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オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

ザ・ニューボーン・タッチ

2017-09-03 09:06:42 | ジャズ
 今回は、ザ・ニューボーン・タッチの話です。勿論、フィニアス・ニューボーンJr.のピアノトリオの作品です。

 ■1)フィニアス・ニューボーン・Jrのこの作品を作る前後の背景
 (敬愛する岩浪 洋三さんが’77年にフィニアス存命当時執筆されたライナーノーツ(本LPの)を本紹介全般で引用・改変しています)
 フィニアスは、’56年にデビューLP”ヒア・イズ・フィニアス”を録音した後、RCAやルーレットにLPを残した。コンテンポラリーレコードの社長のレスター・ケーニッヒは、’61年にフィニアスに会い、彼のピアノが気に入って契約し、ハワード・マギーの2作にサイドメンとして起用した後、’61年10月に”ア・ワールド・オブ・ピアノ”を、コンテンポラリーの第一作として録音した。第二作は、’62年の”グレート・ジャズ・ピアノ”で本作は第三作になる。
 彼は’64年に本LPを録音した以降精神病院への入退院を繰り返し、ケーニッヒとの友情はその後も続き、’69年にフィニアスが精神的にも立ち直ったのを見届け、’69年2月についにその頃は、幻のピアニストと思われていたフィニアスの久方ぶりのレコーディングを実現させた。フィ二アスは、スタジオに入るや、自由に弾きまくり15曲がテープに収められた。内8曲が、”プリーズ・センド・ミー・サムワン・ツー・ラブ”に収められ、残りの7曲は’75年になって日本発売で”ハーレム・ブルース”(SJゴールドディスク)としてLP化された。これは推測ですが、SJの編集長も経験した岩浪さんも作れと声を上げた一人と思う。フィニアスのLPリストを再度掲載。


 ■2)フィニアスの奏法
 ジャズピアノと言えば、アート・テイタムがその両手をフルに活用したダイナミックで立体的な演奏が有名である。後に、モダン・エイジに入ると、バド・パウエルがビバップスタイルを確立して、ホリゾンタルな右手のシングル・トーンによるヴァリエーショナルなアドリブを流行らせ、多くのピアニストがこれに追随した。実際には、パウエルは左手も十分に活用したプレイも残しているのだが、追随者達は専らパウエルの右手ばかりを追って、モダンジャズピアノ自体を単純化するという弊害も生んだのである。従って、スイング時代のピアニストの方がむしろピアニスティックという印象も与えるのである。
 パウエルの先生でもあったセロ二アス・モンクは、むしろヴァーティカルな奏法を持っていたのだが、パウエルの人気が高まると忘れられ、’50年代中期になってやっと正当に評価されるという始末だった。
 ’56年にデビューしたフィニアスは、パウエル流に対するアンチテーゼ的な奏法が際立っていた。彼はピアノをまたテイタムのように左右を独立させて活用するピアニスティックな奏法に戻そうと試み、ホリゾンタルなものとヴァーティカルなものを共存させるスタイルを確立し、独自の世界を築いた。

 ■3)”ザ・ニューボーン・タッチ”について
 LPのジャケットは、下記。柔和なフィニアスは和みます。これも、セブンレコードの袋に入っていますので77年に大学内のセブン・レコードで10%引きで購入したものです。

 パーソネル:フィニアス・ニューボーンJr.(ピアノ) ルロイ・ビネガー(ベース) フランク・バトラー(ドラムス)
 録音:’64年4月1日 L.A.にて。

 コンテンポラリーの第一作・第二作と同様に、本作も、他のプレイヤーが作曲したオリジナルに挑戦している。他人のオリジナルを取り上げるのを嫌がるプレイヤーもいるが、彼は積極的に挑戦するが、これはそれだけ自信があるからだろう。彼の場合は、誰の作品を演奏しても彼の個性的な表現となっている。

 ■4)”ザ・ニューボーン・タッチ”の各曲
 A面5曲、B面も5曲で計10曲収録。この中で、私のお気に入りは、特にバラッドのA面2曲目”Double Play”と4曲目の”Diane”と躍動的なA面5曲目”The Blessing”、流れるようなB面2曲目”Blue Daniel” ですが、全曲良いです。前半が岩浪 洋三さんの’77年当時の解説””、後半は私の感想です。

A- 1. A Walkin' Thing 4:35 (ベニー・カーター作、作者自身の演奏は、”Jazz Giant”にて)
 ”フィニアスの両手をバランスよく生かしたダイナミックで力強いプレイが聴ける。”

 ミディアムテンポのブルース。アドリブは軽やかでブルージーでスイングする。ハイトーンも綺麗。少しフレーズが繰り返しになっているが、まあいい。けだるいムードもある。最後はガーンで。

 A-2.Double Play 3:59 (ラス・フリーマン作、作者自身の演奏はA・プレヴィンとの”Double Play ”にて)
 ”リリカルで美しいメロディを持つ曲だが、彼はまるで2台のピアノによる演奏のような効果を出している。”

 ミディアムテンポのテーマから。少し哀愁を帯びたブルーなテーマを転がす。アドリブは、ここでも玉を転がすフレーズやスインギーなメロディーを次々に繰り出す。
 あくまで哀調を基調にした切ないメロディのテーマを素直に淡々と演じる。これがまた良いんです。

A-3. The Sermon 2:39 (ハンプトン・ホーズ作のブルース、作者自身の演奏は、”Everybody Likes Hampton Haws”にて)
 ”グルーヴィーでファンキーなフィーリングを生かして演奏している。抜群の技巧とガッツのあるタッチ、ユニークなアドリブフレーズが展開されており、フィニアスの本領発揮である。尚、左手のみの演奏。”

 少しコミカルでファンキーなテーマ。ミディアム・スローテンポ。でもピアノは、早い。アドリブもコミカル

 A-4. Diane 4:15 (アート・ペッパー作、作者自身の演奏は、”Getting Together ”にて)
 ”フィニアスのイマジネーションはバラッドを素材にした場合も限りなく広大に繰り広げられる。速い曲と共にバラッドも聴かなければ彼の真の才能は理解できない。彼自身この曲には惚れ込んで弾いたと語っている。”

 ゆっくりとしたイントロ。落ち着いた曲調のテーマへ。深い情感を秘めた、しっとりと、ゴージャスなバラード。抑えたアドリブ。最後は少し粘るが詩情を持って終わる。

A-5. The Blessing 3:09 (オーネット・コールマン作、作者自身の演奏は、”Something Else!!!! ”にて)
 ”アグレッシブで躍動的な演奏であり、Dsのフランク・バトラーとのインタープレイが焦点となっている。”

 軽やかなテンポのスイング。アドリブに入ってからは、本領発揮。多彩多様。自由自在。ドラムも4バースで頑張る。

 B-1. Grooveyard 3:09 (黒人ピアニスト、カール・パーキンス作、作者自身の演奏は、”Harold Land's ob Jazz”にて)
 ”グルーヴィーな曲で、彼はブルーなムードを込めながら力強いタッチの中にセンシビリティーを発揮しながら弾いている。”

 イントロが印象的。ミディアムスローの少し気だるいテーマで始まる。ブルースフィーリングを基調にアドリブは、玉を転がすようなフレーズ、きらびやかなハイキーも鏤めてしめやかに進めていく。淡々としたムードが胸にしみる。

B-2. Blue Daniel 3:22 (Tbのフランク・ロソリーノ作、作者自身の演奏は、”Shelly Manne & His men at Black Hawk Vol.1”にて)
 ”ミディアム・ファースト・テンポで流れるような華麗なアドリブを繰り広げている。クリアーな音の美しさが際立っても居る。”

 ワルツ調のイントロで始まる。アドリブに入ると軽快にスイングする。玉を転がすアドリブが冴える。

B-3. Hard To Find 4:04 (bで参加の、ルロイ・ビネガー作、作者自身の演奏は、”Leroy Walks Agein!”にて)
 ”スインギーで爽やかな雰囲気の演奏に纏め上げている。”

 ミディアム・ステンポ。テーマを暫し。軽快に玉を転がす。力強いタッチで弾きまくる。

B-4. Pazmuerte 3:32 (黒人Asのジミー・ウッズ作、作者自身の演奏は、”Conflict”にて)
 ”タイトルは、スペイン語の”平和と死”を合体したもので演奏にも強くスペイン色が反映されている。変化に富むリズムが生されており、バトラーとの絡み合いが聴き所となっている。”

 スローなイントロ。少し、もの悲しいテーマから。途中から力強いタッチに変わる。ドラマチックな曲調になっていく。ガーンという破綻音で終わる。

 B-5. Be Deedle Dee Do 4:06 (gのバーニー・ケッセル作、作者自身の演奏は、”ザ・ポール・ウイナーズ・ライド・アゲイン”にて)
 ”ハッピーなフィーリングを持ったブルースで、原曲に触発されて彼はのびのびと自由奔放にアドリブを繰り広げており、彼がグルーヴィーなブルースも得意にするピアニストであることが示されている。しかし、両手をバランスよく生かしたプレイには彼らしい構成美が感じられる。”

 これもミディアム・ステンポ。少し気だるいムード。アドリブも淡々としているが、多彩なテクニックを伺わせるスインギーな演奏。


 ■5)You Tube
 現在は、A面2曲目、B面1曲目、5曲目以外は、上がっています。




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ア・ワールド・オブ・ピアノ フィニアス・ニューボーン・Jr

2017-08-10 15:06:13 | ジャズ
 今回は、待望の”ア・ワールド・オブ・ピアノ”です。そう、ソニー・ロリンズで言えば、丁度”サキソフォン・コロッサス”に当たると思いますが、代表作であり、最高作といってもいいと思います。勿論、”ハーレム・ブルース”の方が最高だという人もいるとは思いますが。これを聴くと、他の誰のピアノトリオのアルバムを聴いてもそれが色褪せます。

 ■1)ア・ワールド・オブ・ピアノの位置づけ (以下は、大和 明氏の解説等を参照して一部改変しています。)
 8/2にフィニアスの2回目にアップした’56年のデビューアルバム”ヒア・イズ・フィニアス”で’56年に奇しくも亡くなった”テイタムの再来”などと騒がれたが、5年後の本アルバムの彼は、プレイに風格と余裕が生まれてきており、一段とスケールが大きくなっている。このアルバムを聴いたスリー・サウンズのピアニストであるジーン・ハリスは『これは今までのジャズに起こった最も偉大なことだ。まさに現在プレイしている最高のピアニストである。あらゆる敬意を払って、凄い人だといえる。全く美しい。素晴らしいジャズミュージシャンだ』と絶賛した通り、正にこれは見事なまでのピアノトリオによるアルバムなのだ。

 ■2)ア・ワールド・オブ・ピアノの作成経緯
 フィニアスは、’56年にデビューしてから4年間をニューヨークにて活動し、’60年頃から南カリフォルニアに移住した。ここで、コンテンポラリー・レコードのオーナー、レスター・ケーニッヒに出会い、その将来性を認めたレスターは、早速自分のレーベルのレコーディングに参加させた。その後、正式に契約を結んだ。そして、レスターはアートペッパーの復帰を’57年に画策して、マイルスのザ・リズムセッッションが西海岸に来演したときにペッパーと共演させた時と同じように’61年にフィニアスをマイルスのザ・リズムセッッションである、フィリー・ジョーとチェンバースを招聘してフィニアスと共演させた。それが、このアルバムのA面の4曲です。また、1ヵ月後にキャノンボール・アダレー・クインテットがハリウッドにきていた時に、そのリズムセクションのベース・ドラムスと共演させたのが、B面の4曲です。
 尚、フィニアスは、’60年代は精神分裂病で殆どプレイできない状態であったが、地元に戻り半ば引退状態であった彼を復帰させるべく、’69年に再びアルバム作りの場を用意したのもレスターです。この頃のプロデューサーのジャズメンに対する愛は尊敬できます。そこでレコーディングされたのが、”Please Send Me Someone to Love”です。これは素晴らしいアルバムだと、後に元々同日のセッションにおいてお蔵入りになっていた録音を集めて半ば強引に日本向けに発売された経緯のあるのが、『Harlm Bluse』であるわけですけど、セッションの最初の頃と終盤にかけて録音されたものが多い。しかし、『Harlm Bluse』の方が、SJゴールドディスクに輝いているなら、”Please Send Me Someone to Love”の方がいいという人もいるので、その当りは個人の好みの問題ですかね。尚、このセッションでフィニアスと初顔合わせのレイブラウンは、この後、何回もフィニアスのレコーディングに参加し、彼の復帰を支え続けた。以下、アルバムリストを再掲載。


 ■3)ア・ワールド・オブ・ピアノ
 ジャケットは以下。

 A1-A4
PHINEAS NEWBORN JR(p) PAUL CHAMBERS(b) PHILLY JOE JONES(ds)
recorded 1961/10/16
 B1-B4
PHINEAS NEWBORN JR(p) SAM JONES(b) LOUIS HAYES(ds)
recorded 1961/11/21
 このアルバムでお気に入りなのは、B4のカブーです。この中高速のテンポのウキウキするスイング感と両手のユニゾンが堪りません。ウィ・スリーのアワー・デライトも同じような浮遊感があります。勿論、バラード好きの私の好きな”ラッシュ・ライフ”での心に響く情感や、”ダホード”の勢いに圧倒されたりの、”ギャップ”を楽しめるのもこのアルバムの楽しみ方の一つですが。

 録音は、Howard HolzerとRoy Dunannという2名ですが、’61年録音では信じられない位の凄く良い音で録音されていると思います。ジャズをちゃんと録音しようという気概を感じます。とにかく、眼前にトリオが現れる凄い録音です。(アナログ特有のテープヒス・歪・ドロップアウトはあるとしても)

 最初に、大和 明氏の解説を、後半に私の感想を簡単に記載。

 A- 1.チェリル "Cheryl" (Charlie Parker) – 3:44
 ”チェンバースのアイデアによるベースとのユニゾンで始まるテーマの扱いが実に新鮮だ。ブロック・コード・スタイルを織り交ぜたフィニアスが快調そのもののブルースを弾きこなしている。”

 バードとは違ってクールな味付けの力強いプレイ。スインギーにアップテンポでアドリブを崩していくが、その変化の付け方が凄い。どんな形にも料理できるシェフ。リズムのバリエーションも多いし、それを生かせるテクがある。
 
 A- 2.マンテカ "Manteca" (Dizzy Gillespie, Gil Fuller, Chano Pozo) – 4:18
 ”フィニアスは、このガレスビー楽団のヒット・ナンバーをそのビッグ・バンド・サウンドに挑戦するかのように、思いっきりダイナミックに熱気を帯びたプレイを聴かせる。”

 身体が踊りだすようなラテン系のリズムに乗ってウキウキしたテーマで始まる。リズムセクションと一体となって疾走していくが、音に深みがある。力強くブラックフィーリングたっぷりのグルーブ感と両手のオクターブ・ユニゾン。流石マイルスのザ・リズムセクション、フィニアスのプレイに素晴らしいドライブ感を与える。

 
 A- 3.ラッシュ・ライフ "Lush Life" (Billy Strayhorn) – 6:40
 ”ルバート・テンポで入るバースの部分は内省的なムードをたたえながらも、テイタム的な華麗さを示す。この部分のハーモニックな構成と共通点があるとのことで、彼はここでラヴェルのソナチネの一部を使っている。”

 このバラードにはノックアウトされた。ソナチネの引用のイントロは、迷っている時のスガチン(菅野邦彦)並みに長い。リズムが加わった瞬間に解れる。色を宝石のようにドンドン重ねていって、音に深みがあるバラード。心に響く。華麗でゴージャス。

 A- 4.ダホード "Daahoud" (Clifford Brown) – 4:40
 ””ヒア・イズ・フィニアス”でも録音したことのある曲の新ヴァージョン。きびきびとしたフィニアスとフィリー・ジョーとの絶妙なコンビネーションが聴きもの。”

 勢いに圧倒された。速いフレーズの魅力・4バースの魅力・アドリブの魅力。ドラムの後の決めもカッコいい。ここまでは通常の人間では弾けないであろうという超絶テク。両手のユニゾンと疾走感。シビレル。

 B- 1.オレオ "Oleo" (Sonny Rollins) – 3:02
 ”急速なテンポに乗って、トリオの3人が見事な駆け引きを演じる。この曲を演奏する時の通常の形に従って、ピアノとベースのデュオに加え、サビでドラムスが加わるが、寸分の狂いもないタイミングの良さはまるでレギュラー・グループのように聴こえる。”

 アップテンポのテーマ。そこからは、高速オレオのオンパレード。どこまで早く指を走らせられるかに挑戦しているようなチャレンジングな指使い。これぞフィニアスの真骨頂。テクだけではないアドリブのアイデアも泉の如く。お約束の4バースも入ってフィリーJ並みの小気味良い切れ切れのドラミング。最後テーマに戻ってもひたすら走りっぱなしでエンドへ。

 B- 2.ジューシー・ルーシー "Juicy Lucy" (Horace Silver) – 4:50
 ”ファンキー・ナンバーだが、フィニアスのプレイはリラックスしたムードによる表現を試みている。”

 ミディアムテンポのテーマが力強いタッチで流れ、ファンキーでリラックスした乗り乗りのアドリブも変化に富み、余裕綽綽。クルービー!どこまで湧いてくるの?と聞きたくなる。チェンバースと思わせる落ち着いたジョーンズのベースソロも途中に挟んで、テーマに戻って、オーソドックスにドラムの1発でエンド。

 B- 3.フォー・カール "For Carl" (Leroy Vinnegar) – 7:27
 ”ヴィネガーが、故カール・パーキンスを偲んで書いた曲。シンプルで親しみやすいワルツタイムの曲であり、フィニアスは実に美しく、可憐さとちょっとした哀愁を漂わせながら、華麗なテクニックを披露している。”

 スガチン(菅野邦彦)のフィンガーポッピングの2曲目にも同曲があるが、スガチンは日本人の郷愁を刺激するセンチメンタルな装飾過多のアドリブに行ってしまうが、フィニアスは、そこを我慢して抜いているところが堪らん。でも、後半超絶テクの片鱗も所々に散りばめてくる。それにしてもアドリブアイデアは無限に溢れてくる。

 B- 4.カブー "Cabu" (Roland Alexander) – 4:53
 ”ボストンのテナー奏者のR・アレキサンダーの曲。フィニアスは、彼独自の2オクターブの間隔をとった両手のユニゾン・ラインを駆使し、流れるようにスイングしている。”

 この曲が一番お気に入り。ウィ・スリーの最後の曲でお気に入りの”アワー・デライト”と似たムードの曲。ミディアム・ファーストのテーマでスタート。アドリブ・メロディも変化に富んで多彩。4バースもフィリーJよりは切れは劣るが、別の味がある。心がウキウキするフレーズが次々に湧いてくる。ベースソロも途中に入るが、チェンバースとは違って、前乗りというか突っ込み気味ではあるが、ピアノの寄り添いとも会話して乗りはすこぶる良い。ドラムのフォローでエンド。

 ■4)You Tube
 A面が、SIDE1として、B面は、SIDE2として、全曲上がっています。
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アイ・ラブ・ア・ピアノ  フィニアス・ニューボーン・Jr

2017-08-07 09:18:25 | ジャズ
 今回も、フィニアスのリラックス系のアルバムから、アイ・ラブ・ア・ピアノです。このアルバムは、最初に紹介した、ピアノ・ポートレイト・バイ・フィニアス(’59年6月) と同じレーベルのルーレットから同年10月にリリースしたアルバムで、メンバーも同じで同じリラックスしたプレイを聴かせてくれます。サイドメンがスタープレイヤーでエネルギッシュにリズムを採ると、フィニアスもそれに釣られて気合を入れるので構えたプレイになる。こちらも聴くのにある種の覚悟を必要とするが、そうでない場合はフィニアスもリラックスして本来の唄心を見せる。

 ■1)アイ・ラブ・ア・ピアノ
 LPジャケットは、以下です。如何にも彼がピアノを愛しているというのを、女性を象徴的に使ってベタですが、示しています。カッコいい!何気なく見ている時は、写真に見えましたが、よく見るとピアノは絵のようです。女性も写真をベースに絵にしたように見えます。

 パーソネル:フィニアス・ニューボーンJr.(P) ジョン・シモンズ(B) ロイ・ヘインズ(DS)
 キャッチコピー (JazzTrainというお店のを拝借)
 ”不世出の名ピアニスト、フィニアス・ニューボーンJr.がルーレットに残した珠玉のピアノ・トリオ第2弾。「A列車で行こう」、「浮気はやめた」などのスタンダード・ナンバーで、卓越したピアノ・テクニックを味わえる。ジャケットも秀逸。"
 バラード大好きな私は、この中で特にラストの”Give Me The Simple Life ”と5曲目の”The Midnight Sun Never Sets ”がお気に入りです。疾走系の7曲目”Undecided”や、1曲目の”Take The "A" Train ”もいいですね。全曲素晴らしいです。
 LPのライナーノーツでは、間 章氏が、グールドも”僕のこれからの最大の相手は、パウエルだ”と言って、至高の領域に向かってゆく天才がそこに到達すべく狂気にまで至ることを、ピアニストの栄光と悲惨の頂点にある例外的な人間と言って表現した。そして、フィニアスも、単にジャズピアノの名手である、テイタム、ハインズ、ピーターソンの序列からパウエルの方に身を乗り出しているもう一人のピアニストと言うことが可能であると論じた。私は、間氏ほどフィニアスを理解している訳ではありませんが、ルーレットの2枚はお気に入りで、イージーリスニングなどという人もいますが、私はイージーリスニングなどと思ったことは一度もありません。まあ、ワールド・オブ・ピアノとか、ハーレム・ブルースとは、毛色は違いますが。

 ■2)アイ・ラブ・ア・ピアノの各曲

A-1 Take The "A" Train / A列車で行こう
 しゃれた繰り返しのイントロの後、少しアップテンポのテーマより入る。軽快そのもののスイング感で疾走する。勿論フィニアスの最高スピードからは程遠い。その分余裕があり、随所に一見そんなに崩していないようで深みのあるアドリブフレーズが聴こえる。これはノリがカッコいいし、心がウキウキするスイング感がある。

A-2 Gee Baby Ain't I Good To You / ジー・ベイビー・エイント・アイ・グッド・トゥ・ユー
 ゆっくりしたスローなイントロから、しっとりとしたテーマとなる。ゴージャスでハイキ-のキラキラしたフィニアス特有の上品な玉を転がすようなアドリブ。ブルージーな静かな曲をしっとりと唄心たっぷりに聴かせる。

A-3 Ain't Misbehavin' / 浮気はやめた
 短いアドリブの後、スローテンポでリラックスした力強いトーンでアドリブをしているグルービーなフレーズにうっとり。自然に身体が揺れてくる。ここでもハイキーを上手く使った玉をころがすような自由自在のアドリブが冴えわたる。

A-4 I've Got The World On A String / アイヴ・ガット・ザ・ワールド・オン・ア・ストリング
 ミディアム・スローのイントロ。テーマは、甘いメロディである。アドリブもリラックスした余裕のあるもので、余り崩してはいない。ほとんどストレートのメロディに近い。ここにフィニアスの唄心が表れている。エンディングもキラキラフィーリングのドリーミングなエンディング。

A-5 The Midnight Sun Never Sets / 真夜中の太陽は沈まず
 密やかに、やさしいイントロから、スローなバラードに入る。テーマを優しく唄うフィニアス。正に、ゴージャスな仲にノスタルジックな情感を込めて唄心たっぷりに歌ってくれる。全てフィニアスに委ねる。そんな曲。アドリブも最小限しかありませんが、わずかに垣間見せるテクニックが光る。エンディングもノスタルジックでドリーミングで密やかに。

B-1 Real Gone Guy / リアル・ゴーン・ガイ
 ミディアムファーストのテーマからスタート。軽快に速いフレーズを疾走するフィニアス。短いがアドリブもしっかりやっている。

B-2 Undecided / アンディサイデッド
 軽快なイントロよりスタート。コロコロしたフレーズをリズミカルにプレイしていてスイング感満載。ここからアドリブというところで期待が高まる。ここは上質なアドリブを披露するが、クリシェが感じられないヴァリエーション∞なアドリブ。

B-3 Ivy League Blues / アイヴィ・リーグ・ブルース
 テーマをゆったりと始める。アドリブはスインギーでファンキーなムードであるが、珍しく少し気だるいフレーズになる。でも、飽きさせないフレーズを散りばめている。落ち着いて聴かせる曲で、淡々とアドリブをこなしている。

B-4 Love And Marriage / 恋と結婚
 ミディアムテンポの出だし。アドリブパートは印象的な繰り返しフレーズを飽きさせずに、ヴァリエーションを与えて弾く。ハイキーを上手くアクセントに使っている。あっという間にベースの洒落たフレーズと共にエンディング。

B-5 Give Me The Simple Life / ギヴ・ミー・ザ・シンプル・ライフ
 この曲が、このLPで一番好きです。ファンキーでスインギーなウキウキするような気持ちにさせるタッチ、メロディ。美しい静かなイントロより、密やかにスタートする瞬間がゾクっとする。スインギーにテーマを滑らせる。テンポの良いハイキーでアクセントを付けたアドリブフレーズが心地よい。ベースとシンバルのリズムとの会話もあって、気持ちよくスイング。エンディングも粋なシンバルの後のジャーンで、カッコ良い。プレイ自体も題名通りシンプル。

 ■3)You Tube
 全曲は上がっていませんが、A-1,A-5,B-2,B-5は上がっています。
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ウィ・スリー Byロイ・へインズ/フィニアス・ニューボーンJr/ポール・チェンバース

2017-08-03 20:47:44 | ジャズ
 今回も、フィニアス・ニューボーンJrで、ロイ・へインズがリーダーのアルバムにフィニアスが参加した”ウィ・スリー”の紹介です。このアルバムは、最初に紹介したピアノ・ポートレイツ・バイ・フィニアスとドラマーが同じロイ・へインズですので、やはりリラックス系ですが、1曲目からのけぞる程の感動のアルバムです。

 ■1)アバウト、ロイ・へインズ 以下、ウィッキペディアより抜粋
 ロイ・ヘインズ(Roy Haynes, 1925年3月13日 - )は、アメリカのジャズミュージシャン、ドラマー。アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン生まれ。

 1940年代半ばからルイス・ラッセル、レスター・ヤングらと活動したのち、1949年から1953年にビバップの最重要人物、チャーリー・パーカーのグループで活躍した。その後もマイルス・デイヴィスやサラ・ヴォーン、ジョン・コルトレーン、セロニアス・モンク、エリック・ドルフィー、チック・コリア、パット・メセニーなどの重要レコーディングに参加するなど、90歳を超えた現在でもジャズシーンの先端を行く貴重なミュージシャンである。
 以下は、このアルバムに関係する部分のみを抜書きします。
 1952年からはエラ・フィッツジェラルドのバックを務め、エラの伴奏という経験を生かし1953年からサラ・ヴォーンの専属伴奏者となる。サラのバンドには1958年まで在籍、その後ヘインズは再びニューヨークのジャズ・シーンにカムバックを果たす。
 この年の彼はそれまでにないほど精力的にクラブ・ギグをこなしている。まずはフィニアス・ニューボーン・ジュニアを迎えて自己のトリオ(ベースはポール・チェンバース)を結成したヘインズは、4月「ファイブ・スポット」にレギュラー出演し、それは秋になって毎週月曜の「バードランド」でのギグに継続されていく。そして11月にはこのトリオで初のリーダー・アルバム「ウィ・スリー」(プレスティッジ)を残している。また夏には伝説的なセロニアス・モンク・カルテット(ジョン・コルトレーンが参加)の一員として「ファイブ・スポット」で演奏。その他にもマイルス・デイビスやリー・コニッツのグループに入って積極的に一線への復帰を果たしたのだった。

 ■2)ウィ・スリー
 ロイ・ヘインズのリーダー作といえば、『アウト・オブ・ジ・アフタヌーン』が筆頭格ですが、それに続くのがピアノ・トリオの人気盤『ウィ・スリー』です。ロイには申し訳ないのですが、『ウィ・スリー』といわれて思い浮かぶのは、やっぱりフィニアス・ニューボーン Jr. のきらびやかなピアノです。また、メンバーは、バップからフリージャズまでこなす伝説のドラマー”ロイ”と、超絶テクニックを持つ”フィニアス”と神童”チェンバース”のトリオですので、名盤の予感がします。聴いていると、3人のパワーが合体して、何倍ものエネルギーとなって放射されるかのようなユニットとしての力強さを感じる。しかし、この3人はこれ以降2度と顔を合わせなかったということは残念です。又、一番若いチェンバースが真っ先にこの世から去ってしまうのも悲しい。
 パーソネル
 フィニアス・ニューボーンJr(1931~89)(p)
 ポール・チェンバース(1935~69)(b)
 ロイ・ヘインズ(1925~)(ds)
 ジャケットは、下記。神童チェンバースが頭一つ大きいですし、長い右手でフィニアスとロイを鷲掴みにしています。


 ■3)ウィ・スリーの各曲
 ”ワールド・オブ・ピアノ”などのハードなものとは違って、ちょっと引いた感じでゴリゴリ感が少ないのが今は好きです。この中では、やはり1曲目のReflectionが、思わずのけぞります。また、2曲目のSugar Ray も良いです。この2曲は、ジャズピアニストの松本茜さんも好きだとのこと。6曲目のOur Delight の冒頭部の切れ込みとウキウキムードのアドリブがカッコいい。その他の曲も勿論このメンバーで外れは無いです。

01. Reflection (music: Ray Bryant)
 アフリカンリズムを思わせるアーシーなドラムのイントロでスタート。”ソー・ファット”の最初のようなフレーズのベースでリードされたピアノがテーマを流す。アドリブに入ると、緊張感に溢れた物悲しいアドリブを次々に繰り出す。あまりのカッコ良さに、のけぞります。せつないメロディー、抜群のアドリブ・センス、そして、次第に、マシンガンのような指さばきが炸裂 時に豪快に、時に小気味よくスイングする。後半のマックス・ローチばりのメロディアスなドラムスもロイ特有のアーシーさも加わって聴き所。
 ジャズ・ピアニストの松本茜さんは、高校生の時にMDにこの曲を入れてこれを聴きつつ登校したとか。

 この曲は、レイ・ブライアントの曲ですが、彼が初めて日本でレコーディングした”オールマイン・アンドユアーズ”というアルバムでのみ、Reflectionを演奏していると思うのですが、もし他のアルバムで彼がこの曲をプレイしているのをご存知なら教えてください。

02. Sugar Ray (music: Phineas Newborn, Jr.)
 ゆっくりとしたテンポのコミカルな自然に体が揺れてくるイントロでテーマを滑らせる。ブルージーなテーマをスインギーにプレイする。あくまでリラックスしたムード、泉のように湧き出る上品なアドリブ、お約束の低音が利いた遅乗り気味のウォーキングベースソロもフィニアスの寄り添いよろしく途中入って、ドラムとの楽しい会話風の掛け合いもあり、スネアのアクセントを利かせつつ楽しいエンディング。
 
 ジャズ・ピアニストの松本茜さんは、ご自分のアルバム”フィニアスに恋して”でこの曲を5曲目にプレイしています。

03. Solitaire (music: Guion, Borek, Nutter)
 スローテンポのイントロから。テーマに入ってセンチメンタルなアドリブをつむぐ。ゴージャスでブリリアントなフレーズも聴いてから、チェンバースのたたみ掛けるようなソロ、これも素晴らしい、又テーマに戻って、クライマックスの盛り上がりを音を重ねて見せてから、さりげなくシンバルのジャーンでエンディング。

04. After Hours (music: Avery Parish / words: Robert Bruce, Buddy Fayne)
 ゆっくりとしたリズムセクションに伴奏されコロコロしたイントロをしていく内に、力強いトーンのテーマに変わる。所々に速いパッセージも交えつつ、ベースとの会話もして、ブルースフィーリングタップリの鍵盤を玉のように転がすアドリブがどっからでも出てくる。フィニアスも乗っている。安定感抜群のチェンバースのソロの後、最後は、ベースとのユニゾンで絡みつつかなり粘った形でドラムと共にエンディング。

 この頃は、本当の天才を見ますね、フィニアスには。

05. Sneakin' Around (music: Ray Bryant)
 ロイのドラムから練り歩きのムードのリズムのイントロより、ミディアムテンポのテーマでアドリブに移る。そこからは、多彩な色とりどりのアドリブになる。直ぐに、チェンバースの速いテンポのベースソロになる。その後、ピアノに戻って、ロイとの軽妙な4バースになるが、ここでのフィニアスとロイは乗っている。1つ1つ違うアレンジでの4バース。ベースとのテーマに戻って、ピアノからドラムに移って珍しくフェードアウト。 

06. Our Delight (aka. Tadd's Delight) (music: Tadd Dameron)
 イントロは、フィニアスがダイナミックに切り込み、カッコいい!シンバルも隠し味。ミディアムファーストのテーマは、軽快なスピードで疾走。心がウキウキするような弾む感じのアドリブ。直ぐに4バースになりロイのドラムは早打ちタッチで変化に富みスリリング。お次は、ベースとの4バース。ロイも乗りに乗っている。フィリージョー並みの切れ切れのドラミングを披露。これを、620A+2405Hの爆音で聴く。至福のひとときが現れます。Reflectionと共にお気に入りです。

 単なるリラックス系とは一線を画す。これは、4曲目のようなブルース色の強い曲があると思えば、6曲目のように疾走感のある曲も織り交ぜているからで、名盤です。

 ■4)YouYube
 フル・アルバムは無いようですが、単曲では、全曲上がっています。
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ヒア イズ フィニアス

2017-08-02 23:23:22 | ジャズ
 前回から続けて、フィニアス・ニューボーン・Jrの作品を紹介しますが、今回はデビュー・アルバムの”ヒア イズ フィニアス”です。

 ■1)フィニアス・ニューボーン・Jrの全作品
 デビュー前にもSP盤で少しレコーディングがありますが、アルバムレベルと言う意味では、ウィッキペディア(英語版)から以下です。

 黄色でNoに八ッチングを掛けた12枚を持っています。この天才にしてリーダー作が23作しかないのは、持病の精神分裂病を患っていたことが大きいと思います。

 ■2)”ヒア イズ フィニアス”
 以下のジャケットです。

 本作の録音は、1956年5月3日、4日の両日、ニュージャージーのルディ・バン・ゲルダー(RVG)スタジオで行われました。従って、’56年にしては、録音もGoodです。アトランティックには、RVGの録音は少ないが、ジャケットの写真とデザインが名手バート・コールドブラットによる、という点も貴重です。初めてリーダーアルバムを出すフィニアスは初々しいですが、気合と言うか、入れ込みというか、熱気が感じられます。彼がアトランティックに残したアルバムは、本作のみで、5ヶ月後には大手RCAに移籍している。前回紹介したルーレットへの録音で共演したロイ・ヘインズの”ウィ・スリー”で、フィニアスが起用されるのが、’58年11月。このアルバムは、早すぎた名作だったのかもしれない。1stレコーディングでここまでやったら、後はどうなるの、という気がしませんか?

 パーソネル
 オスカー・ぺティフォード(1922~60)(b)
 ケニー・クラーク(1914~85)(ds)
 カルビン・ニューボーン(g)5月3日参加となっているが、ほとんど聴こえない。

 ■3)バート・コールドブラット (1924年に生まれ、2006年の8月に82歳で亡くなった)
 レコードの大きな魅力のひとつが、ジャケットである。1950年代から60年代にかけて、数多くのジャケットアートを手がけたのが、バート・ゴールドブラット。画家であり、写真家であり、グラフィックデザイナーであったゴールドブラットは、特にジャズの分野で多くのアルバムカバーを製作している。主にDeccaとAtlanticレコードのLPカバーに携わりましたが、特にCharlie Parker、Herbie Mann、Billie Holiday、Carmen McRae、Charles Mingus、クリス・コナーや、伝説のブルースマンと呼ばれた「ロバート・ジョンソン」などのジャケットが有名です。音楽よりもバート・ゴールドブラットのジャケットをコレクションしているマニアも多いのだそうですが、ミュージシャンたちにも気に入られBud Powell (バド・パウエル)などは”Mr. Goldblatt”なる曲も作ったそうです。本も少し書いています。

 ■4)”ヒア イズ フィニアス”の各曲
 前半にライナー・ノーツの後藤 誠氏の解説を、後半に当方の感想を記載。

 1.バルバドス (チャーリー・パーカー作のブルース)
 ”テーマのリズムはラテンだが、ソロから4ビートのスイングに移行する。ピアノ・ソロでフィニアスは、パーカーの”ブルームディド”の一節を引用するなど、並々ならぬセンスを披露する。ラスト・テーマも最初からラテンに戻るべきなのだが、ベースとドラムも揃って、うっかりしていたのか、若干遅れて入っている。”

 大好きな菅野邦彦さん(スガチン)のフィンガーポッピングにも収録(4曲目)されているが、流石にアドリブテクはフィニアスが勝る。フィニアスのアドリブは心地よく、躍動感が半端ではない。

 2.オール・ザ・シングス・ユー・アー (ジェローム・カーンの名曲)
 ”ピアノ・ソロのルバートで始まる。その後、リズムが加わりイン・テンポとなり、ピアノ・ソロとなるが、同じ音を短い間隔で繰り返し弾くなど、華麗なテクニックを披露する。ラスト・テーマも再びピアノ・ソロのルバートで余韻たっぷりに締めくくる。”

 前半は、リズム無しのソロで華麗なメロディでテーマを綴る。アドリブに入るとスイング感溢れる変幻自在のアドリブで躍動感あるリズムを操りメリハリの効いたフレーズを披露し、華麗でゴージャスなエンディング。粋だなあ。

 3.ザ・モアー・アイ・シー・ユー (古いスタンダード)
 ”無伴奏のソロ。フィニアスは、音を敷き詰めず、アルペジオと間合いを中心としたバラードに仕上げている。”

 ミディアム・スローの荘厳なテーマを、ダイナミックにアドリブしていくが、才能の萌芽という印象。

 4.セリア (バド・パウエル作)
 フィニアスらしさがよく出た名演である。ケニー・クラークもブラシに専念、バップ特有の閃きと瞬発力が溢れている。演奏の後半ではベースやドラムとの4小節交換もあって、聴く者を楽しませる。ラスト・テーマに戻る直前に、フィニアスがさりげなく引用したのは”ラフ・ライディン”のサビだ。

 これ以上指を早く回せるかに挑戦するかのような速さ。指が鍵盤狭しと躍動し、疾走し、強烈なハンマートーンを交えた抒情的メロディが炸裂する。ジャーンと音を連ねてのエンディングも印象的。

 5.ダーホウド (クリフォード・ブラウンの名曲)
 ”ピーターソンやレイ・ブライアントも取り上げているが、ピアニストで最初に取り上げたのはこのフィニアスである。スピード感溢れる名演だが、参加している弟のギターの音は全く聞こえない。”

 ブラウニーは少しためのある粘ったプレイをしていたが、フィニアスはさらっと切れのあるプレイとしている。ゆっくりとしたイントロとは対照的にテーマからは疾走感溢れるアドリブの勢いに圧倒される。超絶テクニックを披露するが、普通の人ではここまで弾けないだろう。

 6.ニューポート・ブルース (原盤のライナーは、ジョージ・ウェインが書いた)
 ”ソロ・ピアノによるアフター・アワーズ風の演奏。ジョージ・ウェインへの敬意が窺われる。”

 ゆったりとしたスローフレーズでアドリブを続けるが、宝石を鏤めたような連打系のハイキー、ゴージャスなローキーを効かせたフレーズのそこここにクールであるが唄心が見られる。

 7.アイム・ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト (デューク・エリントン作)
 ”前半のセリアに続く軽快なスインガーだ。簡単なイントロ・リフの後、速いテンポのテーマに入りピアノ・ソロとなるが、流麗なラインにキラキラと輝く音を鏤め、鮮やかな演奏に仕上げる。ラスト・テーマも最初のリフを使って上手く処理している。”

 ひたすら軽快で速いアドリブフレーズを超絶テクニックでやり通す。

 8.アフターヌーン・イン・パリ (ジョン・ルイス(MJQのリーダーでアトランティック・レコードと深い関わりを持つ)の名曲)
 ”フィニアスに録音の機会を与えることを進言したのは、ルイスかもしれない。ゆったりとしたテンポだが、フィニアスは、圧倒的な音数で、朴訥なルイスの演奏とは対照的である。テーマの所で、ギターらしき音が微かに聴こえる。”

 力みなく、軽妙なタッチ、程良いスイング感とグルーブ感は堪らない。あり余る才能を迸らせながら、多弁であるが無駄のないアドリブの数々を泉から出る新鮮な水が無限に出るように披露する。
 
 ■5)YOU TUBE
 フル・アルバムが現在は上がっています。
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