華氏451度

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安倍「改憲内閣」は右派クーデターを目指す

2007-01-04 23:52:54 | 現政権を忌避する/政治家・政党

 夕刊各紙を買い集めて来たら、何処にも出ていました、安倍首相の「年頭記者会見」の記事(おそらくテレビでも報道されたのだろうが、私はテレビはほとんど観ないので……)。

 この会見で、首相は「安倍政権のうちに改憲を目指す」ことを表明した。むろん彼は前々から何とかの一つ覚えのように「ケンポーカイセー、ケンポーカイセー」と繰り返している。だからいちいち驚く話でもないのだが、まあ庶民の一人としては彼の発言に毎度神経が反応する。このブログでも 「安倍改憲内閣、宣戦布告す」など、いくつかの記事を書いたように思う。

 むろん改憲の話だけしたわけではなく、ほかにも「教育再生(新しい教育基本法にのっとり、教育再生会議で具体案をまとめて必要な法改正をおこなう)」、「社会保険庁の廃止、解体、6分割」、「景気回復(成長戦略を推し進め、かつ競争力を高めて強い経済を目指す)」など、いわゆる「抱負」をさまざまに語ったそうだ。さらっと聞き流せば何と言うこともない――よく政治家などが並べる綺麗げなお題目だが、読めば読むほど胡散臭さを感じる、と言うかヒヤリとする。たとえば「競争力」「強い」などの言葉ひとつとっても、いかにも新自由主義の信奉者らしい臭いが満ち満ちているではないか。   

 だがやはり、何と言っても焦点は「改憲宣言」(教育や経済、医療福祉などに関する問題は二の次と言っているわけではない。すべてはリンクしており、その象徴が改憲であるように……ふと感じられた、ということである)。

 それにしても、内閣総理大臣が憲法改定を「重要課題」として挙げるというのは、いったいどういうことだろう――と、ごく素朴に思う。もちろん一国の憲法は、「何が何でも変えてはならない」ものではない。場合によっては、新しい憲法を制定する必要もある。だが、それは「よほどの場合」のはずである。たとえば革命によって体制がひっくり返ったとか、憲法があまりに不備または国民の不幸の源泉であるために国民の不満が噴出たとか。

 誰も不都合を感じていない――いや、そう言うのは乱暴かも知れない、一部の人を除いては不都合を感じていない、と言い直そう。ともかく大多数の国民は何ら不都合を感じず、むしろそれを守られているという感覚の強い憲法を、なぜ今、変えようとシャカリキにならねばならないのか。私たちはその「原点」の部分を、いま一度よく考えてみるべきだと思う。誰も不都合を感じていないものを強引に「変えなければ」と言いつのるのは、畢竟、「国の姿」を変えたいからだ。これはクーデターである。クーデターというと、軍が蜂起して……的なイメージが強いかも知れないが、こういう一見穏やかな?クーデターもあるのだ。

 首相は、今夏の参院選でも改憲を訴えると断言した。参院選は憲法選挙になるわけだ。一昨年の郵政民営化選挙(と、小泉内閣が勝手に位置づけたわけだが)より、はるかに国民の性根を問われる選挙になる。

 さて、あなたは憲法を変えたいですか。与党は「新しい時代にふさわしい憲法を」などとほざいているけれども、人間のモラルに古いも新しいもあるか。憲法はいわば「国の根幹のモラル」を規定するもの。それをころころ変えていいのかどうか。

 国民の大多数が、よくよく考えた末に「強い国」「他国の国民を踏みにじっても豊かになりたい国」「武力にものを言わせる国」を選択したいというのなら、何をか言わんや。私はさっさと日本を脱出します……と言いたいところだが日本以外で食って行ける自信がないので、人の世に背を向けて世捨て人にでもなります。税金なんか払わんぞ。生涯、猫一匹肩に乗せて流浪するぞ。

コメント (5)
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