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深夜の公園――池のほとりで例によってムルとトマシーナのコンビ(注※)が喋っている。
(※ムル=都の東北を根城とするボス猫。華氏の代理であちこちに顔を出している。トマシーナ=ムルの腰巾着。オス猫だが飼い主の悪趣味で女性名を付けられた。愛称はトマ。)
トマ:ねえ兄貴、今年もそろそろ終わりだね。
ムル:ふん。いっちょまえなこと言うない。猫には暮れも正月もないのッ。それともおまえ、人間並みに年越し蕎麦でも食べたいのかよ?
トマ:いーじゃん、言ったってぇ。やっぱりさあ、人間の近くで暮らしてると、僕だって「今年は」とか「来年は」とかって考えちゃうもん。
ムル:で? まさか「今年の十大ニュース」なんて言い出すんじゃねーだろーな。
トマ:そんなことは言わないけどさ……。今年って、人間にとってヤな年だったんだろうね。て言うか、年々ヤな年になってて、今年もその地滑りを止められなかったというか、むしろ加速度がついてきたというか。
ムル:何かおまえ、華氏のバカに口調が似てきたな……。ま、いいや。なんでそう思うんだよ。
トマ:だってさ、数を頼んだ暴風が吹き荒れっぱなしって感じだったじゃん。特に総理大臣、ていったっけ、一番上の人が変わってからさ、僕なんかから見てもズルズルズルッと崖っぷちに押されて行ってるなあって。教育基本法はパッパッと変えられちゃうし、防衛庁が省になるし。そうそう、自民党が、いっぺん追い出した人を復党させたなんて話も聞いたし。
ムル:ああ、郵政造反議員の復党ってやつか。呼び戻す方も呼び戻す方、尻尾振る方も振る方。正体見たりって感じだったぜ。安倍というオッサンは何やら理屈行ってたけど、屁理屈と膏薬は何処にでもくっつく、ってやつだ。権力握ってる人間てのは、何でも正当化してしまえるんだよな~。それにしてもあれは敵失だったはずなんだけどな、そこを掴まえて押しまくれなかったのは情けねぇよなあ。
トマ:でね、今日は4人の死刑囚が、いっぺんに死刑執行されたんだって……。たくさんの人がブログで怒ってるって、華氏が言ってた。ほんと、ますます後味の悪い年になっちゃったよね。
ムル:4人いっぺんに死刑……かよ。何か乱暴な話、つーか慌ててやったっていう感じだよな。
トマ:4人同時執行って、9年ぶりなんだってさ……。ねえ兄貴、麗子さんたちと死刑廃止の話をしたの、覚えてる?
ムル:ああ、綺麗なおねえちゃん二人と、うるさい婆さんが3人でやって来た時のことだろ(9月28日付エントリ)。
トマ:あのとき兄貴、「死刑があるかないかは、国家が何によって支配されているかということです」という誰かの言葉を紹介してたよね。
ムル:ああ、安田弁護士の言葉だったかな。あのときの話でも言ったと思うけど、死刑って、国家の力がさほど強くない国、武力で支配されていない国から順に廃止されていくんだよね。安倍政権になっていっぺんに4人も死刑になったというところに、おいらは「強い国へ向かう意志」みたいなものを感じるな。
トマ:「美しい国」じゃなくって、「強い国」なんだね~。それともあの人、どっかの知事さんみたいにマッチズモに憧れてるのかな。強いことは美しい!!って雰囲気。そう言やあの人、お坊ちゃま風でケンカ弱そうだもんね。昔、自分の肉体がひ弱だってことにコンプレックス持ってボディービルやったりした小説家がいたそうだね。あげくの果てにナントカの会作って、最後は鉢巻き姿で演説して切腹したそうだけど。安倍って人もこっそりボディービルでもやってるのかしらん。
ムル:けけ、おまえもけっこう嫌味言うじゃんか。プライベートに何やってるか知らねーし、興味もないけどさ、強さへの変な憧れを持ってる奴って、ほんと始末悪いよなあ。そうそう、笑っちゃったのはさ。「この国を守る決意」つて言葉。
トマ:あ、それ知ってる知ってる。前に華氏のパソコンで覗いたことがあるよ。あの人のホームページに、おっきな字で書いている言葉でしょ。
ムル:そっ。あのオッサン、「この国を守る決意」でもって、競争があれば格差が生まれるのは当然と豪語し、教育に口を出し、愛国心を養わせ、憲法を改定しようとしているらしいや。「国を守る」であって、「国民を守る」じゃないところがポイントだよな~。
トマ:「国を守るというのは即ち国民を守ることだ。屁理屈言うな」とか、「国がダメになったら、国民全員が困るじゃないか」とかって言う人もいるんじゃない?
ムル:ふん、そりゃいるだろうよ。でもよぉトマ、「家」と「家族」は同じかよ。「東京都」と「個々の都民すべて」は同じかよ?
トマ:ぼ、僕に怒らないでよお~。めそめそ。
ムル:お、おい、泣くなよ、もう……。ガキはこれだから始末悪いや。
トマ:でもさ、「国民を守るために」憲法を変えて正式な軍隊を持とう、なんていう言い方もできるんじゃない?
ムル:そりゃそうだ。たださ、国民を守ると言った場合は、たとえアリバイ的にではあっても個々の庶民の隅々までキチッと守る姿勢を見せなきゃならないだろ。「役立たないと判断した人間」とかを切り捨てたりはできない。その点「国を守る」方はさ、少々の犠牲は付きものだとか、痛みが伴うとか、シレッとした顔で言えるじゃん。権力を持つ側が「平べったい概念」でものを喋り出す時って、要注意だとおいらは思うぜ。息をしている生身の存在が置いてきぼりにされるから。
トマ:この国って、きっと分かれ道に立たされているんだよね。
ムル:もう危ない方の道へ入っちゃった気もするけどな~。でも、まだまだ引き返せると思うぜ。人間も、足元を踏みしめる正念場じゃねぇかなあ。「国なんてなんぼのもんさ」ってうそぶいて、そっぽ向き続けた方がいい。
トマ:そんなこと言うと兄貴、猫だから無責任なこと言うって石投げられるよ……。猫には国も国境もないんだもん。
ムル:人間だって、ほんとは無いんだぞ、そんなもの。国なんてものは必要悪の幻想じゃん。「おいら、知らねーっ」と一遍言ってみたらいい。アンタに守ってもらわなくたっていいよ、って。ああだこうだと干渉され、うざったい縛りをかけられ、国益がどうのこうの、国の掟にそむく奴は非国民だのと言われるぐらいなら、国なんざなくたって一向にかまいませんよって。国が破れたって山河はあるそうじゃん。ましてや人間をや……えへ、ちょいと親鸞さんの下手な真似しちまった。
トマ:あなたに守ってもらう国なんかいらない。あなたに守って欲しくない……そうはっきり言うってことなんだね。
ムル:そうかもな。……おいら、そろそろ行くぜ。続きはまた今度話そうや。
「噂の真相」は、雅子さんの呼び捨てが気に入らないとして右翼が襲撃されたことが廃刊の理由のようでずか、実はそれは口実で「森買春疑惑」で憎悪した森氏が岡留編集長を襲わせたような噂もネット界で流れています。まあ、どのようなところが事実なのか、秘すべしがマスコミの本質になっているようです。
TBありがとうございます。これまで貴ブログには時々でしょうか、一方的にTBさせていただいていました。とても面白く読ませていただきました。
今日の状況は良し悪しはべつにして、昨年の衆院選でつくられたわけでしょうから、そうなると来年の参院選が一つの節ですね。そのために何ができるのか、知恵を結集しないとね。当面、護憲勢力の結集ということになるのでしょうか?
今後とも宜しくお願いいたします。
君に会えたときでも 会えなかったときでも
やっぱり好きなんだなって ほんわか感じたい
いろんなことをわかりたいよ
君になることはできないけど
感じていたい
人の痛みを想像して
気持ちを思う大きさがほしくて
さりげなくね がんばるから
優しく強く豊かになり
けっして孤独を感じさせないよう
さりげなくね がんばるから
こういうのが、ほんとうに「大きくて、優しくて、強くて、豊か」なことなんだと思います。
日々自分にも言い聞かせております。