華氏451度

我々は自らの感性と思想の砦である言葉を権力に奪われ続けている。言葉を奪い返そう!! コメント・TB大歓迎。

国民投票法案を上程させるな・2

2007-01-22 23:44:37 | 憲法その他法律

 ドタバタしているので、今日は簡単なメモ書きのみ。(え? おまえのブログはいつもそうだって? あは、失礼しました)

〈引き裂かれるということ〉

 一昨日のエントリ(国民投票法案を上程させるな・1)に対して、「反戦老年委員会」のましまさんが次のようなコメントを寄せてくださった。

【国民投票法案上程を阻止するのは事実上困難だと思います。野党としては、ハードルを高くする修正案をぶつけて抵抗する以外ないでしょう】(以下略)

 ましまさん、そうなのです。事実上困難……なのです。自分でもそれがわかっていながら上程阻止をいう矛盾を感じつつ、それでもなお「上程阻止」と書かずにはおれませんでした。それが正しいのかどうかは、私にはまったくわかりません。情死覚悟で理念を守るか、勝つための戦術を優先するかという問題に、思えば私はごく若い頃から引き裂かれ続けていたような気がします。

 模範解答はない。仮にあったとしても、それをなぞる気は実のところありません。答えのわからない問題を突きつけられてオロオロ・ウロウロしつつ、あちらにぶつかりこちらにぶつかり、せめて嘘のない選択だけはしたい。

 

〈国民投票法案の問題点〉

 ――はいくつもあるのだけれど、覚え書きの意味で思いつくままに書き留めておこう。

○公務員等および教育者の地位利用による国民投票運動の禁止

 公務員や教育者の、「その地位を利用した」運動を禁止するもの。地位を利用――というのはすこぶる曖昧な言い方であり、その気になればいくらでも拡大解釈できる。市民団体の集会で「○○市役所の職員ですが」などとと自己紹介して発言しただけで、地位を利用したと言われかねない。

 また教職者が授業で国民投票に対して意見を言うのはむろんのこと、「現職の教師」が自分のブログで「改定案のこの点がおかしい」と述べることも引っかかる可能性大。「前を向いて歩こう」さん、聞こえてますか? 9条の会で発言したりするのも、多分引っかかりますな。大学で教職者の養成に携わり、個人としては地元の9条の会に参加している私の友人も、「オレなんかも何も言えなくなるってのかよ?」と目を三角にしている。

○新聞または雑誌等の虚偽報道等の禁止

 虚偽報道――は、いかんですよ。当たり前でしょ。でも虚偽というものには二つの面がある。ひとつは「絶対にあり得ない嘘八百」。たとえば太陽は西からのぼるとか、男も妊娠出産できるとか、天皇は人間ではなく神様であるといった類のものですな(それらを信じている人はいるかも知れず、信じること自体は個人の自由なのだけれども)。もうひとつは「まだ証明はされていないが可能性はあり」そして「時の権力にとって不都合なもの」だ。随分前のことだが、このブログに「共謀罪の悪夢」という駄文を載せたことがある。こんなこともあり得るかも知れない――という想像で書いた一種のコントであり、(似たようなことが頻出するとは思うが)そっくりそのままのことが起こるかどうかはわからない。だから言い方によっては、このコントは嘘っぱちだと言えないこともないのだ。

 世の中、「100%の嘘」とか「100%の真実」というものはさほど多くない。嘘にも少しだけ真実が混じっていたり、真実にもちょっぴり嘘(というと語弊があるだろう。ウラをとっていない噂話や、又聞きの話や、想像などを含むと考えてほしい)が混じったりする。 そして少しだけ想像力を働かせた記事や、匿名を条件に語った街の声などを「虚偽」と決めつけるのは、権力にとってはたやすいことなのである。

……まだまだ、ぼちぼちと続く。

コメント (4)
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