2次(Q=0.707)の中間ということで考えると、位相歪(時間的波形が歪まない)を最重要視したQ値の最適解は0.6附近と考えられます。
尚、人間の聴覚が、どれくらいの群遅延時間を検知出来るかについてはCCIR 1974年勧告を参照すれば、概ね遅延時間の最小値との差が8ms以下であれば高品質信号伝送線の満たすべき条件を満たすと言うことなので8次でもそこまでは行かないが、位相歪の観点では高次は良くない。位相歪みは定位に影響すると言われています。
■8)バタワースフィルタの次数別のパルス応答 偶数次数
これは以下。入力パルスは、1Vピークで立上り35μs、保持2μs、立下り35μsです。これはWGのパルスを想定。

2次は黄緑線、4次は紺色線、6次は赤線、8次は水色線です。
7/28にアップした 大川電子設計製作さんのHPからのパルス応答と同じようなデータと思います。
アンダーシュートが全て出ており次数順に大きくなっていきますが、これは群遅延が一定でないからです。
■9)バタワースフィルタの次数別のパルス応答 奇数次数
これは、以下。

黄緑色の1次では群遅延の周波数特性でピークが生じないことを反映しアンダーシュートのない応答ですが、3次の紺色線ではアンダーシュートが出ています。3次以降、5次赤線、7次水色線とアンダーシュートが順に大きくなっていきますが、これは群遅延のピークが大きくなっていくからです。
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